二次創作小説(新・総合)
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- 戦闘中~地球を守れ~【完結!】
- 日時: 2020/01/18 12:17
- 名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
モンブラン博士の戦闘中、最新作はスター流が最大にして最強の敵として人類に襲い掛かります! 伝説の存在である闇野髑髏の号令により地球を破壊しようと圧倒的武力で攻撃を開始するスター流。人類を守る為に反旗を翻したカイザー、ロディ、川村は戦いの中で殉じ、美琴だけとなってしまった。
数少ない味方を集め、美琴は立ち上がる。これ以上、誰も失わない為に。
これまで謎に包まれてきた美琴の本名と正体も明らかになる、最新作!
栄光の7人ライダーの1号とV3も参戦し、夢のオールスターの共演!
新しいプリキュアも登場します!
戦いの果てに訪れるのは究極のバットエンドか再幸のハッピーエンドか……
味方
本郷猛
風見志郎
平光ひなた
南ことり
美琴
オプティマスプライム
ゆうき
こなくん
敵
闇野髑髏
スター=アーナツメルツ
不動仁王
ジャドウ=グレイ
メープル=ラシック
星野天使
応募用紙>>1
1話>>14 16話>>42
2話>>15 17話>>43
3話>>18 18話>>44
4話>>19 19話>>45
5話>>23 20話>>46
6話>>24 最終回>>47
7話>>25
8話>>27
9話>>30
10話>>33
11話>>34
12話>>35
13話>>36
14話>>38
15話>>39
- Re: 戦闘中~地球を守れ~【感想大歓迎!】 ( No.43 )
- 日時: 2020/01/15 07:49
- 名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
スター流本部 会長室
スター「下の階が騒がしいみたいだけど、どうやら星野君は負けてしまったようだね。やっぱり非情に徹するのは彼には難しかったかもね」
こなくん「他を気にしている場合じゃないぜ。あんたの相手はこの僕だ」
スター「勿論、知っているよ。ただ、君が私の相手というのは無謀ではないかと思ってね……でも、せっかく勝負を挑まれているのだから、楽しませてもらうよ」
スター流の創始者は指を鳴らすと、会長室の床が開き、プロレスのリングが顔を出した。そして、扉に鍵をかける。
スター「これで良し。観客がいないのは物足りないけど、君と1対1で闘りあえるね」
こなくん「ハハ……」
スター「鐘を鳴らしたら、いつでも好きな時にかかってきていいからね」
こなくん「ちょっと待て。アンタその格好で戦うつもりなのか」
スターは茶色の三つ揃えのスーツ姿で悠然と構えている。厚そうで動きも制限されそうな服装で戦闘をするなど、こなくんには考えられないことだった。
スター「この姿の方がお洒落だからね。力もある程度抑制されるから、君にはちょうどいいと思うよ」
にこにこと笑みを浮かべているスター。そしてゴングを鳴らした。試合開始。
四角いリングの中をぐるぐると回りながら、こなくんは様子を伺っている。
スターは普通に立っており、特に構えなどは見せていない。けれど、こなくんは攻め込めなかった。返り討ちに遭う想像が頭を過るのだ。だが、攻撃しないのならいつまでも状況は変わらない。彼は様子見を兼ね、フライパンを虚空から出現させる。そして背後から殴ろうとするが、命中する寸前にスターが裏拳を振るい、フライパンを凹ませ使い物にならなくしてしまった。次はバットを取り出し、思い切りスウィング。今度は背に当たったが、金属製のバッドは飴のように曲がってしまった。
こなくん「なんて身体なんだよ。バットが通じねえ」
スター「私の服の埃を払ってくれたのかな。ありがとう」
こなくん「だったらコレはどうよ!」
正面に回り、玩具の巨大ハンマーをスターの額にぶつけるが、ハンマーは一撃打っただけで破裂してしまった。スターの額の強度に耐えられなかったのだ。
スター「このハンマーで倒れた人というのは私は聞いたことがないよ」
こなくん「おらぁっ!」
箒で目潰しをしようと試みるも、簡単に受け止められ、ヘシ折られる。
スター「君の見え透いた考えは私には通じないよ。さて、接近戦用の武器はこれで最後かな。次はどうする?」
こなくん「生憎、僕にはまだまだ武器が沢山あるんでね」
スター「多ければ良いと言うものではないけれど、使ってみなさい」
こなくん「舐めやがって。あとで俺に許しを願っても知らないぜ」
こなくんは距離をとって、バクダンを3個投げつける。直後に爆発。
爆風が発生するが、リングもスターも全くの無傷だった。
スター「自分を巻き込まないように火薬量を抑えたのかな?」
こなくん「通常の10倍の量を入れた。なのに、効いちゃいねぇのか」
スター「成程ね。でも、驚いたよ。まさか私に爆弾で攻撃をする人がいるなんて。
人類の歴史で初の出来事だよ。君は胸を張っていい」
こなくん「これだけは使いたくなかったけど、仕方ないか」
彼が虚空から出現させたのは小型ミサイルだった。小型ではあるが、幾つも放てば相当な威力になる。ありったけのミサイルを撃ち込む。小爆発が何回も起きるが、リングは壊れない。もうもうたる白煙の中、スターの声が聞こえた。
スター「このミサイルはあまりデザインが良くないねえ。この方が可愛いと思わないかね」
ビュンッ!
煙の中から飛び出したのは銀色の津島善子、否、善子の形をした金属製の像だ。
直撃し、こなくんは吐血。
こなくん「アンタ、俺と同じ能力を使えるのかよ」
スター「違うよ。ソレは君のミサイルで作ったんだ。中々よくできていると思わないかね」
こなくん「作った、だと?」
スター「ミサイルを何個か掴まえて、手でこねたんだよ。粘土みたいにね」
創始者は指を鳴らし、像を消滅させる。
こなくん「魔法使いかよ……」
スター「君もスター流に入ればこれくらいのことはできるようになるよ。入門しないかな」
こなくん「絶対に嫌だ」
スター「残念だね」
軽く嘆息するが、貼りついたような口元の笑みは変わらない。
こなくんは敵対している相手とこれまでの短い攻防を振り返り、思った。
この男、底が見えない。
その後も武器を繰り出すが、ブーメランは逆に投げ返され、ビックリ箱も通用しなかった。つまり彼は遠距離・近距離共に武器を使い切り、残るは魔法のステッキのみとなってしまった。
スター「君の武器はこれでお終いだね。そろそろ、スター流の流儀で戦ってもいいかな?」
こなくん「ぐっ……」
ステッキを両手で握りしめ、歯を食いしばる。
試合序盤だが、早くも劣勢に陥ったこなくん。
ここから逆転する策はあるのだろうか。
- Re: 戦闘中~地球を守れ~ ( No.44 )
- 日時: 2020/01/15 20:55
- 名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
こなくんはステッキを虚空に戻し、スターと対峙した。序盤で最後の武器を使うのは得策ではないと考えたのだ。代わりにスターの顔面にパンチを打つ。
軽々とキャッチされ、ハンマー投げでマットに叩きつけられる。したたか背を打ち付けられ悶絶していると、スターの膝が降ってくる。受け止めようとするがガードを崩され、腹にニードロップが直撃。唾を噴き出し、目を白黒させる。
スターが腕ひしぎ十字固めをかけようとするのを察し、両手をしっかりクラッチ。伸ばそうとするスター。懸命に踏ん張るこなくん。飽きっぽいスターは腕をとるのを止め、代わりにマウントポジションに移行する。馬乗りになると、上から打撃の暴風。一撃一撃が命中し、顔が腫れ上がっていくこなくんだが、血は一滴も出ない。
スター「妙だね。普通なら血塗れになっても不思議ではないのに」
こなくん「僕の能力は出血や肉体の欠損を排除できるんだよ」
スター「中々便利な能力だね。そして私にとっては結構厄介な能力だ」
スター流は時として相手の命を奪うことも厭わない。身体を真っ二つに裂いたり、骨を折ったり、酷い場合だと原型を留めないほど痛めつけ肉片にすることもある。異常なまでの残虐さだが、徹底しないと悪は反省しないという考えに基づいているからである。スターも例外ではなく、その気になれば相手の頭を首からもぎ取ったり、四肢を破壊したり、全身の骨を粉砕することなど容易い。けれどこの試合は、こなくんの能力が本来の彼の実力に制限をかけ、大幅な低下を招いていた。スターは間合いをとると、顎に手を当て、思案する。
流血が出来ないとなると凶器攻撃をしても効果は見られない。目潰しや急所狙いも無意味、アルゼンチンバックブリーカーやキャメルクラッチなど切断が起きる可能性がある技も完璧に極められないだろう。打撃や蹴りも防がれるので威力は半減。ならば投げ技で戦うのが理想的だが――ここまで思案し、スターは考えるのを止めた。
スター「とりあえず、スター流奥義を全部君にかけてみることにするよ」
こなくん「ちょっと待て! なんでその結論になったんだ」
スター「君の流血とグロ判定がよくわからない。だから全部かければ、どの技が君に効果がなくて、どの技が効かないか一目瞭然だよ」
こなくん「ああ、そうですか(滝汗)」
こなくんは本能的に悟った。これは確実にヤバい。スターは相変わらずにこやかな笑顔だが、間違いなく自分を葬る気だ。
スター「それでは、スター流奥義№25 衝撃拳!」
いきなりスターが正拳突きをこなくんの胸の中心に見舞ってきた。
完璧に食らい、膝から倒れ込むがスターは首を傾げる。
スター「この技を食らったら普通は生きていられないはずなんだけど、君は生きているね。ということは技の威力が低下しているね」
こなくん「どんな技なんだ?」
スター「心臓に渾身の突きを放って、心臓から拳圧が伝わっていき、内臓全部を破壊し、ついでに全身の骨が粉砕される技だね。要するに一撃必殺の打撃」
こなくん「怖え……」
スター「星野君ならことりちゃんに放つと思っていたんだけど、技を出す前に倒されちゃったみたいだからね」
こなくん「マジで良かった。こんなのことりちゃんに放ったらゆうきさん泣くぜ……」
スター「じゃあ気を取り直して、次の技いってみよう!」
スター流の技は基本的にプロレス技である。延髄蹴り、弓矢固め、掌底、コブラツイスト、ジャイアントスィング、キーロック、ドロップキック、首4の字固めパイルドライバー……あらゆる技の実験台になったこなくんは思ったほど威力の無さに安心感を覚えていた。単に己の能力が敵の技の効果を限界まで引き下げているだけなのだが。苦しいのは間違いないが、その場で絶命するほどではない。じわじわと徐々に体力が削られていく苦しみ。一瞬で生命活動が終わるのと、果たしてどちらが地獄であろうか。不動の不動俱梨伽羅落としも元はバックドロップであるし、ジャドウの冥府ニードロップもニードロップで、星野の天使のアッパーも普通のアッパーだ。
威力が化け物染みている点を除けば、どれもこれもこなくんが知っている技だったので、実態を知り、ちょっとだけ拍子抜けしていた。
息は荒いが、立てないというほどではない。スターは全く息を乱していないのが気になるが、これまでで大方の奥義は食らっているはずだ。
スター「これまで、君には999の技を味わってもらった。そして、1000番目こそがスター流の究極奥義だよ」
こなくん「まだあるのかよ、もう疲れた勘弁してくれ……」
スター「この技で終わりだから、もうちょっとの辛抱だよ。というよりこの技を出す為にこれまでの技を披露したんだ。今までの技は前菜のようなものだよ」
こなくん「それじゃメインデッシュを早く出してくれ」
スター「究極奥義はね、私以外の誰も使いこなすことができないんだよ。ジャドウ君も、カイザー君も不動君も、習得しようと修行を重ねたけど無理だった」
こなくん「そんなにすげぇ技なのかよ!?」
スター「宇宙最強の技だと断言していい。それを本気で放つから、ちゃんと受け切ってね♪」
こなくん「無理無理無理無理! 俺の命が幾つあっても足りないから!」
スター「それじゃあ、はじめるとしよう」
こなくん「うおおおおおい! 人の話を聞け!」
しかし、こなくんの話を完全に無視し、スターはCDレコーダーのスイッチを入れる。流れているのは、μ'sのHappy maker!だ。
スター「スター流究極奥義・ダンス拳法!」
イントロが流れると同時にスターは動き出していた。いきなりタックルをこなくんに炸裂させてコーナーポストまで吹き飛ばすと、無数の鉄拳を頭の頂点から足先に至るまで浴びせまくり、下から突き上げるような蹴りで上空に吹き飛ばし、そこからロメロスペシャルを極め落下。再度、打ち上げ、リバースロメロ。ロープに飛ばして反動で返ってきたところにラリアートを首元に撃ち込む。
スターの筋肉質の腕が喉に衝突した刹那、今度は膝が胸に炸裂。続けざまに逆水平。頭を掴み、頭突きを5連発し、背後に回ってジャーマンスープレックスなどの投げ技の嵐。顔面を鷲掴みにすると、そのままマットに全身を叩きつける。間髪入れずに身体を反転させ、キャメルクラッチで背骨を傷めつける。技を解き、今度は弓矢固めで尚も背骨を攻める。
耳に入ってくるのはμ'sメンバーの可愛らしい歌声。だが、聴いている状況は地獄そのものだ。スターは仁王立ちになると指を鳴らす。すると、会長室の窓が割れて、ミサイルが飛んできた。直撃。今度はバクダン。次は玩具のハンマーだ。
曲がどんどんサビに近づくにつれて攻撃は過激なものになっていく。
スターの掌から火炎と冷凍光線が放出され、灼熱と冷凍を同時に味わう。
マットからは針山が出現し、靴底を細い針が靴底を貫く。
こなくん「無茶苦茶だ。何なんだよ、この奥義は」
スター「曲が終わるまで攻撃は止まらない。そしてその間は何が起きても不思議じゃない。私の場合に限ってだけれども」
こなくん「!?」
猛攻撃を食らいながら、こなくんは奥義の本質がわかりかけてきた。この奥義は曲に応じて自由に技をかけまくり、相手を徹底して痛めつけるものであると。
反撃できない。しようにもする隙が一切与えられないのだ。技から技へ移行するのも、こなくんの目に辛うじて残像が映るほどの速さなのだから。
スター「本来なら光に近い速さで技をかけるんだけど、君の能力が強力に作用しているせいなのか、どうも遅いなあ」
こなくん「!?」
スター流究極奥義ダンス拳法は不可避の速攻である。
曲が流れる3分間で0・1秒とて隙なく連続で大技を仕掛けるのだ。
スター「1回の究極奥義で基本的に私は2000くらいの技を放つようにしているんだけど、今日はどうも遅い」
スターの究極奥義を食らった者は何をされたのか理解できない。
動体視力で捉えられるというレベルを遥かに超えているのだから。
ただ、棒立ちになり音楽を聴いているようにも感じられる。
その間、スターの姿は見えないので透明の術でも使ったのかと錯覚するほどだ。
そして、曲が終わると時間差で全身が破壊され撃沈してしまう。
こなくん「北斗神拳かよ……」
スター「例外無し、防御不可能、絶対無敵! それが私のダンス拳法。基本的には如何なる能力も使用できなくなるオマケが付くんだけど、君の能力は特別みたいだね」
こなくん「今回は本当に勝ち目0っぽい(滝汗)」
スター「いや、そうでもないよ」
こなくん「え?」
スター「実はこの奥義、たった1つだけ弱点があるんだ。それはね、奥義使用後は凄まじく疲れて、動けなくなっちゃうってこ――」
言い終わる前にスターはぐらりと横転し、瞼を閉じた。
起き上がる気配はなく、すやすやと寝息を立てている。
こなくん「重大な欠点じゃねぇか。でも、これって俺の勝ちってことだよな?」
あまり実感はないが、相手のミスとはいえ勝ちは勝ちに違いない。
様々な幸運が重なった結果ではあれど、こなくんはスターに勝利したのだ。
全身が痛くて大の字になることしかできないが、脅威は一つ倒せた。
こなくん「あとは皆に任せる。俺は少し休ませてもらうぜ」
スター=アーナツメルツVSこなくん 勝者 こなくん
- Re: 戦闘中~地球を守れ~ ( No.45 )
- 日時: 2020/01/16 19:50
- 名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
その光景は地獄絵図だった。果敢に挑んだ数十名の伝説の戦士達は鬼神によって蹴散らされ、変身能力を失い、倒れ伏している。その瞳にも光はなく、虚ろになっている。彼女達はこれまで幾度となく強敵に立ち向かい、絆の力で勝利と平和を手にしてきた。だが、今度の相手は違った。地力――即ち、フィジカルが別次元だった。どれほど浄化技を放っても、打撃を食らわせても真っ向から耐えきり、打ち破る。正々堂々で純粋に強い。諦めずに立ち上がる前に、意識を失ってしまう現実。1人、また1人と戦力を失い、とうとう残るは自分だけとなってしまった。己の現状を振り返り、光属性の少女はステッキを持つ手が震え出す。
自分が負けたら何もかも終わってしまう。皆の努力が水の泡になる。頭では分かっていた。だが、心が折れそうだった。この怪物にどうすれば勝てるのか、皆目見当が付かないのだ。猛禽類の如く鋭く殺気立った瞳が、少女を捉える。その肉体は鋼のように鍛えられており、筋肉の山脈と形容しても違和感はない。自分を圧倒的に上回る身長・体重・筋肉・そして戦闘経験。その形相も相まって、鬼の神と思えるほどだ。目を凝らしてみると、男の背後から何かが放出されているのがわかった。淡いオレンジ色の光――それは男の闘気だった。真に優れた格闘技者になると、闘気を発するようになると言われている。では、部屋全体を覆わんばかりの男の闘気の量は何なのだ。無言の威圧感。闘気だけで早くも飲み込まれんとしている現実がある。手足が震え、額や腕から汗が噴き出す。ふと、視線を下にやると、偉大な先輩戦士達が倒れていた。心臓の鼓動は停止している。そう、倒されたという表現では生温い。男は宣言通りにこの場の戦士達全員を往生させたのだ。
少女は戦士の力を得たのだから、張り切って悪者を浄化してやると意気込んでいた。自分は超人的な力を有したのだから、大抵の困難は乗り越えられると信じて疑わなかった。だが、現実はどうだ。杖を持つ手が大量の汗で滑ってきた。
対峙するだけでも喉が渇き、体力を消耗する。気が付くとほんの少し後退している自分がいた。いくら誤魔化しても身体は正直だった。男を恐れ、逃げ腰になっているのだ。男は真上に拳を放ち、拳圧で軽々と天井を破壊。否、天井どころか建物そのものを跡形もなく破壊してしまう。上空から落下してくる仲間と敵。彼らは状況を瞬時に理解し、己の戦闘に集中している。空は青く澄んでいる。夕方に突入し、知らない間に朝になっていたのだ。長い時間の経過を気にする余裕を失うほど、彼女は追い詰められていた。今回参加したメンバーの中で、最も若く、最も戦闘経験が無い。だが、未知の可能性を評価された自分はまだ、何の実績も挙げられていない。怖い。逃げたい。自己の保身とネガティブな感情が少女の頭を占めていく。そしてぎゅっと目を瞑ったかと思うと、踵を返し、逃走を開始した。戦士として逃げるのは恥であり、してはならないこと。承知の上だが、今は恐怖から逃れたい感情が勝ってしまったのだ。男は追わない。ただ、冷たい眼で少女が逃げ去る姿を見るだけだ。
少女は振り返ることなく道路を走り続け、曲がり角のビルで大きく息を吐き出し、両膝に手を添える。相手は追跡しない。胸を撫でおろすが、遠くで爆発音が聞こえた。それが何を意味しているのか、彼女にはすぐに分かった。
仲間が戦っているのだ。あの化け物染みた大男を相手に。
頼りになる助っ人を叩き潰され、戦闘を放棄し、心が完全に折れてしまった少女は体育座りになると、ボロボロと泣き出す。大粒の涙が柔らかな頬に流れ、小さな顎を伝い、衣服を濡らす。誰も彼女を攻めることはできない。少女も1人の人間なのだ。決して完璧ではない。弱みを見せる時もある。少女は震える唇で小さく言葉を紡いだ。
「みんな、ごめん。私、勝てなかった……」
- Re: 戦闘中~地球を守れ~ ( No.46 )
- 日時: 2020/01/18 10:12
- 名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
これまで数多の怪人を葬り去ってきた必殺の飛び蹴り。彼らの代名詞的存在ともいえる技が、男には通用しない。命中はするのだが強靭な筋肉の鎧に弾き返されてしまうのだ。単独でも、複数人で放っても結果は同じ。地面に着地するが反動で体勢を崩しかけるふたりの正義の味方。圧倒的な打撃技も男には効かない。
この男を倒せねば世界は滅ぶ。そんなことはさせない。皆は自分達が守る。
再び立ち上がる彼らに男は鋭い視線を向け、口を開く。
「お前達では俺を倒すことはできぬ」
「この世に悪がある限り、仮面ライダーは不滅だ!」
「お前達には悪に見えるかもしれぬが、これは悪ではない。救済なのだ」
「罪のない人々の命を数限りなく奪っておいて、何が救済だ!」
「全てを往生させることが俺と闇野髑髏様の悲願だ」
「不動仁王! お前は嘗ては熱き正義の魂を持つ漢だったと聞いている。何故、悪に走る!」
1号ライダーの問いに不動は身体を怒りで震わせ、怒号を吐き出した。
「俺はガキ共に心底失望したのだ。確かに、一定数認めるに値する者がいるのも事実。だがその一方で改心できぬほど性根の腐ったガキ共がいるのも確かだ。
俺は何万年もそやつらの愚行を見てきて、もう我慢ができぬのだ! 失望と不満を重ね、それでも感情を胸に封じ、ガキ共の改心を願い続けたが、闇野様の決定で全てを悟ったのだ。俺がこれまでしてきたものは全て無意味であったと!
ガキ共は変わらん。ならばいっそのこと、俺が全ての責任をもって往生させるまで!」
偉丈夫は目から涙を流していた。無意識だった。心を鬼にしてきたが、根は優しい男である。非情な振る舞いには心を痛めていた。
「すまん……」
1号は絞り出すように告げた。謝罪だった。
「お前は追い詰められていたんだな。可哀想な男だ。だが、お前の行動は決して無駄ではないと、俺は思う」
「アンタの努力があったからこそ、正義の魂は脈々と今に受け継がれてきたんじゃないか」
1号の言葉にV3が続けた。
そして彼らは闘志を燃やし。
「偉大なる先人、不動仁王よ。お前をこれ以上失望させぬ為にも、この戦い、負けられぬ!」
「絶対に勝って、人類の正義の魂を認めてもらわなきゃな」
「笑止。最大技を無効化されたお前に俺を倒す術は残されておらぬ」
「それでも戦わねばならぬのだ!」
「正義の魂でなあ!」
ふたりは猪突猛進で男に挑む。幾度、弾かれても諦めることは無かった。
その時、背後から高い声が響き渡った。
「待って!」
振り返ると、そこにいたのはキュアスパークルだ。
「コイツは私に戦わせて」
「逃げたのではなかったのか、ガキが」
「確かに怖かった。でも、気付いたの。あなたを癒してこそのプリキュアだって」
「使命感に目覚めた点は歓迎するが、果たしてその程度で実力に変化が生じるか否か」
「私は一歩も引かない! あなたに、勝つ!」
地面を蹴って勢いをつけ、不動の頬にパンチを一撃。
するとどうだ、不動が後方に仰け反ったではないか。
Wライダーが如何に攻撃しても、先輩プリキュアが挑んでもビクともしなかった巨大壁が動いたのだ。
「やあああああっ」
二発目を左頬に撃ち込み、バク宙から顎を渾身の力で蹴る。
不動は吹き飛ばされ、地面を滑る。四つん這いになり立ち上がろうとするが、上空から膝が迫る。首の背後に膝小僧が命中し、不動は再びダウン。
辛うじて立ち上がるが、その瞳には動揺があった。
「このガキ、覚醒したのか」
「私はガキじゃなくて、キュアスパークル!」
ウィンクをして微笑む彼女に1号とV3は頷いた。
やはり未知の可能性に託して正解だったと。
「もしかすると次の時代を切り開くのは彼女のような戦士なのかもしれぬな」
「キュアスパークル、輝いているぜ」
美琴の攻撃をいなし続けていた闇野髑髏は劣勢に陥る不動の傍に瞬間移動で現れた。共闘するのかと警戒する3人に、闇野は不動に対し頭蓋固めをかける。
通称ヘッドロック。単純な技だが闇野のそれは単なるヘッドロックの域を遥かに超越していた。完璧に極まったそれは、不動を瞬時に絞め落とし、轟沈させる。
気絶し沈黙した不動を帽子の影から一瞥すると、3人の正義の戦士に向き直る。
「彼では恐らくあなた方に敗北していたでしょう。彼の名誉を守るため、私が絞め落として差し上げました」
「仲間になんてことを!」
スパークルが憤るが、闇野は首を振り。
「2対1より私1人の方があなた方も闘いやすいでしょうから、怒る必要はありません。それでは、残ったみなさんと私で最後の対決をはじめましょうか。
この星の破壊か救済かを決める、最後の戦いを……」
遂にラスボスとも言える存在の闇野髑髏と対峙する戦闘可能なメンバー達。
1号、V3、キュアスパークル、オプティマス、美琴の5人は彼の狂気に満ちた野望を打ち砕くことができるのか。
- Re: 戦闘中~地球を守れ~ ( No.47 )
- 日時: 2020/01/18 12:00
- 名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
闇野「あなた達が私を倒すことができるのならば、私は地球の破壊を止め、命を奪われた方々と建物を全て修復して差し上げましょう」
何でもない風に語る闇野に1号は怪訝そうに訊ねた。
1号「お前にそれができるというのか」
闇野「はい。私にとってはその程度のことは朝飯前です。私は約束は守ります。もっとも、あなた達が私を倒すことができればの話ですが」
オプティマス「人類の、地球の自由の為にお前を倒す!」
いきなり飛び出したのはオプティマスだ。エネルギーを凝縮した剣を振るって彼に挑む。胴を貫かれ全身を斬られ、イオンブラスターで顔面を吹き飛ばされる。けれど、数秒後には闇野は無傷で現れた。
オプティマス「貴様、再生能力でもあるのか」
闇野「私は不死身です。如何なる攻撃を受けても滅ぶことは決してないのです」
オプティマス「馬鹿な。そのような生命体が存在するはずがないッ」
強い口調で否定し鋼の拳を闇野の顔面に食らわせる。顔面に直撃するが、彼は平然と喋り続ける。
闇野「ご覧の通り、あなたの攻撃を受けてもなんともありません」
ロボット生命体の巨大腕を掴んで顔から引き離すと、跳躍して肩に手刀を打つ。
軽く見舞われたチョップだが、たったの一撃でオプティマスの腕は肩から千切れてしまった。
闇野「私の夢は誰かに倒されることですが、恐らく今日も叶わないのでしょうね」
声に僅かに悲しみの色を覗かせ、オプティマスの背後をとる。そして、錐揉み回転をしながら蹴りを放って、背中から胴体を貫通させてしまった。オイルに近い血液が大量放出され、胴に風穴が空くオプティマス。それでも、片膝を突き、辛うじて息がある。
オプティマス「皆、逃げろ。撤退するんだ。この男に無策で挑んでも、勝ち目は無い」
美琴「でも、あなたを置いていけませんっ」
オプティマス「このまま全滅しては地球を救う術は無い。早く、いけぇ!」
逃避を促すオプティマス。だが、その瞳の光は次第に弱くなり、最後には消滅してしまった。幾度も地球を救ってきた自由の戦士は永遠の眠りについたのだ。
美琴「オプティマスさーん!」
呼びかけるが、返事はない。
闇野は服の埃を払って、皆の前に降り立つ。
闇野「これで残り4人になりましたが、どうしますか」
1号「オプティマスの仇は我々が討つ!」
V3「どんなに無敵に思える力でも、必ずどこかに弱点があるはずだ」
V3の言葉に美琴の頭に閃きが生まれた。
美琴「みなさん、まずは逃げましょう!」
有無を言わさず、3人の手をとり、超高速で疾走する美琴。
木々を飛び回り、ある場所へと向かって行く。白装束姿も相まって、女忍者のようにも思える。
1号「どこへ行くんだ」
美琴「つけばわかります!」
そんな会話をする内に目的地へ到着した。それは、60人近いプリキュアが倒れている場所だった。電話でキュアアンジュや作者達、スクールアイドルを呼び、待機する。
彼らが現れると、美琴は言った。
美琴「キュアアンジュ、あなたの癒しとスパークルの癒しのパワーを同時に私に放ってください」
アンジュ「は、はい」
スパークル「わかったよ」
困惑しながらも美琴に放つと、彼女は失神し、無意識のままで何倍にも増幅させた癒しの力をプリキュア達や作者に放出。すると、息絶えたはずのプリキュアが蘇り、作者達の傷も治癒したではないか。
それを見た1号は美琴が何をしようとしているのか察した。
1号「危険すぎる。やめるべきだ」
美琴「百も承知です! ですが、今はこれしかないんです!」
こなくん「美琴ちゃんは何をしようとしているんだ」
美琴「みなさんにやってほしいことがあります」
白装束の美女は大きく息を吸って、宣言した。
美琴「みなさんの最強技を私に向けて放ってください!」
一同「!?」
ゆうき「そうか。反射で闇野を倒そうってわけか」
美琴「倒す事は不可能です。ですが、癒すことならできるかもしれません。
彼の凍てついた心を溶かすことができれば、きっとハッピーエンドになります!」
ことり「無茶だよ。それじゃあ、美琴ちゃんが」
美琴「わかってください。これが私にしかできない。私の仕事なんです」
低い声と真剣な眼差しに、ことりは頷いた。
今の彼女を引き留めることは誰にもできないだろう。
覚悟は決まった。
プリキュア全員「はあああああああああっ!」
各々の最強技が命中する度に、美琴の額に汗が流れる。意識を保つだけでも、相当に疲弊するのだ。だが、彼女は全ての技を吸収すると、突進してくる闇野に標準を合わせ、最大出力で能力を発動させた。
美琴「闇野さん。わたしには分かっています。わたしが闇野美琴、あなたの意思を継ぐ者であることは」
闇野「!?」
美琴「スター流の文献を読んでわかったんです。だからこそ、あなたを癒したい! わたしはこれ以上、誰かの悲しむ顔や戦う姿を望みません!」
闇野「フフフフフフ、まさかあなた自身が私の関係に知ってしまうとは予想外でした」
美琴「たった1度だけ、呼びますね。本当に、ごめんなさい。お父さん」
黄金に発光する美琴から放たれたプリキュア・ライダー・作者・スクールアイドルの最大に増幅した総攻撃は闇野の全身を包み込み、心を癒していく。
闇野「この攻撃の威力……どうやらまだまだ人類も捨てたものではありませんね。美琴、そしてみなさん。私はもう1度、あなた達を信じてみることにしましょう……」
青空に声だけを響かせながら、闇野は地球を離れた。スター流と人類、そして建物を全てを元に戻して……
もう2度と人類に敵対することはないだろう。
おわり。