二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- フレッシュプリキュア!〜裏切りと信用〜
- 日時: 2017/04/20 15:11
- 名前: ひのり (ID: CzRhDmzb)
こんにちは!映像版ではプリキュアの小説でおなじみのひのりです!
今日からはフレッシュプリキュアの小説書きます。
前にも書いただろとか言われそうなので言わせてください。ブッキー中毒なんです。
楽しんでいただけるよう頑張って書くので、温かい目で見てやってください。
それでは、よろしくお願いします。
- Re: フレッシュプリキュア!〜裏切りと信用〜 ( No.1 )
- 日時: 2017/04/20 22:17
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
気持ち悪い。全てが、気持ち悪い。
学校の廊下を歩きながら、僕は何度目かになる舌打ちをした。
新しい学校。高校一年生になっても、結局僕の心情も、人を見る目も、何もかも変わってなんかいやしない。
周りの人間は無機質なマネキン人形にしか見えず、何を見ても感動なんて起こりやしない。
僕は……人を信じることができない。
人は裏切る。裏切られる悲しみから逃げようとした結果、人が人形にしか見えなくなった。
しかし、それでも治したいとは思えなかった。
人は少しでも信じたら、裏切る。人間だと思ったら、生きてるって自覚してしまったら……きっと、その直後には僕のことを裏切るんだ。
人間に比べて、獣は良い。
奴等は単純だ。
餌を与えれば喜び、罰を与えれば従う。
人間と違って、純粋で、騙される不安がない。
大体、奴等には自我もなければ心だってない。
仮にあったとしても、こちらとの意思疎通手段がないから、意味はない。
結果として、奴らが僕を裏切る不安はなくて、僕にとってそれは、とても気が楽だった。
だから、僕は獣医になる道を選んだ。
元々、勉強はできた。
親は僕を医者にしたかったようだが、生憎、僕は人間を治療するつもりはなかった。
人間を治療するくらいなら、獣の相手をしたい。
そう思った僕は、親とは話し合った末に、獣医になるための高校に入れられた。
ガララッ。
教室の扉を開けると、すでにそこには多くの生徒がいて、雑談に興じていた。
……興味無し、と。
周りを一瞥した僕は、人の気配に紛れ込むように、前に貼ってある席順表に向かった。
上から下へと確認し、僕は自分の名前を見つけた。
『檜村 陸(ひのむら りく)』
自分の名前を確認し、僕は自分の席の場所を確かめ、ついでに隣の席になる相手を確認した。
……山吹祈里……か。やまぶき、という苗字は初めて聞いたな。
まぁ、どうでもいいか。僕は席順表から離れ、自分の席になるであろう場所に向かう。
すると、そこでは、どうやら近くの席になったであろう男子何人かが話していて、僕の席の椅子を無断で使っていたりする。
……面倒だな。
「えっと……そこ、僕の席で……」
「町に怪物が現れて、もうダメか! って思ったよ。そうしたら、プリキュアが助けてくれて……」
……完全無視か。
仕方がないので、僕は彼の肩を叩き、注意を向けた後で、続けた。
「……そこ、僕の席だから……どいて」
「えっ? ……あぁ、そうなのか。悪かったな」
案外普通にどいてくれた。
しかし、どういう意図を持ったのか、男子達は僕から離れて、別の場所で雑談を始めた。
別に近くでも構わなかったのだが……まぁ良いか。
僕はすることもないので、机に突っ伏して、時が経つのを待つ。
その時、猛烈な睡魔が襲って来た。
僕は睡魔に促されるように瞼を閉じて、眠りにつき……———「うわ、何だあの子、可愛い……」———。
誰かの呟きと同時に、教室内の空気が変わったような気がした。
体を起こし、僕は辺りを見渡した。
「へ? えっと……ここのクラスじゃなかったかな?」
不安そうに周りを見ている一人の少女。
茶色の髪を肩で揃え、頭の左側で、一部をまとめている。
大きな目はせわしなく動き回っていて、明らかに動揺しているのが目に見えた。
何より、顔がすごい整ってる。そのおかげか、男子生徒がデレデレしちゃって、席順表をわざわざ確認したり、席に案内したりしてる。
まぁ、あまり関わり合いにならないようにしよう。
僕は再び机に突っ伏して、瞼を閉じた。
「……できるって、私、信じてる!」
先ほどの少女の声が、少しだけ聴こえた。
信じてる……か。
「……くだらない」
誰にも聴かれない小さな声で、僕は呟いた。
- Re: フレッシュプリキュア!〜裏切りと信用〜 ( No.2 )
- 日時: 2017/04/21 15:49
- 名前: ひのり (ID: CzRhDmzb)
入学式は、いつも以上に長く感じられた。
なぜなら、僕の隣になった山吹祈里が男子にモテモテすぎて、移動中などはかなり騒がしかったのだ。
普段ならあまり気にしない程度の騒音だが、この時僕は、うざったくて仕方がなかった。
大体、山吹祈里の存在も気に食わない。
まるで口癖のように「私、信じてる」などとのたまい、薄っぺらいその一言で男の心を惑わせる。
実際、奴は周りに集まる男共に苦手意識を抱いていた印象がある。
笑顔は引きつっていたし、本当は「早くどこかに行ってほしい」という感情が見え隠れしていた。
しかし、それを隠して、無理矢理笑って……気持ち悪い。
僕は、そうやって人をだます人間が、一番信用できない。
担任教師からの話などを聞くときに周りから生徒が一度離れたとき、彼女が僕に話しかけてきたことがある。
『あ、隣になった山吹祈里です……。よろしくね』
そう言って笑ったあの女の笑顔が、頭から離れない。
女なんて生物そのものが、信用できない。
だってそうだろ? 自分の都合のために、女は笑顔で人を騙し、手駒にするんだ。
「チッ」
舌打ちをして、僕は地面に落ちていた空き缶を蹴り飛ばした。
それは地面を二度バウンドして、甲高い音を立てながら転がる。
僕はもう一度舌打ちをして視線を下げた時、妙なものに気づいた。
「ん……? なんだこれ」
呟きながら、僕は手に取ってみる。
それは、球根のようなものだった。
しかし、やけに禍々しいオーラを纏っていて、握りしめた手に汗をかくのを感じた。
———力が欲しいか?———
どこからか声がする。
力? 何の力だよ?
———その嫌いな人間をすべて消し去る力。自分を裏切る人間を殺す力———
その言葉に、僕は球根を握りしめる手を強くした。
僕を裏切る人間を……消す……?
じゃあ、あの山吹祈里も? 僕を裏切った、あの女も……?
———貴方の思うがまま。すべては、貴方の使い方次第———
僕の……使い方次第……。
僕は……裏切られるのが怖い。
裏切られて傷つくくらいなら、最初から誰も信じたくない。
そのためなら、たとえ相手を人間として見られなくてもいいくらいに。
でも、そんな相手を全て消せるなら……。
僕は、この力を……その力を……使って……ッ!
目の前が真っ赤になって、体が熱くなる。
殺したい。消したい。
僕を裏切る嘘つきな人間を。
誰かを騙す腹黒い人間を。
消したい!
そう願った瞬間、球根から何かがあふれ出てきて、僕の腕を伝い、体に流れ込んでくる。
意識が遠くなって、何かが……———ッ!
- Re: フレッシュプリキュア!〜裏切りと信用〜 ( No.3 )
- 日時: 2017/04/22 15:56
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
<祈里視点>
「ブッキー入学式おつかれさまー!」
ラブちゃんは、そう言ってクラッカーを鳴らした。
現在、私とラブちゃんはカオルちゃんのドーナツカフェでドーナツパーティをしている。
「ありがとう、ラブちゃん。でも良いの? 勉強しなくて」
「うっ……。今日はブッキーの入学式だもん。しっかりと祝わなきゃ」
「終わったらお勉強教えてあげるね?」
「……」
私の言葉に、ラブちゃんは何も言わずに、椅子に座った。
そういえば、と私は鞄の中から雑誌を取り出した。
「見てみて。お父さんがたまたま買って来たんだけど」
「ん? あー! 美希たんだ!」
そこには、ポーズを決めている美希ちゃんの姿があった。
中学校を卒業した美希ちゃんは、パリに行ってモデルとして大活躍中だ。
噂では、一つ下の天ノ川きららちゃんっていう子もすごく優秀で、日本人の間では美希ちゃんかきららちゃんかで派閥争いが起こってるらしい。
私たちは、当然美希ちゃん派だけどね。
「すごいなぁ美希たん。せつなも、ラビリンスの復興順調らしいよ。この間電話来たから」
「そうなの!? 良いなぁ……」
私は、そう言いながらドーナツを齧った。
その返答にラブちゃんはしばらくドーナツを見つめた後で、口を開いた。
「そういえばさ、ブッキーは友達、できた?」
ラブちゃんの言葉に、私は一度ドーナツを喉に詰まらせかけた。
ゆっくり噛み砕いて飲み込み、一度息をつく。
「……できたよ」
「本当!? 良かったぁ。ブッキーって昔から引っ込み思案だからさぁ」
そう言って笑うラブちゃんに、私はなんとか笑顔を作る。
……最低だよね。
心配させないために、嘘をついた。
でも、嘘になんてさせない。今日は、男の子達はなぜかたくさん話してくれたし、女の子とも仲良くなれるハズ……。
「そうやって嘘つくの、うぜぇんだよ」
唐突に聴こえた声に、私は顔を上げた。
遠くに見える姿に、私は息を呑む。
ねずみ色の髪に白い肌。白みがかった紫色の目に、頭には植物のような飾りを付けている少年が、そこには立っていた。
服装は、ノーザが着ていたような服にデザインは似ている。あれを男用にしたような感じだ。
「だ、誰……?」
「我が名はノール。ラビリンス総統、メビウス様が下僕」
そう言って、ノールは丸い種のような物体を取り出した。
……ソレワターセ!?
私が反応するより先に、ノールはそれを地面に放る。
すると、それはムクムクと巨大化して、ソレワターセと化した。
「ラブちゃん!」
「い、行くよ! ブッキー!」
そう言ってリンクルンを取り出すラブちゃんに私も頷き、ノールに目を向けた。
彼は冷たい目で私たちを見つめている。
……今は、集中しなくちゃ……。
私は一度深呼吸をして、リンクルンを取り出した。
- Re: フレッシュプリキュア!〜裏切りと信用〜 ( No.4 )
- 日時: 2017/04/22 20:42
- 名前: ひのり (ID: uLF5snsy)
「チェインジ! プリキュア! ビートアーップ!」
掛け声と共に、私たちは変身する。
久しぶりに変身するが、あまり違和感などはない。
「ピンクのハートは愛ある印! もぎたてフレッシュ! キュアピーチ!」
「イエローハートは祈りの印! とれたてフレッシュ! キュアパイン!」
名乗り終ると同時に、私たちはソレワターセに向かって走る。
振り下ろされた蔦をかわし、私は一気に距離を詰めた。
「悪いの悪いの飛んでいけ! プリキュア! ヒーリングブレアー!」
手に黄色い光を纏わせ、私はソレワターセにぶつけた。
直後、黄色の閃光が瞬き、ソレワターセの体を揺らがせた。
その間に、ピーチはピーチロッドを出しながら、ソレワターセの背後に迫る。
「悪いの悪いの飛んでいけ! プリキュア! ラブサンシャインフレーッシュ!」
その叫びと共に、ピーチロッドから桃色の光を飛ばす。
しかし、ソレワターセにはあまり効かず、少々体を傷つける程度だった。
「やっぱり、ラッキークローバー・グランドフィナーレじゃないと……」
「でも、美希たんもせつなもいないんだよ? 私たち二人でやらなくちゃ」
ピーチの言葉に、私は頷く。
とにかく、私たちにできることをしないと。
そう思ってパインフルートを出そうとした時だった。
「プリキュア! エスポワールシャワー!」
その言葉と共に、青い光がソレワターセを襲う。
さらに、「プリキュア! ハピネスハリケーン!」という言葉と同時に、赤い竜巻が襲い掛かった。
「おまたせ。ピーチ、パイン」
「みっ……ベリー! パッション! なんでここに!?」
「話は後。一気に決めるわよ!」
その言葉に私たちは頷き、私はパインフルートを、ベリーはベリーソードを取り出して、ソレワターセに向き直る。
私たちは顔を見合わせて、コクッと頷き合った。
「「「「悪いの悪いの飛んでいけ!」」」」
「プリキュア! ラブサンシャイン……!」
「プリキュア! エスポワールシャワー……!」
「プリキュア! ヒーリングブレアー……!」
「プリキュア! ハピネスハリケーン……!」
「「「「フレーッシュ!」」」」
四人で放った光はソレワターセにぶつかり、浄化していった。
やがて、そこには何もなくなり、私たちと、ノールと名乗った少年が対峙していた。
「貴方は一体……何なの?」
「……我が名はノール。ラビリンス総統……」
「そんなことを聞いているんじゃないわ!」
パッションの激昂に、ノールは不思議そうに首を傾げた。
彼女は続ける。
「ラビリンスの幹部に、ノールなんて名前はない! 幹部は皆、改心するか浄化するかのどちらかの末路を遂げている」
「へぇ」
「でも……貴方は何? データにもないし、貴方はまるで……プログラムに生まれた、バグみたい」
それを聞いたノールは、微かに目を細めた。
「……僕はただ、いらない人間を抹殺するだけ。そのための力を得た」
淡々とした言葉。機械のような抑揚のない声が、逆に私の恐怖を煽る。
……怖い。
なんとなく、そう感じてしまった。
「最初は、お前だ。山吹祈里」
そう言って、彼は私を指さした。
正直、そんな言葉は想像できていなかったので、私は何も言えなかった。
彼は続ける。
「お前を倒したら、『あの女』を……そして、ゆくゆくは、全ての人間を消してやる……」
そう言って、ノールは踵を返し、去って行く。
「ちょ、ちょっと待って!」
ピーチとベリーが追おうとしたが、元々距離も遠かったためにすぐに見失ってしまった。
呆然とする私に、パッションが近づいてきて、聞いてきた。
「貴方、彼に何をしたの?」
……もう何も、分からないよ。
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