二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- フレッシュプリキュア!〜裏切りと信用〜
- 日時: 2017/04/20 15:11
- 名前: ひのり (ID: CzRhDmzb)
こんにちは!映像版ではプリキュアの小説でおなじみのひのりです!
今日からはフレッシュプリキュアの小説書きます。
前にも書いただろとか言われそうなので言わせてください。ブッキー中毒なんです。
楽しんでいただけるよう頑張って書くので、温かい目で見てやってください。
それでは、よろしくお願いします。
- Re: フレッシュプリキュア!〜裏切りと信用〜 ( No.10 )
- 日時: 2017/04/26 15:54
- 名前: ひのり (ID: CzRhDmzb)
ジャンプして校舎の上まで行くと、ノールと目が合った。
相変わらず死んだ目。でも、それでいい。
「これ以上、校舎を壊すのはやめて! 私を恨むなら、私以外に被害を与えないで」
ひとまず、そう口にする。
その声は震えていて、自分でも分かるくらい、みっともない。
彼は、それにフッと鼻で笑った。
「勘違いするな。確かに、この校舎に通う人間の中で最も消したい存在は貴様だ。だが、だからって他の人間に手を出さないわけではない」
その言葉と同時に、ソレワターセの蔦が校舎の一角を粉砕する。
私はそれに心を痛めつつ、拳を構えた。
すると、彼は両手を構え、まっすぐ私を見つめる。
一度呼吸を整え、私は一気に前に踏み出した。
「はぁッ!」
左足を軸に回転させるように、私は蹴りを入れる。
しかし、それを彼は紙一重で躱し、私の懐に潜り込むようにして入ってくる。
気づけば腹に右手が当てられ、力が込められる。
「くっ……」
咄嗟に左足で地面を蹴ることで、致命傷は逃れる。
……が、彼の手から発生した衝撃波のようなもので。私の体は吹き飛び、校舎から落下しそうになる。
私は壁から突き出していた金属の棒を掴んで、腹より上だけが空中に投げ出される程度で抑えた。
そのままハンドスプリングの要領で立ち上がり、ノールと向き直る。
「へぇ、今の一撃で落ちないんだ」
言いながらも彼は微笑む。
直後、一気に彼の体は膨張した。否、一瞬で彼との距離がゼロになった。
「グッ……」
声を漏らしながら、私は後ろに下がろうとする。
しかし、後ろはすでに何もない。
そこで考える。いっそのこと、ソレワターセの攻撃範囲から、この校舎を外すべきではないのか、と。
私は、その考えに、すぐに後ろに跳んで落下していく。
背後に家があるのを確認して、そこになんとか着地する。
「こっちよ!」
私の声に、ノールは迷うことなく跳んでくる。
大丈夫。来てる!
私は確信し、踵を返して屋根の上を跳んで、人気のない場所を探した。
そうだ。確か、前にラビリンスが来たときに館を作っていた場所が、人気のない林だった!
何度も跳ねるようにして、私はその林に向かった。
時間にして、約十分程度だろうか。
ソレワターセが暴れても問題ない程度の距離になって、私は立ち止まる。
振り返ると、ノールとソレワターセがこちらに歩いてくるのが見えた。
「なるほどね……これが目的か」
そう言って余裕の笑みを浮かべるノール。
私はそれにうなずいて、パインフルートを取り出し、まっすぐ彼に向けた。
「ここなら……誰も傷つけないでしょう?」
「……やだなぁ。そういう、偽善」
笑みを崩さずに出てきた言葉に、私は動きを止めた。
彼はニヤリと笑って、つづけた。
「この世界の全ては生きているんだよ? ここの植物だって、生きている。ここでソレワターセが暴れたら、きっと木は倒れるだろう。こんな感じでさぁ!」
そういってノールが手を動かすと、ソレワターセが蔦でできた腕を振るった。
すると、その周辺の木が根元から折れ、大きな音を立てて倒れていく。
「今、この木は死んだ。お前の偽善のせいで、犠牲にならなくて済んだはずの木がなぁ!」
「それは……!」
「確かにお前にとっては、明確に生きていると判断できる動物や、人間の方が大事だろうなぁ! でも、ここの植物だって一生懸命に生きている! それを邪魔したのは、他でもない、お前だ!」
「貴方がいなければ、そもそもこの木は倒れたりしなかった! 貴方が存在しなければ……!」
咄嗟に反論してから、私はハッとする。
私の様子に、ノールは、ククッと喉を鳴らすように笑った。
「……正義が正しいわけないじゃないか」
ポツリと彼がつぶやいた言葉が、胸に突き刺さる。
彼は続ける。
「悪だって、守りたいもののために戦っている! 優しい人間に囲まれて育った貴様にわかるか!? 信じていた人に裏切られる悲しみが! 存在そのものを否定される苦しみが! 僕は、そんな悪側の人間を消すために戦っているんだ! お前だってそうだ! 結局は誰かを騙して、裏切るんだろ!? 優しい笑顔と甘い言葉で巧みに男を騙して、捨てるんだろ!?」
「違う……私は……!」
「違わない! お前は、誰かを裏切るんだ!」
その言葉に呼応するように、ソレワターセの動きが荒ぶる。
私はそれに何も言わず、ただ、無言でパインフルートを落とした。
「……人は、分かり合うことは、できないのかな?」
「は……?」
「私は誰も裏切るつもりもないし、みんなのことを信じてる! 貴方がなんで私のことをそう思うのかは、わからない。でも……!」
その言葉と同時に、私は蔦によって殴られた。
視界に閃光が走り、私は地面を転がる。
草が舞い、私は木に背中をぶつけた。
瞼を開くと、ノールが怒りの形相を露わにしていた。
「そんなこと……信じられるか……貴様の言葉なんて……僕は……」
「落ち着いて、ノール。話せばわか……」
「わかるかああああああああああああああっ!」
それと同時に、三本の蔦が襲い掛かる。
とっさに私は瞼を閉じて、その時が来るのを待った。
「アカルンっ!」
その時、聞き覚えのある声がして、目の前が赤くなった。
- Re: フレッシュプリキュア!〜裏切りと信用〜 ( No.11 )
- 日時: 2017/04/27 16:06
- 名前: ひのり (ID: CzRhDmzb)
「大丈夫? パイン」
その言葉に、私は目を開いた。
すると、目の前には、すでに変身したピーチ、ベリー、パッションがいた。
「皆……!」
「遅れてごめん。さぁ、早く倒そう」
ピーチの言葉に、私はノールに顔を向けた。
その時、彼の言葉が頭を過った。
『……正義が正しいわけないじゃないか』
『悪だって、守りたいもののために戦っている! 優しい人間に囲まれて育った貴様にわかるか!? 信じていた人に裏切られる悲しみが! 存在そのものを否定される苦しみが! 僕は、そんな悪側の人間を消すために戦っているんだ!』
こちらを睨み付けるノール。
彼は、彼の仁義のために戦っている。彼の信念のために……。
それに比べて、私に信念はあるだろうか?
ただ、皆を信じて、頼ることしかできない。
私がしたいことって……なんだろう?
「行くよ、パイン!」
そう言ってピーチロッドを取り出すピーチ。
私も足元に転がっていたパインフルートを拾って、まっすぐノールを見つめた。
彼の目には、今、私はどう映っているだろうか……。
わからない。分からないけど……分かりたい。
そのためにはまず、ここで勝たなくては。
「「「「「悪いの悪いの飛んでいけ!」」」」
「プリキュア! ラブサンシャイン……!」
「プリキュア! エスポワールシャワー……!」
「プリキュア! ヒーリングブレアー……!」
「プリキュア! ハピネスハリケーン……!」
「「「「フレーッシュ!」」」」
前と同じように光を飛ばし、ソレワターセに当てる。
浄化されていくソレワターセに、なぜだか、少し罪悪感が沸いた。
「後は貴方だけね、ノー……」
そう言いながら視線を向けたとき、すでにノールはそこにいなかった。
できれば落ち着いて話がしたかったんだけど……仕方ないや。
「それにしても、ノール……貴方は一体何者なの?」
<陸視点>
「ハァッ……ハァッ……」
目の前が赤くなるほどの殺意。
我を忘れそうなほどの怒り。
それらは僕の脳内をグルグル回って、そして消えていく。
なんで自分がここまで取り乱しているのかは分からない。でも、なぜか怒りが止まらない。
僕は自分の頭を掻きむしりながら、その場に蹲った。そのとき、手に、硬いものが当たる感触があった。
「なんだ……これ……?」
手に取ってみると、それは、ガラスの破片だった。
顔を上げると、なぜか、目の前には半壊になった校舎があった。
誰がこんなことを? いや……どうでもいいや。
「ウッ……」
ガラスを手首に突き刺してみると、赤黒い液体が地面に染みを作った。
赤い液体に染まったガラスを僕は投げ捨て、乾いた笑いを口から零した。
「あぁ……みんな、死ねばいいのに……」
その願いに、ポケットの中にある球根が蠢いた気がした。
- Re: フレッシュプリキュア!〜裏切りと信用〜 ( No.12 )
- 日時: 2017/04/27 22:20
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
<祈里視点>
校舎がまともに勉強できる状態ではないため、しばらく休校になってしまった。
しかし、このまま休校状態にしてしまうと、折角お金を払って通っているのに勉強しないのはもったいないという話になる。
そこで、大量に課題を出され、臨時で授業を行う校舎が見つかるまでは自分で学習するようにと言われた。
元々、私が通う学校の偏差値は高い。だから、一人で勉強できない人間が通っているわけがない。
私は、きっとこの課題の他にもそれ以上の努力をしないと、順位が下がってしまう。
というわけで、私は現在図書館に来ている。
「ん……やっぱり、難しいなぁ……」
生物学の問題を解きながら、私はシャーペンをこめかみの辺りに当てた。
教科書を見てみるが、中々、この問題の正解である文章が見つからない。
もしかしたら、教科書には載っていないのかもしれない。
折角図書館に来ているのだし、何か資料を探してみよう。
「よし……」
私は立ち上がり、荷物をまとめて本棚の方に歩き出す。
しかし、どういう本を見れば良いのだろう?
そう思いながら歩いていた時、何か本を見ている檜村君を見つけた。
「あっ……檜村君っ」
私が小声で名前を呼ぶと、彼はこちらに気付き、視線を向けてきた。
すると、一瞬だけ、彼の目が冷たくなった気がした。
「……何?」
「学校で、宿題が出たでしょう? それで、分からない問題があって……」
そう言いながら視線を下げた時、彼の手首に包帯が巻いてあることに気付いた。
「ねぇ、その包帯って……」
「ん? あぁ、なんでもないよ……。それより、分からない問題があるんだっけ?」
「えっ? うん」
私の返答に、彼は読んでいた本を棚に戻し、歩き出す。
咄嗟に付いて行こうとした時に、彼が読んでいた本の背表紙が視界の隅に入った。
『自殺論』……?
なんだか、物騒なタイトルだなぁ。
私は、その本を見なかったことにして、檜村君の元に駆け寄った。
「それで? どの問題が分からないの?」
「えっと……これなんだけど」
私がプリントを出して問題を示すと、彼は顎に手を当てる。
「この問題か……」
「教科書にも良い答えが載ってなくて……分からないかな?」
私が聞いてみると、彼は少し考えた後で、鞄から生物学の資料集のようなものを取り出した。
確か、それも生物学の教材の一部だったはずだ。
「これは、少し引っかけ問題だね。教科書にもヒントはあるだろうけど、明確に知りたかったらこっちを使った方が断然楽。ホラ、この文章に……」
「あっ、本当だ!」
示してくれたところには、その問題の解答になるであろう単語が書いてあった。
私は早速それを書き記し、檜村君の手を取った。
それで感謝をしようとした時、一瞬でその手は振り払われた。
「えっ……」
「……あっ、いや、その……」
檜村君は、そう言うと目を逸らした。
もしかしたら、スキンシップとか、そういうのが苦手なのかな……。
ラブちゃん達とは、幼馴染だしこれくらい普通だ。
後、前の学校は女子校だったから、同性ばかりでそういう面に関して疎くなっていたのかもしれない。
「ご、ごめんなさい……。私……檜村君に感謝したかっただけなの」
「は……?」
「教えてくれてありがとう、って。……友達とかには、いつもこうして感謝していたから……」
私の言葉に、檜村君は少しだけキョトンとした。
私は深呼吸をして、彼の手首の包帯に触れた。
「私……もっと貴方と、仲良くなりたい。それって……ダメなのかな……?」
「……ダメ……」
微かに聴こえた声に、私は包帯から指を離した。
彼は俯いていて、表情を伺えない。
「僕は……———」
やがて呟かれた言葉に、私は目を見開いた。
顔を上げた彼は、何も言わずに立ち上がり、どこかに歩いて行く。
『僕は……君を殺したい……』
彼の後ろ姿に、ノールの面影が重なった。
- Re: フレッシュプリキュア!〜裏切りと信用〜 ( No.13 )
- 日時: 2017/04/29 09:27
- 名前: ひのり (ID: fYNkPhEq)
<陸視点>
ついに……言ってしまった……。
図書館を出た僕は、ただ地面を見つめたまま歩く。
隠すつもりだった、僕の本心。それをつい、彼女に言ってしまったのだ。
『君を殺したい』
確かに、これは僕の本音だ。
でも……なんでだろう……。
「なんで……こんなに胸がかき乱されるんだ……?」
罪悪感や、申し訳なさが胸の奥を駆けまわる。
なぜだ? 僕にとって、山吹祈里に嫌われることくらいなんてことないハズだろ?
おかしい。何かがおかしい。
僕にとっての彼女の存在は……一体何なんだ?
———全て消してしまえば、関係ない———
脳内に声が響く。
僕はフラフラと歩きながら、ポケットの中に入れた球根に指で触れる。
声は、さらにハッキリと聴こえてくる。
———例えば、テストの答えが分からないなら、テストそのものを消してしまえば、答えなんてものは意味を成さない。この意味が……分かるか?———
あぁ……分かる……。
けど……今は、怒りは感じていない……。
だから……いらない……。
———いらない……? もし奴を消せなければ、いずれ貴様は裏切られるぞ?———
……なぜかは分からないけど……彼女は僕を裏切らないような気がしてくるんだ……。
よく分からないけど、信じてみたいって……思うんだよ……。
———……そうやってお前は、『彼女』に裏切られたんだろ?———
その言葉に、僕の背筋は凍った。
『彼女』……『アイツ』は……!
『あはは! まさか本当に好きだと思ってたの!? そんなわけないじゃん! 誰がアンタみたいな根暗と付き合うかっての』
『全部お遊びだよ、お遊び。信じる方が馬鹿なんじゃないの?』
「あああああああああああああああああああああああああああああッッッッッッッッ!!!!!!」
思い出した瞬間、頭の中が真っ赤になる。
目の前が赤くなって、こめかみから血管が千切れるような音がする。
その瞬間、球根から、力が溢れ出てくるのが分かった。
それは僕の指先から伝わり、体の中に入り込んでくる。
ぁぁ……ぁぁああああああ……。
———全く、単純なものだな……———
そんな呟きと共に、僕の髪は灰色に染まった。
- Re: フレッシュプリキュア!〜裏切りと信用〜 ( No.14 )
- 日時: 2017/04/30 15:28
- 名前: ひのり (ID: fYNkPhEq)
<祈里視点>
ズゥゥゥゥン……。
腹に響くような音と共に、図書館内が揺れた。
私は咄嗟にテーブルの下に隠れ、倒れる本棚から身を庇った。
その時、小さな子供が、倒れそうな絵本の本棚の近くにいるのが見えた。
「危ないッ!」
咄嗟に私は飛び出して、その子の体を抱きかかえた。
そのままフローリングの床に体を打ち付け、少し滑る。
すると、絵本が入った本棚がグラリと揺れて、大きな音を立てて倒れた。
「ハァ……ハァ……大丈夫?」
私が聞くと、女の子はコクッと小さく頷いて立ち上がり、お母さんの元に走って行く。
慌てて立ちあがろうとした時、左足にズキッと痛みが走り、私は膝をついた。
まさか、さっき捻って……?
そう思っていた時、またしても図書館が大きく揺れた。
「君! 大丈夫か!?」
その時、男の人が駆け寄って来てそう言ってくる。
私はそれに小さく頷いて、立ち上がる。
痛みはあるけど、走れないこともない。
なんとか歩いて非常口から外に出ると、そこでは、ソレワターセが滅茶苦茶な動きで暴れていた。
「ソレワターセ……? でも、なんだか様子がおかしいような……?」
私がそう呟きながらも、リンクルンを取り出し、変身した。
「イエローハートは祈りの印! とれたてフレッシュ! キュアパイン!」
名乗りを終えて、私はまっすぐソレワターセを見上げた。
巨大な体。少しでも近づいたら、殴られそう。
そう思っていた時、カラフルな光が、ソレワターセにぶつかった。
「ピーチ! ベリー、パッション!」
「遅いよパイン!」
ピーチの言葉に謝りつつ、私はすぐに手を構えた。
その時だった。
「またお前か……」
怒気に染まった声が聴こえ、背筋に寒気が走るのを感じた。
振り返ると、そこには、ノールが立っていた。
「……ノール……」
「いつも……いつもそうだ……お前は、『俺』の邪魔ばかりッッッ!!!」
その言葉と同時に、ソレワターセの動きが激しくなる。
蔦がピーチ達の体を薙ぎ払い、そのまま近くにあった建物の一部を半壊させる。
「な……」
「パイン……山吹祈里……お前だけは、『俺』が、『俺』がぶっ殺すッッッ!!!」
一瞬、彼の存在がぶれた。
気付いたら目の前まで彼が近づいてきていて、私の首筋に蹴りが入れられていた。
私は吹き飛び、どこかの建物に体をぶつける。
「パイン……」
「……ごめん。皆……彼は……私に任せてくれないかな……?」
私の言葉に、三人が目を見開いたのが分かった。
それに、私は無理矢理笑顔を作って見せて、顔を上げた。
目の前にいるソレワターセ。その存在は強大で、とても太刀打ちできそうにない。
でも……ッ!
「私は自分を信じて……」
「そうやって、また薄っぺらい信頼を口のするんだろぉッ!?」
その言葉と同時に、ソレワターセの蔦が襲い掛かる。
私はそれをどうにか躱して、少しずつノールに近づく。
「違うよ……私は、裏切ったりしない!」
「嘘だ……嘘だ。嘘だッ!」
彼の叫びに呼応するように、ソレワターセの動きが激しくなっていく。
しかし、その動きはだんだんと単調になっているので、だんだんと躱すことは楽になっていく。
私は手で蔦をいなして、ノールに駆け寄る。
「ねぇ……」
「来るなッ! そうやって僕を惑わせるんだろッ!? 学校でもそうじゃないか! 男子生徒をたぶらかして、笑顔で惑わせて、最後には捨てるんだッ!」
「違うよ……」
「そんなお前が、僕は大嫌いだよッ! 『あの女』に似てるんだよお前はッ! 『アイツ』だって、そう言っていたさッ! 笑顔で、信じてるとッ! 陸君しかいないとッ! その女と言ってることも同じだし、何よりお前は……ッ!」
「ノール!」
私は一気に距離を詰め、彼を抱きしめた。
すると、ソレワターセの動きが、収まる。
「な……」
「止めようよ……誰かを恨んでも、悲しいだけだよ……? 私は『君』のことは裏切らないし、私だって、信じてるから……」
「で、でも……!」
「お願い。もう、誰も信じてないとか、言わないで。虚しいだけだよ?」
ノールの抵抗する力が無くなって、腕がダラン、と下がるのが分かった。
やがて、彼の服が、ラビリンスの服から、見覚えのある服に変わる。
ほとんど同時に、ソレワターセも消え去っていく。
「……やっぱり」
抱いていた少年の顔を見た瞬間、私はそう呟いた。
そこには、クラスメイトの檜村君がいた。
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