二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- プリアラ〜キュアショコラと影の将軍〜【完結!】
- 日時: 2017/04/22 21:18
- 名前: モンブラン博士 (ID: JJ3BeOFP)
キラキラ☆プリキュアアラモードのキュアショコラを中心とした作品を書いてみたいと思います。
- Re: プリアラ〜キュアショコラと影の将軍〜 ( No.13 )
- 日時: 2017/04/13 05:00
- 名前: モンブラン博士 (ID: JJ3BeOFP)
キラパティに出すタルトに乗せるフルーツを買いにゆかりとあきらは街へ出た。
しかしどの店もフルーツは売り切れでお使いは難航した。
その途中、二人は道端で困惑しているおばあさんを発見した。
「どうされました!?」
あきらは急ぎ足でおばあさんの元へ向かい事情を訊ねる。
するとおばあさんは指輪のエメラルドが落として失くしているので探しているという事だった。彼女の話によると、エメラルドは公園にいた時まではあったという。
「公園からここまではかなりの広範囲よ」
ゆかりが言うとおばあさんはため息を吐き、
「あんな小さな石、見つかるわけないわ……」
「一応、交番に届けてみたら?」
「そうね……」
ゆかりの意見に同意するおばあさんだが、その顔には諦めの文字が浮かんでいる。とても小さい石なのだから溝などに落ちても不思議ではないしどこかに落ちても気づかない。交番に頼んでもきっと門前払いされるか、そうでなくとも見つからないだろう。
あきらはおばあさんの発した「無理」というワードに敏感に反応した。
その言葉は先ほどもゆかりが言っていた。
現実主義者のゆかりは売り切れたフルーツを購入することも、広範囲の場所に失くしたエメラルドを探すのも不可能なことだと思っている。
けれど無理かどうか不可能かどうかはやってみなくてはわからない。
可能性を先に考え行動することを諦め、困っている人を見捨てるのか。
こんなに悲しそうな顔をしているおばあさんを見てみぬふりなんて、自分には絶対にできない!
「探してきます! きっと見つけてきます! おばあさんはここで待っていてください!」
力強く宣言して立ち上がるあきらにゆかりがそっと耳打ちした。
「ちょっと。簡単に見つかると思っているの?」
この広範囲から小さな石を探すのは至難の業だ。それはあきらも頭の中では分かっていた。けれどお婆さんの悲しむ顔を笑顔に変えるためには、それでも探さなければいけないのだ。
絶対にお婆さんを笑顔にして見せる。
その一心であきらは引き止めるゆかりの手を振り払い、公園へと駈け出した。
☆
「下をくまなく探していれば見つかるはずだ」
あきらはそう考え、犬のように四つん這いになって必死でエメラルドを探す。
途中、犬と散歩中だった少年に驚愕されたが彼女は平気だった。
おばあさんの大切なエメラルドを探す為なら恰好なんか気にしている場合ではない。自分は笑われてもバカにされても構わない。
おばあさんの宝物が見つかるのであればそれでいい。
あの悲しそうな顔を笑顔に変えたい。
その想いの強さには病気で苦しんでいる妹の面倒を見てきたあきらの優しさがあった。四つん這いのまま公園に入っていくと、頭上から声をかけてくるものがいた。
「お前、犬みたいな恰好をして何をしている」
「えっ——」
顔を上げると、そこには白いタイツに身を包んだ異形の怪人の姿が。
驚いて立ち上がり、間合いをとる。
よく見ると、彼の人差し指と中指には小さな緑色の石が挟まれている。
「エメラルド!?なぜそれを!」
「落ちているのを拾ったのだ」
謎の怪人物の証言、宝石の色や大きさを総合して考えると、お婆さんの落としたモノに間違いはなさそうだ。
「落ちている物を拾ったというのは本当なのですか」
「無論。俺は嘘はつかん」
「よろしければ、その宝石を私に譲っていただけないでしょうか」
「何故?」
「実は——」
あきらは謎の男に事情の一部始終を話した。
「成程。俺の持つこの石が老婦人の話すものと似ているので、渡して欲しいと」
「ご無礼を承知でお願いします! その宝石を譲ってください!
お婆さんを助けてあげたいんです!」
あきらは土下座までして男に頼み込む。
「顔を上げよ。そこまで言うならお前にくれてやろう」
「ほんとですか!?」
「ただし、俺と闘って勝つことが出来たらな。
キュアショコラ……いや、今は素顔の剣城あきらか」
「なぜその名を!」
「フフフフフフ。俺を忘れるとは、お前も大した奴だ」
地の底から響くような威厳ある低い声。
剥がれた皮膚から剥き出しになった血管や肉体組織が露わになった醜悪な顔。
それを覆う透明なフルフェイスヘルメットに筋肉質の体躯に身に付けた白いタイツと腰に携帯したレイピアの黒い鞘——
その外見には見覚えがあった。
「君はジェネラルシャドウ!」
「ようやく思い出したか」
「それはお婆さんのものだ。君のものじゃない。お婆さんに返すんだ!」
「俺に勝ったらくれてやると先ほど言ったばかりだろう。もう忘れたとは」
「その約束は守ってもらうよ」
「当たり前だ。約束は守る為にある。俺の姿に驚いて公園にいた奴らは全員逃げ出した。ここならば、俺とお前、心置きなく決闘ができる」
「君がなぜ決闘を望むのかはわからない。けれど私は、お婆さんの笑顔を守る為に負ける訳にはいかない!」
遂にあきらはスイーツパクトを取り出した。
「キュアラモ—ド・デコレーション!」
- Re: プリアラ〜キュアショコラと影の将軍〜 ( No.14 )
- 日時: 2017/04/13 10:12
- 名前: モンブラン博士 (ID: JJ3BeOFP)
「チョコレート! 強さと愛を! レッツ・ラ・まぜまぜ!」
合言葉を唱え、小さな泡だて器でパクトの中のクリームエネルギーを混ぜるとあきらの姿が赤い光に包まれていく。
茶色のマント、茶色を基調にした襟付きジャケットにネクタイ、白手袋が順に装着されていき、溶けたチョコレートの意匠がついたシルクハットを被ると、赤い犬の耳と大きな尻尾が現れる。
変身が完了すると彼女は生成された赤い階段を一段ずつ降りて名乗りを上げた。
「キュアショコラ! できあがり!」
キュアショコラの姿を見たシャドウは顔全体に歓喜の笑みを浮かべ、
「フフフ……フハハハハハハハ! この時をどれだけ待ったことか。
我が宿敵よ、その力、存分に見せてもらおう!」
シャドウはすぐさまシャドウ剣を引き抜きショコラを突こうとするが、彼女は華麗なステップでヒラリヒラリと避けていく。
トランプ・カッター、トランプ・ショットも同様に回避され、一撃も当たらない。
ならばとシャドウは等身大の特大トランプを使用した分身技でショコラの周囲を取り囲む。
「周りを囲まれてしまえば流石のお前も袋の鼠だ」
トランプの背後から合計六人のシャドウが現れる。
だがショコラは空中に飛び上がり、下の地面にクリームエネルギーを発射。中心部に命中した大量のクリームエネルギーは六つのシャドウを消滅させる。
彼女を囲んでいたシャドウは全て分身だったのだ。
それでは本物はどこにいるのだろうか。着地後、物音一つ立たない沈黙の中ショコラは目を閉じ空気中の匂いを嗅ぐ。
「そこだ!」
背後の柱にクリームエネルギーを一閃。
柱の物陰から飛び出した瞬間にクリーム攻撃を受けシャドウは地面を滑る。どうにか足で踏ん張りを効かせて滑走を緊急停止させるが、その息は荒い。
「なぜ分かった!?」
「鼻が利くのさ……」
ショコラは怯んで動けないシャドウに高速で接近し、爽やかな笑顔で。
「犬だから」
「何ィッ!」
初めての戦闘にも関わらず自分の攻撃を全て見切り、攻撃する隙を与えさせない相手。
得意技が次々と破られた衝撃は大きく、メンタル面のダメージは深刻だった。目を見開きこれまでにない動揺を示すシャドウに、ショコラはパクトのクリームエネルギーをかき混ぜる。
「キラキラキラル! キラキラル!」
巨大なボール状となって打ち込まれたクリームエネルギーはシャドウを上空へ吹き飛ばした。それをチョコで足場を作り追いかけるショコラ。
彼に追いつくと手を優しい手つきで開かせ、エメラルドを回収する。
「エメラルドは返してもらうよ。約束!」
「貴様ァ!」
最後の足掻きとばかりに拳を振り上げるシャドウだが、ショコラはシルクハットを脱ぎ鍔の部分を彼の腹に押しつけ。
「これで決める! キラキラキラル・キラキラル!」
シルクハットにクリームエネルギーを集め、高威力のキャノン砲として一気に発射!
「グオオオオオオオ……おのれ、キュアショコラアアアアアァ〜!」
そのまま青空へと吸い込まれていき、星となって消えた。
元デルザー軍団のアジトに帰還したシャドウは、おぼつかない足取りで椅子に腰かけた。
「キュアショコラ。恐ろしい奴だ。俺を完敗に追い込むとは……
だが、これで奴との闘いが更に楽しみになった」
好物である赤ワインをドクロのグラスに注ぎ、蝋燭の光に当てて輝きを楽しみつつ、ほくそ笑む。
「キュアショコラ、この借りは、貴様の最も大切なものを賭けた決闘で必ず返してやる……フフフフフフフ」
果たしてシャドウが語るショコラの《最も大切なもの》とは何か。
襲いかかるシャドウの魔の手。
負けるな! キュアショコラ!
《第1章 完! 第2章へ続く》
- Re: プリアラ〜キュアショコラと影の将軍〜 ( No.15 )
- 日時: 2017/04/20 21:12
- 名前: モンブラン博士 (ID: JJ3BeOFP)
アジトの洞窟でシャドウは唸っていた。ここ数日、戦績が振るわないのだ。
ドキドキプリキュアには戦法を見破られ撤退。
ハピネスチャージプリキュアには飛べないことがバレて飛行されて逃げられた。実質の二連敗である。彼はその事実にプライドが深く傷つき、打倒プリキュアと疲労回復の為に休養に努めることにした。
それから二週間後。洞窟内で瞑想をしていた彼は、何処からともなく聞こえてくる足音に耳を澄ます。
「この洞窟は我らデルザー軍団しか知らぬはず。さてはドキドキプリキュアの四葉ありすに居場所を感づかれたか!」
警戒の色を強め、まだ見ぬ敵に対しシャドウ剣を握る。
入り口の自動ドアがスッと開き、何者かが入ってきた。
「おお……アンタはドクロ少佐!」
「久しぶりだな」
白い骸骨の頭に右目には黒の眼帯、赤色の貴族風のコートを着て、巨大な鎌を得物にした死神風の男。彼こそシャドウの盟友にしてデルザー軍団屈指の殺し屋、ドクロ少佐だった。
「なぜ死んだはずのアンタがここに?」
「お前の助っ人に蘇ってきたのさ」
「アンタが加勢してくれるのなら百人力だ。礼を言う」
「鋼鉄参謀もこちらに向かっている。俺とあいつ以外の奴が復活しないように、地獄の亡者共を一掃してから行くと言っていたから少し遅れるだろうが……」
「何にしても同志とこの世で再会できるとは光栄だ。まあ、まずは座れ」
促されたドクロ少佐は鎌を壁に立てかけ、椅子に腰を下ろす。
シャドウはワイングラスを二つ持ってくると、そこに好物の赤ワインを並々と注ぐ。
「再会を祝して乾杯!」
二人はグラスを合わせ、友情の酒杯を交わした。
しばらく酒が進んだところで少佐が手を叩いた。
「そうだ。お前に土産を渡すのを忘れていた」
少佐がリュックサックから取り出したのは大量の小さな小瓶だった。
「これは瓶のようだが中身は何が?」
「プリキュアの魂だ。俺は鎌で斬った相手の魂を奪う術を地獄で習得したのだ。俺に魂を奪われたプリキュア達は仮死状態のまま家で寝ている」
「プリキュア達の身体に傷一つ残さず仮死させるとは、流石はドクロ少佐」
「驚くのはまだ早い」
続いて彼が取り出したのはプリキュアの変身アイテムの数々だった。
シャドウはそれらを見て驚嘆の声をあげる。
「キュアビューティ、キュアピース、ドキドキプリキュア、ハピネスチャージプリキュア、GOプリンセスプリキュア、そして魔法つかいプリキュアまで!」
「移動時間を含めて全員倒すのに二時間かかった。真夜中だったから奴らは何もできなかった」
自分が苦戦を強いられ撤退を余儀なくされた相手を僅か二時間で全滅させる。
少佐の恐るべき実力は以前から認めていたが、まさかこれほどまでに強くなっていようとは。シャドウは改めて盟友の実力に戦慄した。
だが同時に楽しみにしていたキュアピースとキュアビューティの闘いを奪われ、少しながら不満を抱いていた。けれど相手は自分の為に好意で倒してくれたのだ。友の気持ちを無下にする訳にはいかない。
無言でワインを煽るシャドウに少佐が口を開いた。
「ところでシャドウ。キラキラ☆プリキュアアラモードの闘いの映像はあるか」
「奴らの闘いの記録は全て録画してあるが、それがどうかしたか」
「早速奴らの研究に入ろうかと思う。ショコラはお前に任せるとして残り四人。鋼鉄参謀と俺で取り分を決めねば。
じっくり見極め、俺が前線に出るに相応しいプリキュアがいるのならば、鋼鉄参謀と交渉したいからな」
「よかろう。ところで奴らの妖精はどうしたのだ」
「不味かった」
「と言うと——」
「犬、小鳥、子熊。焼いて食ったがどれもイマイチだった」
こうして数枚のDVDを借りたドクロ少佐は、個室に入り、テレビにかじりつく。
シャドウはドアの鍵穴から少佐の様子を覗き込んでため息を吐いた。
「これでは一週間は部屋から出てくるまい。後は鋼鉄参謀の到着を待つばかり。さて、どうなることやら」
「キュアカスタードは萌える。カカカカカカッ!」
友の特徴的な笑い声を聞き、シャドウは冷や汗を流す。
「……今のは聞かなかったことにしよう」
- Re: プリアラ〜キュアショコラと影の将軍〜 ( No.16 )
- 日時: 2017/04/21 11:19
- 名前: モンブラン博士 (ID: JJ3BeOFP)
苺坂商店街の果物店。そこに有栖川ひまりはいた。
「さあ寄ってらっしゃい見てらっしゃい! 本日のタイムサービスだよ〜!」
威勢よく周囲の女性達に呼び掛ける店主。
その声に大勢の主婦たちが足を止め、一斉に店に群がる。その姿は獲物に群がる猛獣の群れと表現しても過言ではないだろう。
「あ……ううっ……」
ひまりは後方で何もできずたた立ち尽くすばかり。
彼女はキラパティの買い出し役を任されスイーツに使用するフルーツの仕入れに来たのだが、殺到する主婦たちが恐ろしく、とても近づくことはできない。
けれどこのままでは主婦たちに果物を買い占められてしまうだろう。
それだけはあってはならない。
「みんなプリンみんなプリンみんなプリン……」
自らに客たちがプリンに見える暗示をかける。そうすることで自分の恐怖を和らげようとしたのだ。
「オッス!」
瞼を閉じて気合の正拳突きを一回。
そして覚悟を決め——
「すみませーん! フルーツくださーい!」
全力でオバさんという名の凶暴生物に突っ込んでいくひまり。
だがその勇気も虚しくあっさりと弾き飛ばされ、目を回してしまった。
「プリン、プリン、プリン……」
ようやく目を覚ました彼女だったが、目の前でまだフルーツ争奪戦を繰り広げている主婦たちに恐れをなして逃げ出した。
「無理です無理です無理です〜!」
泣きながらキラパティへ向かうひまり。
彼女達なら自分の気持ちをわかってくれる。そんな期待を込めて急いでいると、不意に何処からともなく笑い声が聞こえてきた。
「カカカカカカカカッ!」
高く奇妙で不気味な笑い声にひまりの背筋が凍り付く。
「だ、誰ですか!?」
問いかけるも返事はない。
幻聴かと思い再び歩みを進めようとした刹那、眼帯をしたドクロが自分目がけて飛んできた。
「きゃあああああああああああっ!」
あまりの恐怖に顔を真っ青にして近くにある電柱に隠れる。
地面に落ちたドクロはピクリとも動かない。
恐怖半分興味半分で電柱の影からそっと覗いていると、何者かが彼女の肩を指で叩く。
「ぴゃっ!」
またしても飛び上がるひまり。振り返るとそこには首の無い赤色の騎兵隊風の軍服に身を包んだ男が立っていた。
「あ……あ…」
完全に硬直している彼女をよそに首なし男はドクロへ歩み寄り、頭を装着。
続いてその頭部を三六〇度回転させると、ひまりを見て高らかに笑う。
「カカカカカカ!」
「いやぁああああああっ!」
「待て、逃がさんぞ有栖川ひまり!」
「ど、どうして骸骨さんが私の名前を知っているんですかぁ!」
「俺はデルザー軍団のドクロ少佐。お前の魂を狩りに参上した!」
大鎌をブンブン振り回しながら疾走するひまりを追いかけるドクロ少佐。彼の斬撃により電柱や大木は倒壊していくが、二人ともそれに気づかない。
逃げ回るひまり。
後を追うドクロ少佐。
奇妙な二人の追いかけっこは始まったばかりだ。
- Re: プリアラ〜キュアショコラと影の将軍〜 ( No.17 )
- 日時: 2017/04/22 06:46
- 名前: モンブラン博士 (ID: JJ3BeOFP)
ドクロ少佐は大鎌を振り回しながらひまりを襲う。
当初ひまりは逃げまどっていたが、これ以上逃げ続けると町に被害が増えると考え、苺坂公園内でピタリと足を止める。
「ほう。覚悟は出来たようだな」
「これ以上、街を壊させはしません!」
ひまりはスイーツパクトを開く。
「キュアラモード・デコレーション! プリン!」
パクトにりすプリンを埋め込み、変身を開始する。
「知性と勇気を! レッツ・ラ・まぜまぜ!」
黄色のクリームエネルギーがひまりの小柄な体を包み込んでいく。
そしてりすをモチーフとした黄色のプリキュア、キュアカスタードとなった。腰にある巨大なりすの尻尾が愛らしい。
「キュアカスタード! 出来上がり!」
変身ポースを取り、キュアカスタードはドクロ少佐と相対する。
「武器を持たずに俺に挑むとは。勇気と無謀をはき違えたか」
「とにかく、やれるだけやってみます!」
ドクロ少佐の周囲を慎重に歩き回って様子を伺うカスタード。
少佐はカスタードに容赦なく大鎌を振うが、隙が多いために体を反らして避けられる。
「お前の得意武器はスピードなのは研究済みだ。だが、いかにお前でもこれは避けられまい」
彼は鎌の柄の部分を引き抜いてマシンガンモードにすると、銃口をカスタードに向ける。
「ドクロ機関砲!」
無数の弾丸が飛ぶが、カスタードは自慢のスピードでそれを見切って避けると、ドクロ少佐に接近し、拳を胴体にめり込ませた。敵は悪い妖精ではない為、物理攻撃が効くと思ったのだ。しかし少佐の表情は変わらない。
「俺の身体は骨だけだ。したがって如何なる打撃も無効化できる」
彼女の腕を胴から引き離すと、今度は強烈な拳骨を見舞った。
鈍い音がして炸裂したそれは、カスタードを倒すのに十分すぎる威力だった。
倒れて動けなくなった彼女に容赦ない蹴りを叩き込む。
胸、脇腹、足……蹴って蹴って蹴りまくる!
カスタードの顔や体はあっと言う間に土埃でボロボロになる。
「折角俺が遊んでやっているのだから、この程度で失望させてくれるな」
彼女のサイドテールをむんずと掴んで強引に立ち上がらせると、自らの顔の前に近づけ。
「ドクロ火炎!」
口から吐き出した火炎放射でカスタードの顔面を燃やし尽くそうとする。しかし既に力を失っていた彼女が体勢を崩したことで紙一重で回避された。
「一日に一回しか使用できないドクロ火炎が無駄になった」
この時カスタードの耳がピクリと動いたが、少佐は怒りで気づいていない。
「こうなれば鎌で切り刻んでくれる」
カスタードの尻尾を掴んで軽々と上空に投げ捨て、落下するのを待つ。
「さあ落ちてくるがいいキュアカスタード。お前をミンチにしてやるぜ」
真っ逆さまに落ちていくカスタード。だが、ここで彼女は大きな瞳をパチッと開けて。
「この瞬間を待っていました! え〜い!」
真上から大量のクリームエネルギーを放出するカスタード。
彼女の意外な反撃に呆然とし、身体を鎖状の黄色いクリームエネルギーで拘束されてしまう。
「貴様、俺にやられた振りをしていたのか!?」
「はい。おかげであなたの戦法を知ることができました!」
「こ……こんなものぉ!」
力を込めてクリームエネルギーの縄を引きちぎろうとする少佐。
「させません〜!」
カスタードは顔を赤くして頬袋を膨らませる。その姿はさながらりすのようだ。
思いきり締め付けるカスタード。抵抗するドクロ少佐。
二人は膠着状態に突入した。
一分、二分、三分……
時間が経過するにつれて、疲労のせいかカスタードの腕が痺れてきた。
だが少佐も全身(特に足)を震わせている。
決着が付く時は近づいてきた。そして遂に。
「ぐあぁ〜ッ!」
断末魔と共にドクロ少佐の身体はバラバラに弾け飛んだ。
「はぁ……はぁ……や、やりました……」
敵が完全に動かなくなったことを確認したカスタードは変身を解き、泣きながらキラパティへと帰って行く。
誰もいなくなった公園内で、ドクロ少佐のバラバラになった体は放置されていた。
「ドクロ再生」
小さな声で少佐の頭部が呟くと、あっという間に体が寄せ集まって元の姿に戻った。
「流石の奴も俺が再生能力持ちだとは気づくまい。だが、これで奴のクリームエネルギーの力を測ることができた。次に闘う時は必ずや奴の息の根を止めてやる!」
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