二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- ポケモンストーリー コロシアム編
- 日時: 2017/07/08 19:59
- 名前: たくと七星 (ID: 9BwAWVgb)
またお会いします、現在ポケモンストーリーを連載しているたくと七星ですが、今回もまた新しいポケモン小説を書いてみようと思います。今回は「ゲームキューブ版」の作品、ポケモンコロシアムのシナリオのストーリーです。
<概要>
・主人公は丸〜い性格?
ポケモンコロシアムと言うとハードボイルドな感じがあって主人公も中々クールでワイルドな印象を与えているのですが、今作では見かけによらずに繊細で優しい性格の主人公にしていきたいと思います。そのギャップさを楽しんでいただけたらと思います。
・ヒロインも可愛く可憐に
本作の特徴でヒロインがパートナーになって主人公と行動するのがあります。そのヒロインのデザインが中々可愛いので愛くるしさのある、守ってあげたくなるような存在として描いていけたらと思います。私の勝手な趣向で主人公との淡い感じもありますのでよろしくいただけたらと。
・ゲーム本編にはなかった要素を追加
当時の原作にはなかった様々な要素を本作で描いていこうと思います。主にポケモンの次回作での新たな進化や連載作でも取り上げているz技などを追加していこうと思っています。
・ダークポケモンに新たな要素を
原作の最大の特徴としてはダークポケモンが登場しますが、その能力の更なる強化や付加を追加していきたいと思います。どんなものになるかは本作を見ていただけたらと思っています。
・ダブルバトルに力を
原作ではバトルはダブルバトルが通常となっているので二体のポケモンの協力プレイや連携に力を注げたらと思っています。
以上が本作の概要です。本作はストーリー上、それほど長い物語にはならないと考えていますので現在連載している方よりも早めに終わると思いますが、楽しんでみていただけたらと思っています。
<主要人物紹介>
・ヌーン
本作の主人公。エーフィ、ブラッキーをパートナーとしている青年。スナッチ団のアジトからスナッチマシーンを奪い取り、街外れのスタンドに来た所である運命的な出会いをする。キツイ外見とは正反対に自分の見た目を気にしたりするなど繊細で優しい性格の持ち主。ムンに一目惚れしてからは彼女のことは命懸けで守ろうとする勇敢さを持っている。
・ムン
本作のヒロイン、謎の敵組織に袋詰めにされてさらわれていたところをヌーンに助けられる。明るく可憐な性格でヌーンのことを「王子様」と呼んで慕う愛らしさのある女の子。何かしらの不思議な力があるようで・・・。
- Re: ポケモンストーリー コロシアム編 ( No.1 )
- 日時: 2017/07/08 21:12
- 名前: たくと七星 (ID: 9BwAWVgb)
プロローグ「街外れのスタンド」パート1
はるか彼方にあるとされている広大な荒野が続く世界、オーレ地方と呼ばれる場所である。厳しい環境のためか生息するポケモンは少ないがトレーナーはいた。そして彼等はポケモンを使ってバトルをしてある者は戦いのために、またある者はポケモンと絆を深めるために・・・。
ここ、荒野の一角にある基地、そこで爆発音が響いた。エーフィとブラッキーを連れた青年は研究所にあった不思議なマシーンを手にすると、ジェットエンジン式のマシンに乗ってそこを脱出。基地のボスらしき人物が激昂した頃には全てが終わっていたのだった・・・。
<街外れのスタンド>
荒野の砂漠、ここに一つだけあるオーレ地方の人々に憩いの場がある。スクラップになった蒸気機関車で出来た食堂、そのスタンドにマシンから一人の青年が降りた。
「ふう、上手くいった・・・」
その青年、ヌーンは一息吐くと肩に装着させたマシーンを見て側にいたエーフィとブラッキーに声をかけた。
「ありがとう、お陰で成功したよ。これで不幸なポケモン達を助けることが・・・」
ヌーンが言っていると、エーフィがある物に目をやった。ヌーンが見るとそこには一回り大きな走行車があり、その上に何かが置かれていた。スタンドからサングラスをかけた二人組の男が満足そうに出て来た。
「ふう、やったなヘボイ、これであの方に褒められるぜ」
「ああ、お陰にいい獲物を捕まえたせいか今日の飯も上手いぜ」
その二人、トロイとヘボイは走行車に乗ろうとした。その時、置かれていた大きな袋が暴れだして落ちてしまった。
「おい、落っこちたぞ!」
二人組が運ぼうとすると、
「もごもがーっ、出してよ、人さらいーっ!」
袋の中から少女の声が聞こえて来た。トロイとヘボイは何とか抑えて運ぼうとする。
「これ、暴れるなって!うん?」
「く!」
するとそこにいたヌーンと顔を合わせてしまう。
「おいお前、見たな!」
「見たなら、どうするのかな?」
「決まってら、勝負で黙らせてやるぜ!」
トロイとヘボイはボールを投げてゴニョニョとイトマルを繰り出して来た。
「行くよ・・・」
ヌーンは近くにいたエーフィとブラッキーを出した。
「ゴニョニョ、ちょうおんぱだ!」
「イトマル、どくばりだ!」
トロイとヘボイの指示でイトマルとゴニョニョはどくばりとちょうおんぱを飛ばして来た。
「エーフィ、リフレクター!」
ヌーンの指示でエーフィはリフレクターを張ってその攻撃を防いだ。そこへブラッキーがあくのはどうを放ってゴニョニョとイトマルを一掃した。
「うわわ、こいつ強いぞ・・・!」
「さあて、まだやるかな?」
「ひ、ひえええ、逃げろーーーっ!」
鋭い視線にある強い気迫にトロイとヘボイはその声のする袋を置いて走行車に乗り逃げ去っていった。
「さあて、君、聞こえる?」
「あ、あの、助けてくれたのですか・・・?」
「うん・・・」
「あ、ありがとうございます!あの、ここから出してくれますか・・・?」
ヌーンは受け入れてその袋の紐をほどいた。
「きゃん!」
中から一人の少女が仰向けに倒れて出て来た。彼女を見てヌーンは頬を赤くする。
(何て、可愛い子なんだ・・・)
その少女はとても愛らしかった。オレンジのツインテールに白い肌、青いガウンに胸部までの紫のへそ出しのシャツ、そのため小さく可愛いへそが露出して純白のミニスカートにピンクのブーツを履いた少女。
(この人が、私を?見た目は怖そうだけど・・・、けどいい人よ。だって私を助けてくれたんだから、凄く素敵な人に違いないわ・・・)
少女も彼、ヌーンに頬を赤くしてしまった。
「大丈夫かな?」
「あ、はい・・・」
差し出された手を少女は握って起き上がった。
「あの、助けてくれてありがとうございます!ここは・・・?」
少女は廻りを見て、見慣れない光景に戸惑っていた。
「ここは街外れのスタンド、君はあいつらに捕まっていたんだ」
「そうだったわね、本当にありがとう。あの、お名前は・・・?」
「僕は、ヌーン」
ヌーンはここで少女に自分の名前を名乗った。
「凄く、素敵でかっこいい名前・・・、私はムンって言います。あの、ヌーンさん・・・」
「何かな?」
その少女、ムンは恥ずかしそうにこう言った。
「お願いがあるの、私を連れてってくれませんか!あいつらにまた襲われると思うと怖くて・・・」
少女の瞳は不安に満ちて潤んでいた。小動物のようなか弱さを感じさせる彼女にヌーンも放っておけない気持ちになる。
「解った、僕に任せて、何があっても、僕が君を守るよ」
「あ、ありがとうございます!私、足でまといにならないよう頑張りますね!」
受け入れてもらえてムンは眩しい笑顔で感謝した。
「あの、ヌーンさん・・・」
「うん、どうしたの?」
「最初に見た時、恐そうな顔をしてたからどんな人かと思ってたけど・・・」
「よく言われるよ、この顔のことは・・・目つきが悪いとか色々ね」
「でも、貴方はそんなに悪い人には見えない、だって私をあの悪どい人達から助けてくれた。何だか私の王子様みたいだなって・・・」
照れて本音を伝える彼女にヌーンは愛情の念が湧いてしまう。
「ありがとう、君とは仲良くなれそうだね・・・」
「そうだね、うふふ・・・」
嬉しそうに笑う二人、するとスタンドから拍手の音が聞こえて来た。
「いいねえ、あんた。最高のバトルだったよ」
スタンドの入口でピンクの髪に長袖長ズボンの青年が拍手をしてヌーンのことを褒めていた。
「可愛い女の子を助けるなんて中々枠のいい奴じゃないか。気に入ったぜ、おっと自己紹介がまだだったな。俺はウィリー、このオーレ地方を相棒のマッスグマとジグザグマと共に駆けるさすらいのライダーさ」
「その貴方が僕に何のようで・・・」
「決まってるだろう、あんたもトレーナー、俺もトレーナー、となれば答えは決まっているぜ!」
ウィリーはヌーンの前に出てボールを構えた。
「さあ、勝負と行こうぜ、あんたがどんなトレーナーでどんな勝負をするのか、とことんやり合おうぜ、エンジン全開、ゴーっ!」
ウィリーはボールを投げるとマッスグマとジグザグマを繰り出して来た。
「ヌーンさん、大丈夫?」
「心配ないよ、君にカッコ悪い所は見せられないからね。必ず勝ってみせるよ」
ヌーンの言葉にムンはきっとやってくれるかもしれないと思った。ピンクのブーツを弾ませて応援する。
「頑張ってヌーンさん、私、目一杯応援するよ!」
「ああ、行くよ!」
エーフィとブラッキーを前に出してバトルが始まった・・・。
続く・・・。
- Re: ポケモンストーリー コロシアム編 ( No.2 )
- 日時: 2017/07/09 14:49
- 名前: たくと七星 (ID: 9BwAWVgb)
プロローグ「街外れのスタンド」パート2
「エーフィ、スピードスターだ!」
ヌーンの指示でエーフィがスピードスターを飛ばした。
「マッスグマ、ジグザグマ、お前等の走りを見せてやれ!」
「グマ!」
「クーン!」
マッスグマとジグザグマは頷くと走り出した。マッスグマが一直線に走り出し、その間をジグザグマがじぐざぐに走ってエーフィとブラッキーを牽制した。
「今だ、ずつきを食らわしてやれ!」
動けないでいるエーフィとブラッキーにマッスグマとジグザグマはずつきを放って攻撃した。エーフィとブラッキーは吹っ飛ばされるもすぐにバランスを整えた。
「行け、すなかけだ!」
ウィリーの指示で二体はすなかけに出ようとした。
「ブラッキー、くろいきりだ!」
ヌーンの指示でブラッキーはくろいきりを飛ばした。視界を塞がれて動揺するマッスグマとジグザグマにブラッキーはだましうちをして攻撃した。
「エーフィ、サイケこうせんだ!」
サイケこうせんを飛ばすエーフィだが、マッスグマとジグザグマはあなをほってこれをかわしてしまった。
「穴を掘った?!」
ムンが手を口に当てて驚いた。エーフィとブラッキーは周囲を警戒する。すると、周りの地面が揺れる音がしてきた。
「まさか!」
ヌーンがハッとすると地盤が崩れてエーフィとブラッキーが蟻地獄になった地面の下に落下した。砂にはまって動けないでいると地面の上からマッスグマとジグザグマが穴を掘って出て来た。
「その通りだぜ、あんたのポケモンの周囲の地面を掘らせて地盤を脆くさせていたのさ!さあ行けマッスグマ、ジグザグマ!」
ウィリーが指示を出すと、マッスグマとジグザグマは力を溜めて毛を逆立てた。そして無数のミサイルばりをエーフィとブラッキーに飛ばして来た。ミサイルばりの攻撃を受けて二体は苦しむ。
「どうだ、こいつはむしタイプの技だ、エスパーとあくタイプのあんたのポケモンにはかなり効くだろ!」
「エーフィ、バリヤーだ!」
エーフィはバリヤーを張ったが、二体同時に放たれるミサイルばりの威力は高くすぐに砕けてしまう。
「く、強い・・・!」
「負けないで、ヌーンさん!きっと勝てるよ!」
ムンがジャンプして応援していた。
「ああ、君のために勝つ!エーフィ、テレポートだ!」
ヌーンが指示を出すとエーフィはブラッキーと共にテレポートをして蟻地獄の穴から脱出した。
「マッスグマ、ジグザグマ、ミサイルばりだ!」
ウィリーが指示を出してマッスグマとジグザグマはミサイルばりを飛ばそうと力を溜めてきた。
「ブラッキー、あやしいひかりだ!」
ヌーンが素早く動いた。ブラッキーはあやしいひかりを飛ばしてマッスグマとジグザグマをこんらんさせた。
「ク〜ン・・・」
「グマ〜・・・」
二体は目を回してフラフラ状態になった。
「ジグ〜」
ジグザグマは間違ってマッスグマにミサイルばりを放ってしまった。
「マグーーーっ?!!!」
マッスグマは背中に針が刺さって回りだした。
「グググ、グマーーーっ!!!」
混乱状態だったために怒り狂いジグザグマをきりさくで攻撃した。
「ジグーーーっ!!!」
ジグザグマも怒り出して同士討ちになってしまう。
「お、おいおい、お前等やめろって!」
ウィリーが慌てるて止めようとするが二体は喧嘩を止めようとしない。ジグザグマはマッスグマの尻尾に噛み付き、マッスグマは痛がって走り出した。
「ヌーンさん・・・」
ムンが目をキラキラさせると、ヌーンは決めに出た。
「勝たせてもらうよ、エーフィ、ブラッキー、サイケこうせんとあくのはどうを合わせるんだ!」
ヌーンの指示でエーフィとブラッキーはサイケこうせんとあくのはどうをらせん状の光線にして発射、マッスグマとジグザグマに命中させた。二匹は吹っ飛ばされてあっという間にやられてしまった。
「やった、ヌーンさん!」
ムンが走り出してヌーンに手を握って喜んだ。
「やれやれ、早く仲直りしろよ」
ウィリーはため息を吐いてマッスグマとジグザグマをボールに戻した。
「いやあ、いい勝負だったぜ、最高だよあんた!そうだ、あんた達、旅の途中なんだろ、ならフェナスシティに行ったらどうだ?」
「フェナスシティ?」
「そうだ、石室と美しい水が流れる景観のいい街だ。きっと気に入ると思うぜ」
「フェナスシティ・・・そうだ!」
ムンが何かをひらめいた。
「ヌーンさん、私をそのフェナスシティに連れて行ってくれない、そこでやりたいことがあるの!」
「ああ、任せて、行こう、フェナスシティへ!」
ムンの手を繋ぐと彼女を補助席に乗せてヌーンはマシンを駆って次の街へと目指していった・・・。
- Re: ポケモンストーリー コロシアム編 ( No.3 )
- 日時: 2017/07/11 21:14
- 名前: たくと七星 (ID: 9BwAWVgb)
episode1「フェナスシティ」パート1
「はあ、はあ・・・!」
何もない暗い世界、ムンは必死に走って逃げていた。後ろを向くと、黒いオーラをまとったと思われるポケモン達が彼女を追いかけていた。
「いや、いや、来ないでよ・・・」
怯えた瞳で涙を流しながら走るが徐々にポケモン達が近付いていく。すると、足場の感覚が無くなり、奈落の底に落ちる。
「きゃあああああ、助けてーーーっ!!!」
その時、落ちていく少女の手を誰かが掴んだ。
「ああ、貴方・・・」
その人物を見てムンの顔から笑顔が浮かんだ。
「ヌーンさん・・・」
「君は僕が必ず守る・・・」
「はっ?!」
そこで彼女は目を覚ました。息を吐いて、体中が汗で濡れていた。
「ムン、どうしたの?」
ヌーンが目を覚ましてムンを見た。フェナスシティへ向かう途中、夜になり荒野の真ん中で夜を明かすことになったのである。マシンで寝ていた所で、ムンが目を覚ました所だった。
「ヌーンさん・・・、う、ひっく、ヌーンさーん!!!」
彼の顔を見てムンは彼に泣き付いて来た。体は恐怖に震えていてヌーンは彼女を放さないように受け止めている。
「何か悪い夢でも見たの?」
ヌーンが言うとムンは目に涙を流して無言で頷いた。
「私、時々怖い夢を見ることがあるの。黒いオーラをまとった恐ろしいポケモン達に追いかけられる夢を。どんなに走っても追いかけて来て、最後は・・・嫌!思い出すだけで怖い!ヌーン、貴方にはまだ言ってなかったんだけど」
「何だい?」
「私、その黒いオーラをまとうポケモンが見えてしまうの。それが原因であいつらにさらわれて、それであの夢を見てしまう。私、怖い・・・。自分が自分で無くなっちゃうと思うと・・・」
目を涙で濡らしてムンは自分の過去とその悪夢を語った。ヌーンは静かに聞いて彼女を優しく抱き締めた。
「ヌーンさん・・・?」
「これなら怖くないよ。安心して、これから先、どんなことがあろうと君のことは僕が守る。泣きたい時、悲しい時は必ず側にいる」
「ありがとう・・・、ヌーンさん、優しいんだね。夢で見たように・・・」
「夢?」
「今日見た夢である人が助けてくれたの。それはヌーンさん、貴方だったの。私、貴方に会えて良かった。いつも一人で心細かったの・・・、一緒なら、怖い夢も見ないよね」
ムンの顔から不安が無くなっていた。彼女を寝かせると、ヌーンも一眠りにつくのだった・・・。
<フェナスシティ>
そして、ヌーンとムンは目的地、フェナスシティに到着した。
「うわあ、綺麗・・・」
石と水による美しい景観にムン心ときめいていた。石を詰み合せて出来た街並み、そして街を流れる水が陽に照らされて水晶のように輝いていた。
「ムン」
ヌーンがムンに手を差し伸べた。
「手を繋ごう。それなら襲われない」
「えへ、ありがとう」
ムンはヌーンの手を繋ぎ、街を歩いていく。
「ここで何をするの?」
「うん、街の市長さんと話がしたくて・・・」
中央の噴水でランニングしているポワルンを連れたトレーナーに市長の家がどこか聞いた。
「市長さん、市長さんなら階段を登って左側にあるよ」
「そうなの、ありがとう」
「しかし、お似合いだね、お二人さん」
「え?」
「美男美女のカップルって絵になるって言うしさ」
トレーナーの言葉にヌーンとムンは頬を赤くして照れてしまった。
「二人共、旅をしているならパイラタウンには気を付けなよ」
「パイラタウン?」
ヌーンが聞くとトレーナーが説明した。
「あそこは風がいけれど住んでいるのは戦いのことしか能がない野蛮な連中ばかりだからね。それに比べればここは一番住みやすくていい方だよ」
トレーナーの話を聞いた後二人はその市長の家に歩いて行った・・・。
続く・・・。
- Re: ポケモンストーリー コロシアム編 ( No.4 )
- 日時: 2017/07/19 21:28
- 名前: たくと七星 (ID: 643MqHaL)
episode1「フェナスシティ」パート2
街の中央、その右側に市長の家があった。近くに来ると、扉が開く。
「きゃっ!」
現れた人物にムンは怯えてヌーンの後ろに隠れてしまう。ヌーンは彼女を守るように前に出た。
「ほう、中々頼もしい少年ではないか?」
その人物は、灰色の蛇のようにくねったヘアーに血のような赤い目をして紫の禍々しい衣装を着た男だった。にやりと薄笑いを浮かべて二人をつぶさに見た。
「君とはまたどこかで会いそうだな。ではこれで失礼するよ」
男は静かに去っていった。
「はあーっ、怖かった。何だか死神みたいで夢にも出てきそう・・・」
ムンはため息を吐き、落ち着いた。
「大丈夫だよ、僕がちゃんと守るから」
「うふふ、ありがとう、ヌーンさん。さ、行こう」
手を繋いで二人は市長の家に入る。
「おや、旅の方ですかな。ようこそフェナスシティへ。私が市長のバックレーです」
左右にある団子型の髪型にマスコットキャラのようなゆるい笑顔。丸っこい体型をした大道芸に出て来そうなピエロのような愛嬌のある人物がそこにいた。
「市長さん、私の話を聞いてくれませんか?」
「ええ、よろしいですよ」
ムンの話をゆるふわの市長は快く受け入れた。
「私、見たんです!黒いオーラをまとったポケモン達を」
「何と、そのような恐ろしい存在がいるのですか」
「はい、それで怪しい人達にさらわれて、勝手なわがままかもしれませんが、そのポケモン達について調べてもらえないでしょうか?」
「ええ、もちろんですとも。こんなにか弱い娘さんを狙うなど許してはおけませんからね。お任せ下さい。そうだ貴方達、折角この綺麗な街に来たのですからコロシアムに行ってみませんか?」
そう言ってバックレーはコロシアムで腕を振るってみてはどうかと進めてきた。
「ヌーンさん、どうする?」
「行ってみようかな、いい腕試しになるからね」
市長の家を出て奥にあるコロシアムに足を運んだ。早速、受付に来るが、
「申し訳ありません、出場の受付は終了しました」
もうすでに大会の受付は終わっていた。
「そんな、ヌーンさんのカッコいい姿が見たかったのにな」
「そう落ち込むことはないよ。君を狙うあいつらとの戦いで存分に見せてあげるよ」
「そうだね、えへへ」
笑顔になって取り敢えずコロシアムを出たが、
「な、何この人達?!」
「く、こんな所で・・・!」
外で待ち受けていた相手にムンは驚き、ヌーンは苦い顔をした。
「くくく、久しぶりだなヌーン、ここにいると知らされて来てみれば本当にいるとはな」
スキンヘッドの集団が二人を囲んでいた。そのうちの一人サングラスをかけたリーダー格と思われる男がヌーンの前に出た。
「ヤッチーノ・・・!」
「そうだ、俺はスナッチ団ボスの右腕のヤッチーノだ!ヌーン、よくも我々を裏切ってくれたな!」
サングラスで見えないが瞳は裏切り者への怒りの炎で燃えていた。
「ちょっと、何なのあんた達!ヌーンさんが何をしたって言うの?!」
驚くムンにヤッチーノが説明した。
「おっと、おじょうちゃん、俺達がスナッチ団なのは知ってるかな?」
「知ってるわよ、ポケモンを泥棒する集団でしょ?!」
「その通り、そしてこいつは、元はといえば俺達の仲間だったんだ!」
ヤッチーノがヌーンに指をさして彼が自分達の仲間だったことを明かした。
「ヌーンさんがスナッチ団の・・・?」
「そうさ、なのにこいつ、俺達の大事なスナッチマシンを盗み出して俺達のアジトを出て行ったんだ!」
「ちなみにスナッチマシーンって言うのは身につけると相手のポケモンを奪える高性能の・・・」
「てめ、それ以上ベラベラ喋るな!」
下っ端の男が話し出すともう一人の男がその頭をべシっと叩いた。
「ヌーンさん、本当なの・・・?」
神妙な面持ちになるムンにヌーンは迷ってしまう。こんな展開になるなど考えてもみなかったからだ。このことは隠し通しておきたいと思っていたのに突然の展開、もう隠しきれない、ヌーンは遂に口を開いた。
「そう、なんだ・・・、僕は、スナッチ団だったんだ・・・」
失望される、軽蔑されてしまう、そう思っていたが、
「何だかそれって凄い驚きよね!」
気にかけていた彼女はビックリした顔をしていたが、けれどもその顔に失望の念は微塵も無かった。
「おいおいこいつら・・・、まあいい、ヌーン!裏切り者のお前をここで倒してやる。覚悟しておけ!」
ヤッチーノはボールを投げてヘイガニとクサイハナを繰り出して来た。ヌーンはボールを投げようとするも正体を知られたことで心に隙間が出来ていた。
「ヌーンさん、頑張って!」
しかし、そんな彼にムンが応援する。
「ムン、何で・・・」
「大丈夫、ヌーンさんなら勝てるもの。私、貴方を信じてるから」
彼女の笑顔は何かを吹っ切ってくれるようだった。ヌーンは気持ちを切り替えてエーフィとブラッキーを出した・・・。
続く・・・。
- Re: ポケモンストーリー コロシアム編 ( No.5 )
- 日時: 2017/07/27 21:19
- 名前: たくと七星 (ID: 643MqHaL)
episode1「フェナスシティ」パート3
「エーフィ、ブラッキー、でんこうせっかだ!」
「フィーっ!」
「ブラ・・・!」
ヌーンの指示でエーフィとブラッキーはでんこうせっかに出た。
「来たな、ヘイガニ、けむりだまだ!」
「ガニ!」
ヤッチーノの指示でヘイガニはハサミに隠していたけむりだまを出してそれを投げ飛ばした。玉が爆発して煙が出てきて視界を覆ってしまう。そこへクサイハナが煙に紛れてメガドレインをしてエーフィとブラッキーの体力を奪った。
「エーフィ、ねんりきだ!」
エーフィはねんりきをして煙を上空に浮かせてこれを消した。ムンがさすが、と笑みを浮かべた。
「ブラッキー、シャドーボールだ!」
ブラッキーがシャドーボールをクサイハナに飛ばした。しかしヘイガニが前に出てまもるをしてこれを防いでしまう。クサイハナはジャンプしてエネルギーを溜めてソーラービームを放った。
「キュン!」
「ブラ!」
エーフィとブラッキーはダメージを受けて吹っ飛ばされてしまう。
「エーフィ、ブラッキー、ヘイガニを攻撃するんだ!」
ヌーンの指示でエーフィとブラッキーはヘイガニに向かった。
「ヘイガニに集中攻撃するつもりか、甘いぜ!」
ヤッチーノが指示を出すとヘイガニは両方のはさみを開いて違う色の粉を飛ばして来た。粉を浴びたエーフィは眠りについてしまい、ブラッキーは体がしびれてしまう。
「何?」
「まさか・・・!」
ムンがハッとする。もしかしてヘイガニのはさみに何か仕掛けてあったのだろうか。
「その通りだ、煙で動けない間にヘイガニにクサイハナのねむりごなとしびれごなを仕込ませておいたのだ!」
「ヌーンさん!」
ムンが心配になる。しかしヌーンは心配ないよと笑顔をして、息を吸いエーフィを呼びかけた。
「エーフィ!」
「フィ!」
呼びかけに気付いてエーフィは目を覚ました。
「何、呼びかけで?!ヘイガニ、みずでっぽうだ!」
「ガニ!」
ヘイガニはみずでっぽうを飛ばして来た。エーフィはでんこうせっかでかわしてサイケこうせんをクサイハナに放って攻撃した。
「クサ!!!」
クサイハナはこうかばつぐんのダメージを受けて転がった。
「いいよエーフィ、このままやっちゃえ!」
ムンが行けいけとジャンプする。しかしヤッチーノのヘイガニはみずでっぽうをクサイハナに飛ばして来た。するとクサイハナは頭の花弁を向けてみずでっぽうの水を吸収して体力を回復させた。
「どうだ、俺のヘイガニは抜群のサポーターよ!クサイハナを攻撃しようがこいつがいる限りまず倒すことは出来ないぜ!」
勝ち誇った顔をするヤッチーノだがヌーンはどうかなと言わんばかりに意味深な笑みをしてブラッキーに指示を出した。
ブラッキーはしびれた体を動かしてヘイガニに向かって行った。
「何だ、まともに動けてないじゃないか、そんな攻撃など・・・」
対して強い技は出せないだろうと思っていたヤッチーノだが、
「ヘイーーーっ!!!」
ブラッキーの一撃にヘイガニは大ダメージを受けた。
「何、まさか?!」
「そう、からげんきの技を出したのさ、状態異常の時に威力が上がる。ブラッキー!」
ブラッキーはひみつのちからを使ってヘイガニを攻撃、ステージの効果でまひ状態にさせた。
「エーフィ、サイコキネシスだ!」
エーフィはサイコキネシスをしてヘイガニを攻撃してこれを倒した。そしてまひなおしでブラッキーのまひを治してやった。元気になったブラッキーはシャドーボールを動揺しているクサイハナに飛ばしてクサイハナを倒したのだった。
「な、そんな・・・」
二匹の手持ちを倒されてヤッチーノと仲間のスナッチ団達は慌てふためいた。
「くそ、覚えてろよ、ボスやあの方が黙っていないからな!」
捨て台詞を吐いて一目散に逃げていくのだった。
「ふう・・・」
「ヌーンさん、やったね。やっぱりヌーンさんは強いよ!でも、あの人達の仲間だったんだね・・・」
ムンの言葉にヌーンは気持ちが沈む気持ちになる。自分の本当の姿を知られてしまえば失望されてしまうかもしれない。隠しておきたかったことが悪いタイミングでバレてしまった。もう隠せないとヌーンは本当のことを明かした。
「幻滅、したよね。ごめん、僕は君が思っているほど綺麗な人間じゃないんだ。盗人の罪に汚れた犯罪者なんだ・・・」
ヌーンは神妙な面持ちで聞いているムンに自分の過去を話した。
「僕は物心ついた時から一人で赤ん坊の頃、ある丘で捨てられていた所をスナッチ団に拾われて、彼等の元で団員として活動していたんだけど、彼等の非道な行為が嫌になって、この肩に付けているマシーンを悪用されないよう奪い、彼等の元を去った。そのせいで彼等は僕を目の敵にしている。君には知られたくなかったんだ。本当の自分を言えば、がっかりさせられるかもしれなくて・・・」
クールな面持ちからは考えられないほどの悲しげな顔をする。目には涙が浮かんでいた。
しかしムンは失望することなく優しく微笑んでいた。
「泣いちゃダメ・・・」
手にしたハンカチでヌーンの涙を拭いてあげる。そして自分の本当の思いを伝えた。
「私、貴方のことをそんな風に思っていないよ。だって貴方は私を助けてくれたじゃない、怖い夢を見た時私を励ましてくれたじゃない、貴方はとても素敵で優しい人だよ。私にとって貴方は永遠の王子様だもん、たとえそれが汚れた犯罪者でも、この気持ちは変わらない・・・。私ね、貴方のこと、好き・・・」
偽りのない、無垢な顔をする少女。今まで誰かに好きと言われたことないヌーンは微笑んで涙を流した。
「ありがとう、ムン・・・」
「ヌーンさん、貴方は私の王子様で騎士・・・」
「それなら、僕のエーフィとブラッキーは君を守る頼れるお供かな?君という純白のミニスカートに白く透き通った肌に可愛いおへそと綺麗な太ももが似合うお姫様を守る・・・」
「えへ、私の王子様はとっても素敵でカッコよくて勇気のある優しくて温かい人かな・・・」
二人の視線は近付いていた。ヌーンはムンを優しく抱きしめて見つめると優しい口付けをする。暑い衝動に任せるがまま舌を絡め合い、濃厚なキスをする。口を放すと二人の間を水色の糸が垂れていた。
「ごめん、無理やりだった?」
「ううん、ヌーンさんが私を愛してくれたんだもの、嬉しい・・・」
そんあいい雰囲気の所へ、
「おい、何かあった?!」
「大変よ、市長さんの家に怪しい奴らが入っていったわ!」
広場から街の人たちが市長の家が大変なことになっていると騒いでいた。
「ヌーンさん、何かあったみたい!」
「ああ、そのようだね。行こう、ムン!」
ムンはしっかりと頷いてヌーンと一緒に走り出した・・・。
続く・・・。
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