二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- ダンガンロンパN Brand New Despair
- 日時: 2016/03/01 17:12
- 名前: バタフライ ◆T0qJfISYm6 (ID: cWF1aDDB)
みなさんこんにちはこんばんは 初めましての方は初めまして。バタフライと言うものです。
ダンガンロンパの続編の開発決定。そしてアニメーションも制作&放送決定と、
一時期とある事情により冷え込んでいたダンガンロンパ熱が回復したため、今回の小説を投稿致します。
この小説は、ゲーム「ダンガンロンパ」をモチーフにした小説です。
注意点がいくつか。
1 元ネタとなったゲームの都合上、グロテスクなシーンや殺人のシーンがある
2 ダンガンロンパシリーズ(特に1.2)のネタバレが多数入っている
3 「絶対絶望少女」はプレイしていないためそのネタは出せない
4 この小説自体が前作、「絶望の牙と希望の花」のネタバレ
5 更新停止した作品「ダンガンロンパ2 Lost memories」の設定も少しだけ踏襲
前作を見なくても一応楽しめますが、ついていけなくなっても、僕は責任を取れませんので悪しからず。
それでも大丈夫!という方はごゆっくり、お楽しみください。うぷぷぷぷ……
登場人物紹介
>>1
prologue ようこそ 地下都市ジェネシスへ
>>2 >>5-6 >>7-8 >>9 >>10-11 >>12
2016 1/26 タイトルの1部を修正
返信のRe:を含むとなると、なんとタイトルに30文字以内で入りません(滝汗
申し訳ありませんが、これからタイトルはNextの頭文字を取って「ダンガンロンパN」とさせていただきます。
……投稿する前に気付けって話ですよね。本当申し訳ないです……
コメント返信
風死 様>>4
- CHAPTER1 (非)日常編 ( No.18 )
- 日時: 2017/01/21 22:47
- 名前: バタフライ ◆T0qJfISYm6 (ID: jUXSyEEQ)
キーン、コーン、カーン、コーン……
「え〜、モノクマからの連絡です。午前7時になりました。
オマエラ、グッモーニン!今日もいい朝ですよ〜!
さぁ、今日も全力全開で、頑張っていきましょ〜!」
朝か……陽の光も何もないからわからないな。
とりあえず食堂だ。
この日も朝食はつつがなく終わった。
「……」
「どうした?弓形」
「……」
ここ二日間弓形の様子がおかしい。
「なぁ、寺本、弓形って……」
「それが、なにも言ってくれないからわかんないんだよね。
{ライブハウスで島津に会った}って言ってからなんだけど」
「……」
島津と寺本の関係は一体……?
今は考えてもしょうがないのだろうか。
「さて、今日も何もすることがないな。どうするか」
〜自由行動開始〜
書庫に向かうと、御手洗が本を読んでいた。
「おお、ツバサ氏。こんにちは」
「意外なところであったな」
「はい。自分もそう思います」
御手洗と共に本を読んだ。
御手洗と少し仲良くなれたみたいだ……
「そういえば御手洗はなんで、参謀なんかになろうと思ったんだ?」
「昔、よく見ていたんですよ。特撮ヒーローのドラマを。
自分はそれがたまらなく大好きだったんで……
昔やっていた{堕天戦隊ゴッドバスター5}に登場していたグリーンが、
計算尽くで相手を倒すのを見て、頭を使うことで悪い人を倒せないかな〜と思い」
意外にも無垢な理由だった。
「お前は今までいろんな事件の現場に立ち会ったそうだな。
一番辛かった現場とかは何かあるか?」
「一番……いえ、立ち会った現場全てが辛いです。
もし自分が間違えた命令を下すことがあれば、最悪の場合人質がみんな死んでしまいますから」
参謀は命令を下す。つまり、人が死ぬかどうかを決める役割だ。
彼女はまだ女子高生。多くの命を背負うには若い。
「今までも自分の命令で、数多くの事件を解決してきましたが、被害なしというのはやはり難しく……
バスジャック事件では、乗客全員が重軽傷を負い、バスジャック犯も射殺されたり……
正直、これほどの犠牲者を出しているようでは超高校級とは程遠いです」
話せば話すほど暗い過去がみえてくるようだった。
ここは少し話題を変えよう。
「夢とかはあるか?例えば、普通の女の子に戻りたいとか」
「参謀を引退する時が来ることです」
「え?」
「だって、自分たちは事件があると呼ばれるんです。もし自分たちが呼ばれることがなくなれば……
それは、自分が必要とされない。つまり事件がないということじゃないですか」
しゃべっている最中でも、無垢な心が伝わってきた。
だが、彼女が参謀を引退できる日が来るというのは難しい……
いや、そんな日が来ればいいのに。とは思うが。
自室に戻り、少し物思いにふけっていると……
ピンポーン
「開いているぞ」
ガチャ
「ツバサ様。少しよいでしょうか」
「黒峰か。どうした?」
「いえ、実は皆様のベッドのシーツを手直ししているのですが、ツバサ様のベッドも、よろしいでしょうか」
「あぁ。構わないぞ」
見ているだけでは悪いので、手伝うことにした。
黒峰と少し仲良くなれたみたいだ……
「さて、では紅茶も入れましょう。ツバサ様は砂糖はいらないのですよね?」
「あぁ、頼む。何から何まですまないな」
「いいえ。これはわたくしがやるべき行動ですから」
紅茶を入れる黒峰。慣れた手つきだ。
「それにツバサ様は、少しあのお方に似ているんです」
「あのお方?」
「はい。わたくしが執事を仰せつかった、葛城お嬢様に」
「どういう人なんだ?」
黒峰は遠い目をしながら言った。
「あなたのように若干男勝りであり、あなたと違って若干世間知らずでありました。
そして……よく甘えておりました。
お馬さんごっこを何度、わたくしが馬役でやらされたことか」
「でも、それは楽しかったんだろう?」
「おや、わたくしとしたことが、口が緩んでしまったでしょうか」
「あぁ。ばっちり。な」
そんな状況で、いや、そんな状況だからこそ、あえて聞く。
「……その人の元へ、帰りたいか?」
「もちろんです。もちろんこの中の誰かを殺害して……というわけにはいきませんが」
「悪い。変なことを聞いてしまったな」
その言葉に、黒峰は首を横に振った。
「よいのです。こうやってお話いただくだけでも、気が楽になりますから」
そう言いつつも、黒峰は少し物悲しそうな顔をしていた。
ずっと執事をしてきたんだ。葛城という人のことは気になって当然だろう。
「ツバサ様、ツバサ様は家族を思うことはありますか?」
「家族……家族か」
「あ……失礼いたしました。ツバサ様は記憶がないのでしたね」
家族……
「……」
なにかぼんやりと、輪郭のようなものは見える気がする。
「では、わたくしはこれで。あとは高城様と弓形様の部屋のベッドメイクが残っておりますので」
「あぁ。わかった。色々とありがとう」
きびきびと、黒峰は部屋を出て行った。
何かをしていないと落ち着かないのだろうな。
さすがは超高校級の執事と言われるだけのことはある。
キーン、コーン、カーン、コーン……
「え〜、モノクマからの連絡です。ただいま午後10時になりました。
ただいまより、夜時間となります。
まもなく黒の街エリア以外の街の門はロックされ、立ち入り禁止となります。
ではでは良い夢を。おやすみなさ〜い」
……結果的に今日も、何もなく一日が終わった。
しかし気になるのは弓形だ。
彼女は一体、何者なのだろうか。
「……?」
彼女は{超高校級の小説家}なはずだ。
何者なのだろうか?とはどういう意味なのだろう。
彼女はフードを被ってはいるが、顔は今時の女子高生によくありがちな……
「……??」
顔?
なんでフードを被っているのに顔がわかるんだ。
そしてあの髪型も……髪型?
そもそも彼女はフードを取ったことがないはずなのに、どうし……て……
……気が付くと、私は深い眠りに落ちていた。
- CHAPTER1 (非)日常編 ( No.19 )
- 日時: 2017/01/22 21:58
- 名前: バタフライ ◆T0qJfISYm6 (ID: jUXSyEEQ)
「……」
目が覚めた。
時計の針は5時を指している。
深い深い眠りに落ちていたと思っていたら、そんなに時間は経っていなかったようだ。
「……」
左手を見る。
「……」
蠢く感覚が、なぜか強くなっている。
が、それによる恐怖などは何も感じない。
「……」
私はまだ体はだるいが、眠気もないので適当に出歩くことにした。
「……」
気が付くと、ライブハウスの前に来ていた。
そういえば、初日以降島津に食事を出していない。
それ以降は弓形が出していたらしいが、詳しいことは知らなかった。
「島津……」
そしてドアを開け放つと……
「!?」
真っ赤な血が、床にべっとりと付いていた。
そして、その床に倒れている。{超高校級の不運}島津の……
「いってててて……」
……島津の、普通の体。
「……何やってるんだ?」
「何やってるって、抜け出そうとしたんだよ。ここから」
頭から血をだらだらと流しながら、島津が続ける。
「すごい血だな……」
「あぁ。力強く前に行ったら勢い余って頭から落ちてな。ともあれ無事で良かった。
……ところで、ちょっといいか?ツバサ」
「なんだ?」
フラフラと体を揺らしながら島津が言葉を紡ぐ。
「頭がフラフラするから、スーパーから包帯か何か持ってきてくれ」
「……は?」
「だから、持ってきてくれ」
「……」
このまま血を流し続けて死なれても困る。
私はスーパーに向かうことにした。
スーパーにやってくると、
「……」
「あっ弓形」
弓形が既に起きていた。
「……どうしたの?」
「あ、あぁ。島津がライブハウスの中で怪我をして、それを治すために包帯とかを探しに来たんだ。
お前も一緒に……」
最後まで言う前に、弓形はどこかへと消えて、
「……はい。包帯と消毒液」
治療するために必要なものを持ってきた。
「あぁ。悪い」
それを受け取ったあと、私は気になっていたことを聞くことにした。
「なぁ、弓形。お前最近様子がおかしいぞ」
「……」
「2日前に島津に会ってから、ずっとこんな感じじゃないか」
「……」
まただんまりか。そう思っていた時だった。
「……私たちの中に、このコロシアイをさせようとしている人物がいる」
「!?」
後頭部をハンマーで殴られたかのような、ものすごい衝撃が走った。
「そ、それを……誰から……?」
「……島津君から」
だから様子がおかしかったのだろうか?
「確証は……あるのか……?」
「……」
それを言うと、再び押し黙ってしまった。
「……なんだ。つまり島津の嘘って可能性もあるじゃないか」
「……」
「どうした?」
「いや、何も……ない」
ライブハウスに戻り、島津にその言葉を突きつけた。
「……」
「どうした?」
「あいつ、俺の口からでまかせをすっかり信じてしまってるのか」
・ ・ ・ ・ ・ ・ ・
「は?」
「だから、俺の口からでまかせだって、俺たちの中に首謀者なんざ、いるわけないだろ?」
「お前……!そのせいで弓形が、一体どれだけの目に遭ってきたか……」
「{わかっているのか}って?」
ふぅっと息を吐く島津。
「こんな風に{俺たちの誰かが誰かを殺せばここから出られる}状況だぜ?
いつ寝首を掻かれるかも知れないのに、疑わしきは疑い続けるべきじゃないか?
……あいつはそれを知らないのさ」
「{ }の{ }の{ }と{ }の{ }なのに」
「?」
島津の言葉に雑音が走った。
「い、今なんて……?」
「……聞こえなかったのか。まぁいい。人の身の上話なんか興味なさそうだしな」
島津はフラフラと、ライブハウスを出ようとする。
「ま、待て!もう一度……もう一度言ってくれ!さっき私に何を伝えようとしたんだ!?」
「……さぁね。忘れた」
「はぁ!?」
もしかして、わざとやっているのだろうか。
……いや、もしかしなくてもわざとだろう。
だがはっきり、島津は私に対する{何か}を言ったはずだ。
島津は……私の何を知っているんだ……?
キーン、コーン、カーン、コーン……
「え〜、モノクマからの連絡です。午前7時になりました。
オマエラ、グッモーニン!今日もいい朝ですよ〜!
さぁ、今日も全力全開で、頑張っていきましょ〜!」
モノクマの放送だ。
「……」
現実に呼び戻された思いだ。
深い溜息の音だけが、ライブハウスに響き渡る。
……食堂に行こう。と、思っていた時だ。
「と、その前に!緊急全校集会を開くよ〜!
みんな、至急!大至急!大大大至急中央広場に集合だ〜〜〜!
みんな〜!丸太は持ったか〜〜〜!?」
丸……太?
まぁいい。モノクマからの呼び出しだ。行かないとどうなるかわからない。
私はライブハウスを飛び出すと、中央広場へと急いだ。
……やめろ
やめるんだ!ツバサ!
{ }、今すぐやめるんだ!
- CHAPTER1 (非)日常編 ( No.20 )
- 日時: 2017/02/01 22:11
- 名前: バタフライ ◆T0qJfISYm6 (ID: jUXSyEEQ)
中央広場にやってくると、既に弓形以外が集まっていた。
「おや、ツバサ殿、おはよう」
「あぁ、おはよう」
と、そこへ……
「……」
弓形も来た。
「あきら!何してたの!?」
「……す、少し、考え事……」
少し戸惑いが見える。
「どうした?」
「……な、なんでも……なんでも、ない……」
「……?」
と、そこへ、
「オマエラ!よく来たね!早速だけどなでなでしたいよ!」
「呼んだのはキミじゃないかぁ」
君塚がもっともらしい言葉を言う。
「早速だけど、今日はオマエラにプレゼントがあります!」
それは、黒と白の色に分けられているアメだった。
「アメ……?」
「さ、オマエラこれを食べて!オマエラた〜べて!た〜〜〜べて!」
「急すぎます!こういうキャンディには絶対ポイズンが入ってるはずです!
皆さん!食べてはいけません!」
フォルの言うことに従おうとする、が……
「じゃあ食べないと皆殺しにしちゃうよ!」
「二択目が極端すぎるでしょうが!それに、これが毒だったら、どのみちあたしたち……」
モノクマはその言葉を聞いている最中に……
「モノクマペッパー!」
「え……?」
ペッパー……?つまりそれは……
「へっくしょい!」
「ぶぇっくしょい!」
胡椒だ。
そしてくしゃみをしようと口を開けるみんなに対し、モノクマは、
「ほらほら!アメが欲しいかそらやるぞ〜!」
それを言うなら豆だ!
結果、全員がBB弾のように飛ばされたモノクマのアメを口に入れてしまった。
「え?……何、これ……?」
「わ、我が……我が……知識の泉が……(あぁ、頭が、頭が……)」
ぐるぐると、目の前が回転し出す。
ぐるんぐるんと、脳の中で何かがかき混ぜられて……
……爆発した。
翌日……
「……」
私は書庫に来ていた。
……そうだ。
私の記憶の最後のピースは、きっとここに……
「どうしたの?ツバサさん?」
と、モノクマ。
「……」
「……」
「……」
「あんまり見つめないでよ。改めて見つめられると照れちゃうよ〜」
わざとらしく頬を赤らめる。
「……」
「……あれ?その顔……うぷ、うぷぷぷぷ……」
「どうやら、{その時}が来たみたいだね」
「あぁ。だからモノクマ……」
「はいはい、わかってるよ。君が探してるやつなら奥にあるよ〜」
何かにとりつかれたように歩く。
足が、体が、見えない糸に繋がれているかのように……
「……」
そして書庫の中にあるとある本を手に取る。
「……」
その……本の……内……容……は……
「……」
パタン。
「やっぱり……そうか……そういうこと……だ」
本を持ったまま、私は思い出していた。
・
・
・
「なぁ、ツバサ」
どうしたの?お兄ちゃん。
「クッキー、食うか?」
いいの?そのクッキー……お兄ちゃんが食べるんじゃなかったの?
「いや、俺は甘いもんはあんまり好きじゃねぇんだよ。ほら」
ありがとう!
うぐ……ぐうううう……あああああ……!
「意識レベル低下、非常に危険です!」
「ど、どうするの……!?このままだと……!」
「……どうすりゃ助かる?」
うう、ううううあああ……!
「左腕より未知のウイルスが検出され、そこから蝕まれているようです」
「左腕か、なるほどな……」
な、何を……おにい……ちゃん……!?
「今回の評決、異議がある方は?……異議2票。よって可決。
貴様の未来機関追放を決定する。閉廷!」
「ま、待ってくれよ!責任を取るのは俺だけで十分だろ!?こいつは関係ないだろ!?」
「何故この{悪魔}の言うことを間に受けるのだ。さては貴様も……」
も、もういいよお兄ちゃん!やめて!
「やめるかよ……!お前{まで}もがいなくなったら俺は……!」
「つまみだせ!」
いや!離して!お兄ちゃん!お兄ちゃあん!
「ツバサ!くそっ離しやがれ……!ツバサ!ツバサぁ!」
……私はいつもひとり。
私は、いつもひとり。
だけど、私は。
みんなの笑顔が見たい。
みんなの笑顔がみたい。
みんなの えがおが みたい
みんなの えが お が み た い
みんなの えがお……えがお……?
・
・
・
「……」
思い出した。
私がやりたいこと、それは……
「……」
私は本を床に置くと、天を仰いで目を閉じた。
「そうだ……全て、全て思い出した……」
私は震える左手をじっと見つめた。
「……」
「私の名前は……」
「私の……目的は……!」
- CHAPTER1 (非)日常編 ( No.21 )
- 日時: 2017/02/08 20:50
- 名前: バタフライ ◆T0qJfISYm6 (ID: jUXSyEEQ)
クソッ!間に合わねぇか……!
ど、どうするの護!?早く逃げないと!
わかってる!けどっ……!
聞こえる!?三池!梓!ダメ!プログラムを破れるのはもうこの時間が限界!
柿崎!どうにかならない!?
出来ればやっている……思った以上に、ワクチンの効力がはやい故……
これ以上、入口のロックを解除するのは不可能だ……!
今は逃げろ二人共!三池の気持ちもわからんでもないが……
お前のその体じゃ、今は何もできないぞ!
……あぁ、そうだな……!
ごめんな。助けられなくてよ……
……また、この夢だ。
気が付くと、{私}は部屋の中にいた。
部屋は相変わらず、スーパーにあるもので作った即興の本棚と……
書庫で手に入れた本の一部があるだけ。
と言っても、私は本を読むのが好きなだけなんだけど。
お父さんやお母さんと違って、私は体も、精神も弱いのだから。
だからこそ本をたくさん読んだ。
だからこそ、いろんなトリックを必死で考えた。
だからこそ……{紅に染まる時計台}は完成した。
「……けほっけほっ」
まだ口の中が妙な味がする……
でも、モノクマが食べさせた飴玉って、一体……
コンコン
「……」
フードを被り直して、部屋のドアを開けた。
「弓形殿、大丈夫か?」
「秋吉君。……ごめんね。心配かけたよね」
「我は構わぬ。それより……問題はツバサ殿だ」
「え?」
その言葉に私は、反射的に疑問を感じた。
「ツバサさん……どうしたの?」
「それが、何回ノックしても出ないのよね〜」
寺本さんが後ろからやってきた。
「と、いうよりあきらはもう大丈夫なの?」
「私なら大丈夫……寺本さんは?」
「うん。舌の上にタクシーが走ってるような感覚は残ってるけど大丈夫だよ」
どういう感覚なのだろう……
時計の針を見ると、もう時刻は午後9時になっていた。
それほど経たないうちに夜時間になるだろう。
「……」
ツバサさんの話も気になるが、先程まで気絶していたこともあり、ひどく疲れている。
「また、明日でいい……?」
「え?……そうよね。もう夜も遅いし」
「うむ、ではまた明日」
私は二人と分かれると、それほど時間が経たないうちに眠りに落ちた。
「……」
キーン、コーン、カーン、コーン……
「え〜、モノクマからの連絡です。午前7時になりました。
オマエラ、グッモーニン!今日もいい朝ですよ〜!
さぁ、今日も全力全開で、頑張っていきましょ〜!」
「……」
もう朝なんだ。少しだるい体を起こす。
「……?」
なんだろう。何か違和感が……?
とりあえず、食堂に行こう。
「ふざけるんじゃねえ!」
食堂に入ると同時に、高城君の怒号が聞こえた。
「いやいや高城クン。あんまり怒ると女の子が逃げていくよ?
それに高城クンの怒った顔とか需要ないしね!」
「需要とかどうでもいいんだよ!なんだってお前はそこまでやるんだよ!」
止めに入る前に……
「……どうしたの?」
「あ、あきら。おはよう。いや、それがね。昨日のモノクマのキャンディなんだけど……」
「おや?{やっと}起きたんだね!弓形さん!よぉし!ボクが概要を説明してあげるZOY!」
どうして自称大王のような口調なんだろうか。
「いやはや。オマエラがいつまでたってもコロシアイを始めないから、実力行使に出ただけだよ!」
「実力行使?」
「あの飴玉にはね……」
「舐めてから24時間後に死ぬ毒が入ってるんだよ……!」
「えっ……」
その言葉を聞いた瞬間、私から血の気が引いた。
「聞く必要ないよ弓形ちゃん!どうせこいつの真っ赤な嘘だ!」
顔を真っ赤にする高城。
「そ、そうですよ!効果が出るまで24時間かかる毒なんて、あるはずがありません!
自分、毒ガスを使ったテロリストの説得にあたったことがあるからわかるのです!」
「そ、そうだよね!御手洗さんが言うから間違いないよ!」
「私もそう思います。高ぐぃには賛同できませんが」
「噛むぐらいならけなさないでくれ!」
と、モノクマを頭ごなしにけなし、聞き入れようとしない人もいれば……
「でも……モノクマの言うとおり、本当に毒の可能性もあるよ」
「ボクも毒だと思うなぁ。理由?……ヤマカン」
「確かにせやな……趣味の悪いモノクマの考えることやで。ありえへん……とは言えんやろ」
「ククク、我が体を蝕んでいるというのならば……その毒を制さねばなるまい」
モノクマのことを信じる人もいる。
「ねぇ、あきらはどう思う?」
「……私は、あの毒は本物だと思う……」
あたりを見回すと……
「あれ、ツバサさんは?」
「いや、それが……部屋の中にいないみたいなの。どこを探してもいないみたいだし……」
「大丈夫だよ!ツバサさんにもちゃんと伝えておくから!」
しかし、それよりも気になることは……
「み、ミスターモノクマ。ワタシたちが助かる方法はあるんですか……?」
「もっちあるよ!」
「で、では……その方法を教えてくれ」
「ま、薄々は感じてると思うんだけど……」
「オマエラがコロシアイをすることだよ」
モノクマの左目が妖しく光る。
予感はしていた。
だから、大して驚くことでもなかった。
……驚くことでもない……はずだった。
だけど、私たちはその言葉を聞いた瞬間、動けなくなった。
「ど、どういう……ことです……?」
「いやいや、簡単でしょ?オマエラが誰かを殺せば、みんな助けられるんだよ?
つまり、今誰かを殺したヤツは、救世主になれるんだよ!」
「ふ、ふざけないでよ!そのために人を殺すことなんて、あたしに出来るわけないじゃん!」
「出来なかったらみんな死ぬだけだよ?それでいいのかな?杜若さん?」
「くっ……!」
誰もが戸惑い、死の恐怖に怯える中……
「……」
島津君だけが、腕を組んでいた。
「あれ?思ったより驚かないね島津クン」
「当たり前だ。お前の魂胆なんざわかりきってることなんだよ。まぁ俺は……」
それ以降何も言うことはなく、島津君は食堂から出て行った。
それにしても、島津君はどうして何も感じなかったのだろう。
そう、例えるなら……
何か、この状況を楽しんでいるような……?
- CHAPTER1 (非)日常編 ( No.22 )
- 日時: 2017/02/15 22:57
- 名前: バタフライ ◆T0qJfISYm6 (ID: jUXSyEEQ)
「島津君」
私はたまらず聞いた。
「なんだ?」
「島津君はどうして、そんなに冷静でいられるの……?」
「……」
はぁ。と息を漏らす島津君。
そして少しだけ、私の方を見ながら……
「お前には関係なさそうだから、気にしなくてもいいさ」
とだけ言って、食堂を出てしまった。
「……」
食堂には、毒で死ぬしかないと言われ、呆然としている私たちだけが残される。
……不気味なほど静かだ。そして……不気味なほど暗い。
「……おい、お前ら」
口火を切ったのは、高城君だった。
「……このまま死にたいか?」
「何を言い出すのだ高城殿。……何か考えでも?」
「……もちろんだ。今回毒薬を用意したのはモノクマ。
そして、あいつは俺たちがコロシアイをすれば助けてやると言っていたんだ。
だから解毒薬をあいつから取り戻せば……俺たちは殺し合わずに助かるんだと思う」
高城君の言葉は的を射ていた。
確かにモノクマにしか助けられない、というのなら、モノクマは解毒の術を持っている。
「待ってよ。でも……」
5,学園長ことモノクマへの暴力、及び監視カメラ、モニターの破壊は一切禁止します。
「校則でモノクマへの暴力は禁止されてるのよ?下手にモノクマになにかしたら、
高城は死んじゃうのよ!?そんなの、あたしは嫌よ!」
「じゃあ寺本ちゃん!君はこのままみんなで死んでもいいのか!?」
「そ……それは……」
「それに……」
ズビッと高城君が指を差す。
「俺たちには{超高校級の参謀}もいるんだ!負ける要素はない!」
「……」
・ ・ ・ ・ ・
「え!?」
気付くのが遅い!
「な、なんで自分なんでありますか!?」
「無論、君は数多くの命の危機がある場面を乗り越えてきた経験があるからさ!
だから君に任せておけば、間違いがないんだ!」
「やめてください!そういうプレッシャー弱いんですからぁ!」
当然の反応だ。
「でもさぁ高城ぃ。今作戦を立てても意味なくなぁい?」
「あ?なんでだよ」
「だってさぁ。監視カメラがあるんだよぉ?ここで作戦会議をしたところで……
ボクたちの動きはモノクマに筒抜けなんじゃなぁい?」
「……」
無言。あ、これはようやく気づいたパターンだ。
「本当、おバカさんね高城……」
「本当、馬と鹿に食われて欲しいですね高城……」
「なんの要望だよそれ!?」
「わかりました」
突然御手洗さんが声を上げる。
「わかりましたって……何とかできるんか!?」
「はい。ですが、1時間ほどお時間をいただきます」
「1時間……1時間の間に、どうするんだい?俺がオカルトの話をする平均時間と同じだよ?」
意外と普通の時間なんだ……
「自分が見取り図を書いてきます。既にこの黒の街の構造は、大体把握してますから。
……皆さんは、部屋で待機していてください。そして……出来ればどなたかに……
監視カメラの死角となる場所を調査して欲しいのですが」
「なるほど、そこでタクティクス会議と洒落込むわけなんですね!」
「では、それはわたくしが行いましょう。皆さんをサポートするのが、執事たる役目です」
全員で頷き合う。
そうだ。モノクマを倒すことが出来れば、私たちはきっと助かる。
だが、失敗すれば、確実に誰か一人は死ぬ。
しかし、何かしなければ、みんな一斉に……
……賭けだ。
なら、私は……その賭けに乗りたい。
きっと、ここにいるみんなはそう思っているはず。
「……黒峰君。私も手伝うよ」
「ありがとうございます」
だが、気になるのは、やはり島津君と……そして、今朝から姿を見せないツバサさんだ。
特にツバサさんは……私が守らないといけないのに。
「……」
いや、考えるのはあとだ。
今は目の前の作戦に集中しなければ……
結果、黒峰君、杜若さん、私、君塚君の4人で監視カメラの死角を探すことになった。
そしてジェネシスの中を歩いているうちに、一度も入ったことのない部屋に来た。
「あっ」
私は思わず声を上げてしまった。
ここには監視カメラも、モニターもない。
ただ部屋の中に、大きなカプセルがあるだけ。
カプセルは開いていた。
これが……寺本さんの言っていた、ツバサさんが入っていたカプセル……だろうか。
とにかく、ここなら作戦会議にもってこいなはずだ。
私は御手洗さんに伝えるため、部屋を出ようとして……
ドン!
「うわっ!」
部屋に入ろうとしてきた杜若さんにぶつかってしまった。
「ご、ごめんねあっきー!だいじょう……」
「うん……大丈夫」
しかし杜若さんは動きを止めていた。
「……どうしたの?」
そして、私はとあることにようやく気付く。
「……」
頭の上のアンテナのようなくせっ毛が微かになびいた。
「わっ」
まるで覆面レスラーが覆面を剥がれたように、亀が甲羅を引っペがされたように、
私の顔は、恥ずかしさのあまり耳まで真っ赤になっていた。
「……あっきーって、意外とかわいいんだね」
「……」
再びフードをかぶり直し、私は慌てて部屋を出た。
「ちょっあっきー!?」
穴があったら入りたいとは、このことを言うんだろうな。
私の素顔なんて、誰にも見られたくない。
特にツバサさんには、見せるわけにはいかない。
……見せるわけには……いかないんだ。
とにかく、監視カメラの死角になる場所は見つかった。
このことを、御手洗さんやほかのみんなに報告しないと……!
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