二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- プリアラ〜キュアショコラと影の将軍〜【完結!】
- 日時: 2017/04/22 21:18
- 名前: モンブラン博士 (ID: JJ3BeOFP)
キラキラ☆プリキュアアラモードのキュアショコラを中心とした作品を書いてみたいと思います。
- Re: プリアラ〜キュアショコラと影の将軍〜 ( No.1 )
- 日時: 2017/03/04 06:05
- 名前: モンブラン博士 (ID: JJ3BeOFP)
「はあッ……はあッ!」
荒い息を吐きながら少年は必死で公園の中を逃げ回っていた。
理由は不明だが、自分を追いかけてくる一人の男。
皮膚が剥がれ血管や筋肉が剥き出しになった醜悪な顔を透明のフードで覆い、白いタイツとマントを身に付けた異様な姿をしている。
普通の人間でないことは間違いない。警察にでも通報しようかと思ったが、電話をする為に足を止めてはすぐさま怪人物に追いつかれ、手にしている剣で一突きにされてしまうのがオチだ。どんなに疲れていても苦しくても、走るのを止めてはならない。足を止めたその時こそが、人生の最後になるかもしれないのだから。
けれど少年の疲労は限界に達し、いつ足を止めてもおかしくはない状態であった。
彼の衣服は流れ出る汗により、豪雨を受けたかのようにグショグショに濡れている。不快感を気にする余裕も、相手がどのような形相で追いかけているのかを確かめる為に振り返ることもせず、ひたすら前方だけを見て走る。だが、彼は足元への注意を疎かにしていた。
「がッ!」
不意に現れた小石に躓き転倒。膝を擦りむいてしまった。擦りむいた箇所からは赤い血が滲んでおり、激痛が全身を貫く。少年は痛みのあまり顔を歪める。勝利を確信したかのように一歩一歩ゆっくりと歩みを進める男の靴の足音を聞きながら。
「フフフフフフ……」
謎の男は公園全体に響き渡るほどのよく響く低い声で笑うと、愛用のサーベルを振り上げた。
「よく頑張ったが、その頑張りもここまでだ」
彼は冷たく言い放ち、少年を突き刺そうと真っ直ぐに剣を振り下ろす。
少年は瞳をギュッと閉じて最後の時が訪れるのを待つ。しかし、いつまで経っても剣が自らを貫かれた感覚はない。恐る恐る目を開けると、怪人と自分の間に割って入り、怪人物の剣を真剣白羽取りで止めている第三の人物の姿が目に飛び込んできた。
茶色と赤を基調とした西洋風の王子風のコスチュームに、溶けたチョコの飾りをつけたシルクハットを被り、丈の短い茶色のマントを羽織っている。シルクハットから覗く赤く尖った獣の耳と尻尾、履いているロングブーツは毛皮で覆われ、つま先は犬の足のようになっていた。
長身でショートカットかつボーイッシュな外見ながらも、両耳につけた板チョコのイヤリングと薄茶色のミニスカート、その中から覗く茶のスパッツから、少年はこの人物を少女だと推測する。
「はあっ!」
少女は気合いで怪人を後方へ吹き飛ばす。怪人は空中で素早く身を翻し態勢を立て直すと、剣を杖代わりにして着地した。その耳まで裂けた口には不気味な笑みが浮かんでいる。
「このジェネラルシャドウの剣を受けただけでなく気合で弾き飛ばすとは、並の小娘ではあるまい。さてはお前が噂に聞く伝説の戦士、プリキュアか」
「私は戦士じゃない!愛と強さで弱きを守る伝説のパティシエ・キュアショコラだ!」
「ほほう。プリキュアは皆、伝説の戦士と聞いていたがお前のような変わり種がいたとはな。キュアショコラ、覚えておくとしよう」
ジェネラルシャドウは剣を腰の鞘に収めるとマントを翻し消えた。
一先ず危機は乗り越えた。
ショコラは「ふう」と息を吐いて振り返ると優しく微笑み、少年に言った。
「もう大丈夫だよ」
「……ありがとうございます」
「お礼なんていいよ。当たり前のことをしたまでだから」
ショコラは懐から白い包帯を取り出し、怪我している少年の足に巻き付けると彼を優雅な手つきでお姫様抱っこで抱きかかえた。
「え……ちょっ……」
「この足じゃ歩けないだろう? 私が家まで送ってあげるよ」
恥ずかしさのあまり顔を真っ赤にする少年を気にすることなくショコラは疾風の速度で公園を駆け抜け、彼の家に向かって犬のように走る。
なぜ初対面ショコラが少年の家を知っているのか少年は考えてみてもわからない。だが家に送り届けられた後、少年は去っていくショコラの後姿と抱かれた時の彼女の体温の温かさ、そして何より胸のときめきを忘れることができないでいた。
- Re: プリアラ〜キュアショコラと影の将軍〜 ( No.2 )
- 日時: 2017/04/05 22:45
- 名前: モンブラン博士 (ID: JJ3BeOFP)
ジェネラルシャドウは半世紀ほど前に仮面ライダーストロンガーによって倒されたデルザー軍団という世界征服を企む悪の組織の幹部であった。正々堂々と闘い散った彼であったが、長年の宿敵に敗北したという悔しさは地獄へ堕ちても忘れることはできず、城茂(じょうしげる)——仮面ライダーストロンガーにリベンジするべく、半世紀という長い間地獄で特訓を積み重ねたのち、黒魔術を駆使して現世へと復活した。
けれど時の流れというものは残酷で、かつてのライバルであったストロンガーは病のために既に故人となっていた。
「俺と互角に闘える男が病如きで呆気なく死ぬとは。お前がいなくなった今、俺は何のために生き返ったというのだ!?」
ストロンガーの墓の前でライバルが死んだという哀しみとそれを倒せなかった怒りで、彼は占いに使用しているトランプの一枚を力任せに握り潰した。
奴を倒し名実共に世界最強の男になることこそが俺の人生の全てだった。外様を信用しないブラックサタンの幹部として雇われたのも、ストロンガーと闘えるチャンスを得たいが為だった。デルザー軍団を魔の国から招集をかけ日本征服作戦に乗り出したのも、奴を俺と対等に渡り合える男として成長させたいという真の目的があったのだ。同志である鋼鉄参謀、ドクロ少佐、そして忠臣であるヘビ女には迷惑をかけてしまったことは申し訳ないと思っている。
だが、仲間を犠牲にし、己の生き様を貫いた結果が負けだ。卑怯な手段を使わず全力を出し切ったが、偏差で俺はストロンガーに敗北した。
皆に迷惑までかけたのに結果を残せなかったのが、俺としては許せなかった。
だから地獄で己の技に磨きをかけ、新たなる力を得た上で今度こそ宿敵を破り、全世界にジェネラルシャドウこそが最強の男だと知らしめたかった——それなのに、俺の永遠のライバルはこの世を去り、勝ち逃げという形で勝負を終えた!
余りの悔しさにシャドウは半ば自暴自棄となり街を彷徨う。
開発化が進み半世紀前とは何もかもが違う東京の街並みに驚愕しながら、彼は自分の新たなる生き甲斐となってくれる強敵を探し求め歩き続けた。時代が変わり仮面ライダーがいなくなった世界においても、自分の心を躍らせる存在がいるはずと願い続けて。
そして偶然にもデパートの巨大街頭テレビで、彼は世界が危機に陥った時現れる伝説の戦士の少女達——プリキュアの存在を知った。
嘗てのシャドウは女性には手を出さぬという精神性の持ち主であったが、少女達が闘う姿をテレビで観戦しているうちに、強ければ小娘でも良いではないかという考えにシフトし始めた。まだ彼女らの存在をテレビで知っただけだから、実際にどれほどの強さを誇るのか手合わせしてみなくてはわからない。そこで彼は図書館やネット(明晰な頭脳を持つため、パソコンの説明書を速読しすぐに使用方法を覚えた)などを使用しできる限りプリキュアに関する情報を集め、以下のことを学んだ。
一 正規のプリキュアの変身者は例外なく小学〜高校生の少女であること
二 基本は格闘戦で闘い、俊敏さを兼ね備え、各々が独自の浄化技を持つこと
三 ニ〜五人のチームで行動するが、追加戦士などが仲間に加わる場合があり、現時点での最高人数は六人
四 変身にはパートナーである妖精の力が必要不可欠な場合があり、変身アイテムを奪われると変身が解除され、普通の女の子に戻る
五 その可憐な容姿と勇ましい闘いぶりから一部の熱狂的な大人のファンがおり、俗に大きなお友達と言われている
六 基本的に変身者は胸がない者が多く、そのことを指摘すると失礼になる
その他諸々の知識を頭に叩き込んだシャドウは勢いよく椅子から立ち上がり、
「まずは奴らの力をこの目で直に見なければならぬ。そうと決まればおびき出してやるとしよう」
こうしてシャドウは苺坂公園に行き、恋愛経験がないとベンチで落ち込んでいた下校途中の高校生に、いきなり剣で襲い掛かり騒ぎを起こすことでプリキュアをおびき出そうとした。
無駄な殺しを嫌うシャドウは少年を殺す気など毛頭もなかった。ただほんの少し怖い思いをしてもらって泣き叫んでもらえればそれでよかったのだ。
首尾よく少年を追い詰め、剣を振り上げる。すると彼の狙いは的中し、キュアショコラが現れた。彼女は彼の剣を真剣白羽取りで受け止め弾いたばかりか、気合だけで彼の身体を後方にフッ飛ばしたのだ。
小娘にしてはこやつは中々やるかもしれぬ。初めて出会ったプリキュアでもあるので名前を覚えるに値する相手と彼は定め、一先ずは撤退した。
相手を制するには己の手の内を明かさないことにあることを彼は知っていた。
苺山に生えた木の一本に瞬間移動をした彼は、眼下に広がる街を見据え、口角を上げる。
「キュアショコラ。もしかすると奴は——城茂に代わる新たなる好敵手となるやもしれぬな。
フフフフフフフフ!」
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