二次創作小説(新・総合)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

逃走中#CR08 新訳・むらくもものがたり【連載休止】
日時: 2021/03/11 22:44
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: 9j9UhkjA)
参照: https://www.kakiko.cc/novel/novel7a/index.cgi?mode=view&no=1696

どうもです、灯焔です。
マイペースに8回目の開催を迎えた逃走中#CR08。……なのだが、舞台である『トリコロシティ』が唐突に黒い霞に覆われて、別の街へと変貌してしまった!そして、運営本部から消えた少年の影。過去も未来も今も滅ぼそうとする『邪神』と化した男にとの決着が遂に――?
今回の舞台は、トリコロシティの過去の姿である『音無町』。ピンと来た方は鋭い。過去のシリーズで舞台にしていた場所です。そんな場所で、逃走者とハンターとの8回目の新たな逃走劇が今、幕を開ける――!


※注意※
 ・登場するキャラクターは全て履修済みの作品からの出典です。かつ基本的な性格、口調等は原作準拠を心掛けております。が、表記上分かり易くする為キャラ崩壊にならない程度の改変を入れております。
 ・原作の設定が薄いキャラクター等、一部の登場人物に関しては自作設定を盛り込んでおります。苦手な方はブラウザバックをお願いいたします。
 ・今回は『pop'n music』シリーズの楽曲ネタをモチーフにしたエリアとなります。楽曲を知っていただくと、よりお楽しみいただけるかと思います。
 ・誤字、脱字、展開の強引さ等ございますが、温かい目でお見守りの方をよろしくお願いいたします。



<ルール>
【逃走エリア】
『音無町』 出展:オリジナル(ベース:pop’n musicシリーズ)
何者かによって変えられてしまったかつての『トリコロシティ』。しかし、その面影はない。
混ぜられたMZDが人間だった頃、そして莉愛が生きていた頃に住んでいた街らしいが、どうして今の時代に……?
エリア詳細 >>1




逃走時間:90分

賞金:54万(1秒100円)

ハンター:初期4体

自首方法:『交番』にある自首用電話で自首する旨を電話する。


<参加者>

【pop'n musicシリーズ】より (3人) 詳細>>2
鹿ノ子
モイモイ
ダイ

【ファイアーエムブレムシリーズ】より (3人) 詳細>>3
チキ
ノノ
ミルラ

【ぷよぷよシリーズ】より (3人) 詳細>>4
シェゾ・ウィグィィ
シグ
ささきまぐろ

【BEMANIシリーズ】より (3人) 詳細>>5
レイシス
スミス氏
パステルくん

【白猫プロジェクト】より (3人) 詳細>>6
クライヴ・ローウェル
ヴィクトール・フォントネル
ブライ・マグワイア

【作者枠】 (3人) 詳細>>7
Ga.c=evo.
寺時
ウィオ

【逃走中#07 MVP】 (2人) 詳細>>8
アルフォンス
ウーノ

計20名



逃走中#CR09 シード枠争奪予想アンケート実施中!
※締め切りました


※重要なお知らせ※ どなた様もご一読願います。
>>44


◎AfterBreakTime

 ①『過去を、未来を、今を守れ!』 >>9
 ②『音に集いし仲間達』 >>23
 ③『もう1つの『可能性の世界』』 >>33


以上、逃走中#CR 運営本部がお送り致します。

Re: 逃走中#CR08 新訳・むらくもものがたり ( No.35 )
日時: 2021/02/12 00:07
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: jWLR8WQp)

【76:18】





~北地区 交番前~





アルフォンス「交番…。ここかな」

パステルくん「あっ 見てアルフォンスさん!赤い装置があるよ!」

アルフォンス「良かった…。予測は外れてなかったみたいだ」



 クライヴの機転により交番まで向かうことが出来た2人。アルフォンスの思惑通り、交番の傍に赤い装置が置いてありました。他の停止装置と同じく、レバーにケースがあるのと、上に条件が貼り付けてあるのも一緒です。
 アルフォンスはまず条件を確認する為、貼り付けられている絵を見ます。



アルフォンス「これが『条件』かな。赤い丸と桃色の丸…。それから炎のマークが描かれているね」

パステルくん「どうしたら外せるのかな~?」

アルフォンス「そうだね…。同じ丸なのだとしたら共通点だろうから…。パステル殿。僕が外してみてもいいかな?」

パステルくん「何か分かったんだね~? それならアルフォンスさんにお任せするよ~!」



 アルフォンス、すぐに色の法則性に気付き自分がケースをどかすと宣言。パステルくんに少し寄ってもらい、恐る恐るケースに手を掛けます。そのままケースは羽のように軽く外せてしまいました。
 パステルくんは驚いたものの、彼がケースを床に置いている間にレバーに手をかけました。



パステルくん「時間がないからレバー、あげちゃうね~!」

アルフォンス「お願いするよ」



 パステルくんがレバーを上げました!

































~北地区~





ドローン(赤)『――停止コマンドを確認しました ドローンを停止します――』



 赤いドローンは音無町から消滅した……。





【75:37】
パステルくん アルフォンス
ドローン(赤) 停止

ミッション① クリア





 ―――同時刻。
































~西地区~





ハンターNA『…………!!』


クライヴ「駄目だ、もう体力が持たない……!」



 2人をハンターから引き離して逃げていたクライヴでしたが、長時間追いかけられていた影響か、体力の限界を迎えていました……。









ポンッ








【75:32】
クライヴ・ローウェル 確保 残り17名





クライヴ「あの2人はミッションをクリアできただろうか…。それだけが気がかりだ…」



 大丈夫。貴方のお陰でミッションを無事クリアしましたよ。スマホを見る暇もなかったクライヴはそのことで頭がいっぱいだったんだとか。












ピリリ ピリリ












モイモイ「おっ?通知モイ☆ 『パステルくん アルフォンスの活躍により、赤いドローンが停止した。全てのドローンの停止装置を起動した為、ドローンは全てエリアから消滅した。ミッション①クリア』 やった~~~☆ ミッション①クリアモイっ!モイモイは何もしてないけれど一緒に喜ぶモイ☆」

ブライ「おっと、もう1つあるね。『クライヴ・ローウェル 確保 残り17名』 えぇっ?!君はそこで捕まるような人間じゃないだろう!僕が言うことじゃないけどさ!!」

ヴィクトール「誰かの囮になったりでもしたのか…分からんが、お疲れさまだ」



 無事ミッション①をクリア!これでドローンの恐怖に怯えることはなくなりましたね。しかし、同時にクライヴ確保の通知も受け、ミッションに行くことのリスクを思い知る一同なのでした。









~北地区 交番前~





アルフォンス「良かった。間に合ったみたいだね」

パステルくん「でも、クライヴさん捕まっちゃったよ~…。撒いてくれると思ってたのに…」

アルフォンス「野外が中心だし、見晴らしのいい場所も多いからね。―――もし彼が囮にならなかったら、みんなバラバラに逃げていたと思うし…。ゲームが終わったらお礼を言いに行こうか」

パステルくん「そうだね~!クライヴさんかっこよかったよ!お疲れ様~!」



 赤のレバーを上げられたのはクライヴの機転のお陰。そう思った2人はゲーム終了後にクライヴにちゃんとお礼を言うことを約束し、その場で解散したのだとか。











~西地区 孤児院前~





スミス「やはり違和感がありますねぇ。トリコロシティにはこんな建物は無かったはずです」

ミルラ「あの…もしかしたら、なんですけど…」

スミス「はい。どうかなされましたか?」



 一方。西地区を中心に装置を探していた為、ミッション①では活躍が出来なかったスミス氏とミルラ。孤児院を見て『やはりおかしい』と口にしたスミス氏に、ミルラが考えていたことを零しました。



ミルラ「ここは『トリコロシティ』ではなく、別の場所に置き換わってしまったのかもしれません…」

スミス「え、ええ?!ですが、場所的には確かに『トリコロシティ』で間違いありませんよ?!」

ミルラ「はい。だからなのです…。トリコロシティ、という場所に『別の街』が上書きささってしまった、という可能性は考えられないでしょうか…」

スミス「そんなことがあり得るのでしょうか…。あ、いや、ミルラさんの可能性を否定している訳ではないですよ。サニーパークで遊ばせていたコタローにいつの間にか羽が生えて、宇宙を飛べるようになったことも過去にありましたし…」

ミルラ「コタロー…。ドラゴン、なのですか?」

スミス「犬です」

ミルラ「い、いぬ」

スミス「しかし…。地図上では確かにここはトリコロシティの筈。でも、歩いても歩いてもトリコロシティにある筈の建物が全くないんです。だとしたら…。ミルラさんの言う通り、トリコロシティ自体が『別の街』に置き換わった可能性もあり得る話ですね」

ミルラ「運営本部の皆さんがOPゲームの時に姿を現さなかったのにも説明がつきますし…。私達、とんでもないことに巻き込まれているのでは…?」

スミス「勘弁してくださいよ~…」




【75:00】 ミッション①終了時 逃走者詳細


●確保者 3名


 レイシス ノノ クライヴ




○既存逃走者 残り17名


 鹿ノ子 モイモイ ダイ

 チキ ミルラ

 シェゾ シグ まぐろ

 スミス氏 パステルくん

 ヴィクトール ブライ

 Ga.c=evo. 寺時 ウィオ

 アルフォンス ウーノ




 ミッション①を何とかクリア。とりあえずハンターとドローンのダブルコンボは回避出来ました。しかし、ハンターが消えたわけではありませんので気を付けてくださいね。
 そして、スミス氏とミルラが少しずつ『この街』の実態に気付き始めている様子。他の逃走者も街の様子がおかしいことにそろそろ気付くかもしれません。何が起こるか分からない今、それにも気を付けてくださいね!


To be continued……

Re: 逃走中#CR08 新訳・むらくもものがたり ( No.36 )
日時: 2021/02/12 12:38
名前: YUMA (ID: M.fbnnZK)

ユマです。久々です。

今回の最初は本家でも今流行りのドローン停止ミッション...誰かさんも言うてますが確かに3つもあると殺意は高めの奴ですな。

更に加えて3種類にレバーを引く条件がある、ミッション失敗なら残り続けるというなら嫌がらせ...えげつな。

そしてドローンについてはココロネと属性が同じ人しか作動出来ない仕掛け...早めに判明した事でドローンは全て消す事は出来ましたが...ノノとクライヴの2人が犠牲に...

スミスさんの話から大半が感じた違和感の件が次回から本格的に吹き出してくるのか...及びコタロー君はワンコですからねー?

では失礼します

Re: 逃走中#CR08 新訳・むらくもものがたり ( No.37 )
日時: 2021/02/22 23:55
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: yOB.1d3z)

どうもです。2月は面白いコンシューマーゲームが沢山発売されて困りますね。
3月末までは不定期更新になりますのであらかじめご了承をお願いいたします。
それにしてもバディミッションBOND、新規IPでひっさびさにドはまりしそうです。体験版をやっただけですが、なんだあの描写の嵐。私もあんな熱い話を書けるようになりたい。そう思いました。

……それと、地味にレイシスちゃんの声優さんを当ててしまいました。本当になるとは思わなんだ。



>>YUMA 様

どうもです。コメントありがとうございます。
最近流行りのドローン。ウイルス禍ということもありますが、中々に面白い仕掛けなのではないかと思っております。
ミッションに動くということは捕まるリスクも考えなければなりません。ハイリスクハイリターンです。

Re: 逃走中#CR08 新訳・むらくもものがたり ( No.38 )
日時: 2021/02/23 00:01
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: yOB.1d3z)

【74:41】





~南地区~





Ga.「やべぇよやべぇよ絶対ここ『トリコロシティ』じゃないだろ」



 街の様子が薄々おかしいことに気付き始めていたGa.。恐る恐る周りを見つつ、ハンターがいないかを確認しています。彼の他にも、コナミの音ゲーに詳しい逃走者ならば様子がおかしいことに気づき始めている人物もいるかもしれませんね。
 そのまま歩みを止めないGa.、遂に今回初の『あれ』を口にします。



Ga.「クレアたそをこんな危険な場所でゲームさせるわけにはいかなかったし、参加者にいなかったのは英断だとは思うけどさ。でもさ。寂しいんだよなぁ前回打ち上げまでお預けだったしさぁ!クレアたそ…クレアたそ成分を補いたい……」



 出ましたクレア発言。確かに今回彼女は本部で自分のやるべき役割に向き合っていますもんね。6回目から彼女とすれ違いまくっているGa.。そりゃ彼女の優しさが足りなくなるのも頷けます。
 といったところでGa.は自分の頭上に何か変なものがあることに気付きました。



Ga.(3)「え 何この数字」



 Ga.の頭上には『3』という数字が。触れてみようとするも彼の手は数字をすり抜けてしまいます。どうやら実体化されているわけではないようですね。
 不気味な数字に悪戦苦闘している彼。ふと前回の打ち上げら辺の話を思い出します。



Ga.(3)「あっ。まさか」



 とある『可能性』に気付いたGa.。思いっきり息を吸って、キーであろう言葉を思いっきり叫んでみました。



Ga.(3)『クレアたそ~~~~~♡♡♡♡♡』



 すると……?





カチッ





 Ga.の頭上の数字が『4』に変わりました。あ、これはまさか。



Ga.(4)「『クレアたそカウンター』!!」



 Ga.の発言に反応し、また頭上の文字が『5』に変化。逃走中には何も関係はありませんが、本当に『クレアたそカウンター』が実装されてしまったようです。恐らくあの白塗りの軍人の仕業だと思われますが、どこからそんな情報を仕入れてきたんだか。
 この数字が彼以外に見えているのか見えていないのか。頭にぴったりくっついているわけではないので、ハンターにも見える場合ちょっとだけハンター側から見えやすくなってしまいます。



Ga.(5)「俺がクレアたその名前を出す度この数字が増えていくのか?……100回言ったらクレアたそと1日デートとかない?」



 ……多分ないと思います。『7』に増えた数字を気にしながら、彼は再び逃走を始めたのでした。ゲームに関係ないのは本当だと思うのですが……。本当に何もありませんよね?













【71:50】





~北地区~





シグ「ドローンがこわくて ずっとかくれてたぞー」



 北地区の数少ない建物の影を利用して隠れていたシグ。他の地区の方が身を隠せそうな場所が多いような気がしますが、いかんせん彼ゲーム開始時からここを動いていません。動きたくないんでしょうね。
 流石に立っては寝ないと思いますが……。首がかっくんかっくん行っている気がするんですが。大丈夫ですか?



シグ「さすがに同じ場所にいすぎて ねむくなってきたー」



 さいですか。このまま寝てしまったらキュベリアの二の舞になってしまいます。彼女、散々他の逃走者にそのことを突っ込まれたのに4回とも堂々と前半戦寝ていましたからね。二代目のキュベリアを作るわけには行きません。
 シグも寝てるとハンターの格好の的だと思ったのか、眠い目をこすってそろそろ移動しようかと立ち上がります。



シグ「うへー。そろそろ別のかくれ場所を探すぞー」



 そう口にして立ち上がり、建物の影から身を乗り出した瞬間でした。



































ハンターMI「…………」


シグ「あー いたー」









ポンッ








【71:22】
シグ 確保 残り16名





シグ「目の前にいたぞー」



 そんな呑気なことを言っている間に確保。運悪く出てきたところでハンターと鉢合わせてしまいました。捕まっても大して悔しそうにしていない、最後までマイペースなシグなのでした。












ピリリ ピリリ












まぐろ「おや?通知だ…ね☆ 『シグ 確保 残り16名』 あ~りゃりゃ。シグくん捕まっちゃったのか☆」

シェゾ「ゲームだというのにOPゲームから随分とのんびりしているから、絶対後半まで残れないだろうとは思っていたが…。いやそれにしても早すぎるだろ」

ウーノ「どんどん捕まっていくな…。街の不気味さも併せて、出来るだけ2個目のミッションをこなすまでは半数以上生き残っていてほしいのだが…」

寺時「トリコロシティじゃないとして…。ここ、本当にどこなのかしら。ゲーセンの中に沢山のコナミのゲームがあったことから、BEMANIシリーズに纏わる街なんでしょうけど」




 マイペースなシグは捕まるのもあっさりだった!本気を出したらきっと違うんでしょうけど、本気を出したシグなんて想像が出来ませんよね。
 そんなことはともかく次回、音無町で再びトラブルが……?!ミッション②開始!『BEMANIシリーズ』の知識が問われます!

音無町での進捗 ② ( No.39 )
日時: 2021/03/04 22:13
名前: 灯焔 ◆rgdGrJbf0g (ID: 6kBwDVDs)

 ヴィルヘルム達が本部と連絡を取り合っている正にその時。連れ去られたMZDと一緒にいるミミニャミらしき少女達は、『この世界』のミミニャミが自分達に気付いたことを把握していました。
 傍にいる少年に彼女達を見せないように、自分達の身体で盾を作ります。少年の家に戻った彼女達は、母親が作る晩ご飯を待っている間にそのことについて話し合っていました。



『ねぇミミちゃん。『異分子』があたし達に気付いたみたいだよ』

『大丈夫だよ。今のMZDが知っている『ミミニャミ』はわたし達だけ。『あのひと』の言うことを聞けば絶対大丈夫だってあのひと言ってたもん』

『でも…。本当に大丈夫なのかなぁ。この世界のMZDを、あたし達の世界のMZDに造り替えちゃうなんて…。聞いたことも無いし、神様を変えちゃうってことだよね?』

『でも、そう言ってられないんだよ。MZDがいないと…。わたし達の世界は完全に蘇らない。『ポップンミュージック』には、MZDが絶対に必要なんだから』

『……うん。あのひとの言うことを聞けば…。あたし達の『ポップン』は蘇るんだよね?』

『うん。だから、MZDを返すわけにはいかない。わたし達のMZDにするんだから……』



 話の内容から、おそらく彼女達は『ミミニャミ』で間違いないのでしょうが。ポップンミュージックを取り戻す為に、この世界のMZDが必要な様子。そこから考えると、彼女達の世界のMZDがいないようにも思えるのですが…。一体彼女達はどこからこんなところに来たのでしょうか。
 切羽詰まった表情が気になったのか、別の部屋でテレビを見ていた少年が少女達に心配そうに声をかけてきます。



『ミミ。ニャミ。何を話していたの?』

『えっ?どうしたの?ポプカーの録画全部見終わっちゃった?』

『そうじゃ、ないんだけど…。2人共、随分と怖い顔してたから。気になっちゃって…』

『ううん!君には関係のない話!別に悲しい話をしていたんじゃないよ。気にしないで!』

『そう。それなら、いいけど…。ぼくはミミにもニャミにも悲しんでほしくない。2人には、ずっと笑っていてほしい』

『わたし達もだよー!君にも笑顔が一番だよ!その為にわたし達が傍にいるんだからねっ!ね、ニャミちゃん!』

『そうそう!あたしも君の笑顔が大好きー!』



 自分達の抱いた不安を悟られないように、目の前の少年をぎゅうと優しく抱きしめる少女達。大丈夫。大丈夫。必ずこの少年は自分達の世界の『MZD』にするのだから。その決意を悟られぬよう。この世界の『自分達』に取り返されないように、と。少しの隙も見せるわけにはいかないのでした。
 ―――そんな彼女達の元に、優しそうな顔をした男性がやってきました。彼の顔を見た瞬間、少年の顔がぱあっと明るくなります。



『おとうさん!』

『ただいま。ごめんなー遅くなって。仕事が随分と長引いてしまってね』

『いつもお疲れ様。もうすぐ晩ご飯出来るから、手を洗って座って待ってて』

『はーい!パパ、早く一緒に行こうよっ!君も!』

『おかあさんのお手伝いはしなくてもいいのかな?』

『お前は偉いなあ。母さんもきっと喜んでくれるぞ?』

『迂闊だったよー!それじゃああたしも手を洗ったらママの手伝いに行こうっと!』

『ミミもニャミも偉いぞー?』

『あははっ!パパ、ちゃんとあっちで座って待っててね?』

『はいはい。ほら、母さんが呼んでるぞ』

『……うん!』



 少年と少女の頭を優しく撫でながら、母親の元に行くことを促す男。振る舞いからして彼の父親なのでしょうが、少女達のことも『自分達の子供』と認識している辺り、少々不気味な雰囲気を纏っています。
 少年少女が母親の元へ行ったことを確認した後―――。男は、それまで浮かべていた優しい微笑みが一変。表情が崩れ落ち、まるで人形のように真一文字に口を閉じ3人が去って行った場所を見ました。



『……流石は神の『カリスマ』って奴か?あいつを助ける為に命が動いてやがる。煩わしい『いのち』が。輝かしい『いのち』が。

 ―――ああ、鬱陶しい。』



 男はそのまま眉間にしわを寄せたまま、小さく吐き捨てたのでした。













『―――やってみろよ。今の俺に『思い』とやらで止めを刺せるのか。





 どうやったってこの世界は終わりなんだよ。 そういう『運命なんだから』』

































 ところ変わって音無町の南地区。何とかショックから立ち直ったミミニャミは、莉愛の案内でとある一軒家の前にやってきていました。そう。少年達が入って行った、『あの家』です。
 流石に宣戦布告をするのは駄目だとヴィルヘルムから静止が入り、とりあえず家の周辺を調べようということになったのです。



ニャミ「MZDとあたし達に瓜二つの子、この家に入っていったんだよね?」

ミミ「そうだね。MZDのお母さんらしき人と一緒に…」

ジャック「どうせその『母親』も幻かなんかなんだろ?上司の話が正しけりゃ、神の母親は、神がもっと小さい頃に火事で死んでるんだからな」

ヴィル「本人が話していたことを『正しけりゃ』とは随分な言い様ではないか。―――本来であれば、あの姿で母親と共に歩くなどあり得ないことだ。……十中八九、メフィストが作った『幻』で間違いない」

ミミ「でもさ…。お母さんと一緒に歩いてるMZD。凄い楽しそうだったし、幸せそうだった」

ジャック「…………」



 ミミは引っかかっていました。公園で見た幸せそうなMZDの表情。今でこそ全てを背負い、表情を悟られないようにサングラスで隠し…。『ポップンの頂点に立つ者』として、その小さな身体で世界を守ってきた。本来であれば、普通の人間として人生を謳歌していれば。母親の元で幸せに、普通の人生を送れていた筈なのでした。彼が、神々に目をつけられなければ…。
 幸せそうな彼の表情が忘れられず、自分達がやっていることは本当に正しいことなのかが一瞬分からなくなります。思わずそのことを口にしてしまうミミ。ニャミもその言葉には一理あるようで、眉が下がります。



ミミ「『助ける!』って言った手前こんなこと思っちゃ駄目なんだろうけどさ。MZD、凄く幸せそうだった。本当ならあんな風にお母さんと笑いあって、普通の人生を送っていたはずだったんだよね。
   だから、一瞬だけど思っちゃってさ。わたし達のやろうとしていることは、MZDの幸せを壊すことなんじゃないか、ってさ。……さっき、ヴィルさんが言ってたことだけど」

ニャミ「ミミちゃん…」

莉愛「まぁ。ミミの言うことはあたしにも分かる。神様はあたしより小さい頃に家族と引き剥がされちゃったから…。幻でも、記憶がなくても、母親のぬくもりを求めることは何もおかしいことじゃないと思う」

ヴィル「…………」

ジャック「―――でも。駄目だ。神を現実に戻してやらないといけないんだろ」

ミミ「ジャック…」



 言葉を失う中、ジャックが凛とした声を張り上げます。ネタバレになるとあれなので詳しくは言いませんが、彼もヴィルヘルムに自分の魔力を入れられる前は『別のいのち』があったんです。……多分ジャックには話していないことだと思うので、ここだけの秘密ですよ。
 彼は『それでもMZDを現実に引き戻さないと駄目だ』と続けます。



ジャック「いくらあの神が幸せそうだったって、それは幻だろ。現実に引き戻さなきゃ、お前達が…お前達どころじゃない。あいつが今までポップンパーティに誘った数多の人間達が消えちまう。あいつ1人の幸せと、ポップン世界全員の命。あいつの幸せの為に沢山のいのちを無駄にすんのか?」

ミミ「そ、そうじゃないよ!そうは言ってないよ!でもさ。MZD、神様として色んな事凄い我慢してここまで生きてきたと思うんだよね。泣きたくても泣けなくて、自分より他の人を優先してさ。『神様だから』ってさ。
   それを知ってるから、さ。余計に思っちゃうんだよね…。MZDが幸せな道を選んであげたい、ってさ」

ニャミ「うん。でも、ジャックの言うことも当たり前だよ。あたし達がここで諦めたら…。あたし達だけじゃない。ポップンが全部消えちゃう。今まであたし達が出会った、沢山の人達が消えちゃう。だから……辛いけど、立ち止まるわけには行かないんだよ」

ヴィル「お前達には辛い選択だろうが……。きっと、このことはお前達を成長させる糧になるだろう、と私は踏んでいる。数々の修羅場を潜り抜けてきたとはいえ、君達はまだ未成年だ。未来がある。
    ―――だからこそ、年長者が道を示してやらねばな」

ジャック「ジジイみたいなこと言ってんじゃねえ上司。神より年下の癖に」

ヴィル「ジャック、お前は帰ったら調教だな。 ……さて、本題に移ろう。先程言った通り、MZDの傍にいる母親。あれはメフィストの創り出した『幻』で間違いない」

莉愛「メフィストが幻で神様の母親を創り出して、あたし達のことを思い出させないようにしてる…ってこと?」



 ヴィルヘルムは早速、自分の考えを述べ始めました。彼の見立てでは、MZDの傍にいる母親。彼女は、メフィストの創り上げた『幻』だと言います。彼の言葉に続くように莉愛が『MZDを引き離す為に用意しているのか』と問うと、ヴィルヘルムは静かに頷き言葉を続けます。



ヴィル「あぁ。MZDの記憶が戻ってしまえば、あいつは確実に私達の元へ戻る行動を始める。あいつの力はメフィストにとっても厄介な筈だからな。封じておく必要があるのだ。
    そして……もう1つ。私達が見たあのミミニャミも、メフィストの企みに加担している可能性があるな」

ミミ「えっ?!」

ニャミ「あたし達と瓜二つの奴らが悪者に加担してるのー?!」

ジャック「お前達が直接やってるんじゃないんだからそこまでショック受けるなよ…。でも、その可能性は充分あるだろうな。あいつら、俺達に気付いたのか神を隠すように去って行ったからな」

ヴィル「メフィストを叩く前に、彼女達を何とかせねばMZDを救うことは出来ないと思った方がいいだろうな。彼女達はメフィストというより、MZDの方に執着があるようだから」

莉愛「神様を匿って、何を考えてんだか…」

ジャック「神を助ける為にも、あいつらとの接触が必要だな」



 自分達とコンタクトを取らなければならない。その言葉に不安がるミミニャミでしたが、ヴィルヘルムが『自分達が守る』と強い言葉で言ってくれた為、その不安は少しだけ和らいだのでした。
 ―――接触を図る為にも、まずはサクヤ達と意識のすり合わせを行わなければなりません。それに、日が傾いてきています。このままではすぐに太陽は沈み、街は夜の静寂に包まれるでしょう。暗い中の行動は危険です。



 その時でした。莉愛がひらひらと落ちてくる『物』に気付きます。



莉愛「ねえ。何かこっちに落ちてきてる」

ジャック「何だ…?紙?」

ニャミ「チラシみたいだけど…。取ってみる?」



 ひらりひらりと落ちてきている物は『紙』のようで、それは彼女達のすぐ傍の地面に落ちました。ニャミが近付いて拾い上げてみると、確かにそれは『チラシ』の形状をしていました。
 ミミもそれを覗きます。そこには、『ラジオ体操』という文字が書かれていました。



ミミ「ラジオ体操?」

ジャック「無人の街でラジオ体操なんてやるわけないだろ。でも、それならチラシが飛んでくることもないしな…」

ヴィル「もしかしたら、誰かがこのことを聞きつけて影ながら助力してくれているのかもしれんな。―――日付は明日、か」

莉愛「もし神様の元にも同じチラシが届いているんだったとしたら…。接触するチャンスなんじゃない?」

ニャミ「確かに。MZDなら絶対行きたがるだろうし。変な気を起こさせたくないならMZDの意思を抑える選択肢なんてあり得ないからね!」

ヴィル「紙から人ならざる者の気配を感じる……が、悪いものではない。一度本部に戻ってサクヤ達にこれを見せた方がいいだろうな」

ニャミ「夜になってまで街を彷徨っていたら色々危ないからね!背後からグサリ、なんてことがあり得るかも…」

ジャック「暗殺者でもないのになんでそんな考えがよぎるんだよ」

ニャミ「伊達にジャックと一緒に過ごしてないからねー!」

ジャック「言い訳になるか!!!」

莉愛「とりあえず、戻りましょ。―――接触するなら、作戦を練らないと」

ヴィル「そうだな。私からサクヤに連絡しておく。日が傾く前に帰ろう」



 謎のチラシを手に入れた一同。人ならざる気配を感じたヴィルヘルムは、一度これをサクヤに見せようと提案しました。そろそろ作戦も練りたいし、夜になった今何が起こるか分かりません。危険な目に合う可能性もある以上、一旦拠点に戻った方がいいと皆同じことを考えていました。
 ―――急に現れたチラシ。一体誰の仕業なんでしょうね。






















 ―――その夜。部屋でくつろいでいた少年の元にも、同じように1枚のチラシが窓から入ってきました。



『ラジオ……体操……』



 そのチラシに手を触れた瞬間―――。少年は、いわれのない違和感に襲われます。自分は何かを忘れているような。とても大事なことを忘れているような。
 ……忘れてはいけないことを、忘れているような。



『何だろう。とても懐かしい……。でも、なんで? ぼくは、何かを忘れてる―――?』



 少年の幸せを奪うか、沢山の命を犠牲にするか。……もし視聴者の皆様がその選択肢に立たされた時。一体どういう選択肢を取るんでしょうかね。
 違和感を抱いたまま、少年は眠りにつきます。―――少年は、沢山の人達と楽しいパーティをしている夢を見ました。それはそれは楽しい夢でした。みんなも、自分も。笑顔でした。




 記憶の空を辿った少年。叢雲が作り出した闇を払うべく、今、自身と向かい合う。
 叢雲の向こうか、それとも現実か。―――彼がどちらかを選ぶ時が来るのは、きっともうすぐ。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9