二次創作小説(新・総合)

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UW逃走中03~GAハイカラ☆アーティスト~【完結】
日時: 2024/07/08 18:30
名前: おろさん ◆cSJ90ZEm0g (ID: wXN0Dq0s)

どうも。おろさんです。



という事で、予告していた通りUW逃走中03のスタートです。



追跡アンドロイド『ハンター』から制限時間120分間逃げ切り、賞金をゲットせよ!!



今回の舞台はスプラトゥーン2の『ハイカラスクエア』!!

……なのだが、見慣れない学校や、芸術に関するような施設や物が並んでいて……?


時空融合現象が巻き起こす、ハイカラなアートをご覧あれ!?



逃走者(50音順)
・逃走中03(26名)
茨木華扇(東方project)
大宮忍(きんいろモザイク)
神楽(銀魂)
桂ヒナギク(ハヤテのごとく!)
桜ノ宮苺香(ブレンド・S)
サタン(ぷよぷよ)
志村新八(銀魂)
射命丸文(東方project)
ネコダラボッチ(にゃんこ大戦争)
バンダナワドルディ(星のカービィ)
ピカチュウ(ポケットモンスター)
比那名居天子(東方project)
フェーリ(ぷよぷよ)
ブラック(ブラックチャンネル)
松原穂乃花(きんいろモザイク)
マルクト(Library Of Ruina)
冥界のカリファ(にゃんこ大戦争)
モナ(メイドインワリオ)
ルカリオ(ポケットモンスター)
ローラン(Library Of Ruina)

作者枠
・永久(月詠>>2
・エイジア>>3
・浜千鳥>>18

リクエスト枠
・左翔太郎(仮面ライダーW/風都探偵)

MVP枠
・ラフィーナ(ぷよぷよ)
・フランドール・スカーレット(東方project)


プロローグ>>23
逃走者紹介>>24
ミッション1まで>>27>>30-36
ミッション2まで>>37-47
ミッション3まで>>50>>53-59
最終ミッションまで>>60-70>>73-82
ゲーム終了まで>>83-84
エピローグ>>85



見どころ(順次更新)
・まさかの図書館から逃走者が!?
・(コロコロ出てる覚えないけど)にゃんこ軍団の冥界のカリファ参戦!
・バスターズグランプリ参加者もやって来た!
・明かされる、■■(オリキャラ)の過去……!?

Re: UW逃走中03~GAハイカラ☆アーティスト~ ( No.61 )
日時: 2024/06/24 18:55
名前: おろさん ◆cSJ90ZEm0g (ID: wXN0Dq0s)

鈴夜「ふぅ……」


……たまたまあった、座るにはちょうど良さそうな瓦礫に座っている鈴夜。


さとり「流石に近くにいるとは思ったものの、こんなところに……」

そしてさとりが、鈴夜の元に。


鈴夜「……さとりさん、やっぱり来たんだね。」

さとり「やっぱりって……分かってたんですか?」

鈴夜「なんとなくそう思っただけだけどね。……で、何の用?」


さとり「……」


そしてさとりは、話を切り出す。


さとり「鈴夜さん……聞かせてくれませんか?貴方の過去と、貴方とあのF.Eと名乗った存在にある因縁を。」

鈴夜「そんなことしなくても、君ならその気になればできると思うけど」

さとり「……私は鈴夜さんの口から直接聞きたいです。」

鈴夜「……そっか。


……まあ、いいか。元々隠すつもりも無かったし、こうなった手前話さないわけにもいかない。」


そして、鈴夜は語り始めた。


鈴夜「……何となく分かってるかもだけど、俺は元々彩井学園の生徒……要するに、作品としては『GA 芸術科アートデザインクラス』で知られる世界の住人だった。

当時は合成獣キメラでもない普通の人間だった。女装にもハマってるわけじゃ無かった

……んだけど、物凄く素行が荒くなってた。」

さとり「えっ」

鈴夜「両親がとんでもない毒親でさぁ。色々強制されたりしてたもんだからストレスがえらく溜まってさぁ……

色々あって独立は出来たんだけど、まあそういう事で……」

さとり「これだけでも散々だったのはなんとなくわかりますが……それがどうして今の状態になったんですか……」

鈴夜「そこは順序立てて話すから。

……で、一応高校には入れたんだ。それが彩井学園。近場で、自分の学力で簡単に入れるので普通科に。


でもまあ物凄くイライラして、物に当たったり、何か喧嘩とかいじめとかの現場に横やり入れて乱闘にしたり……ストレス発散のために色々やってた。

……でもそう言えば常時道に迷いまくったせいで結局尚更ストレスたまってたな……教室移動すると何故かスポーツジムだの松屋だのに行きつくから……」

さとり「(どういう学園なんですか彩井学園)」

心の中でほんのりとツッコミを入れつつ、さとりは鈴夜の話を聞く。

鈴夜「まあそれはそうとして、入学してしばらく経った頃だったんだけど……その時、ある人に出会ったんだ。」

さとり「……ある人?」

鈴夜「うん。



『野崎』さんって人。俺の大恩人なんだ。」



*****


その頃。


黒い物体「ア”ア”ア”……」


オヤ・マー博士「到着して早々早速来おったか!頼んだぞルイージ君!」

ルイージ「い、言われなくても分かってるってば!!」


黒い柱の中に入り込み、鈴夜達も迷い込んでいるのであろう謎の空間に入ったオヤ・マー博士とルイージ。


オヤ・マー博士はルイージの後ろの位置の隠れ、ルイージ本人はオバキュームで黒い物体と戦う事に。

とりあえずオバキュームを使いこなし、黒い物体をオバケと同様で吸い込んで行く。


ルイージ「これで最後!!」


そして、残りの1体を吸い込んだ。


ルイージ「な、何とか片付いた……」


オヤ・マー博士「良い感じじゃルイージ君!あとは今吸い込んだ物を手掛かりに――」


オヤ・マー博士が盛り上がっていると、彼の背後に黒い物体が。


黒い物体「キシャァァァァァ!!」


ルイージ「博士!!危な――」



……その瞬間、その黒い部隊が一瞬で切り刻まれた。



オヤ・マー博士「ん?」



そして、誰かが着地する。




阿求「……大したことないわね。」


……阿求だった。


ルイージ「あ、阿求?何だか前と比べて随分見違えてるけど……」


阿求とオヤ・マー博士の元にルイージは駆け寄る。


オヤ・マー博士「知り合いなのか?なら手伝ってもらうとするか!!」

ルイージ「えっ」

阿求「まあもとよりそのつもりだから


……それで、確かオヤ・マー博士だったかしら?何のためにハイカラスクエアに来たの?」

阿求がオヤ・マー博士に問いただすと、彼はこう言い出す。

オヤ・マー博士「その事だが……実はな、ずーっと前から興味があって探していた、『異世界に封じられた怪異』の反応がこの世界で感知されたのじゃよ。」


阿求「……何ソレ?」


阿求は首を傾げたが、オヤ・マー博士は続けて説明する。


オヤ・マー博士「簡潔に言うとな……


ずーっと昔、力の暴走による被害のあまりに、様々な世界の管理者メイドウィンにより封印された存在と言われておる。


その正体は良く分かっていないが……最近になって突然、この世界から異様な反応を察知したから来てみたのじゃ。」


阿求「細かい部分は置いておいて、それが例の怪異だとすると……時が経つ内に封印が解きかけて来たか……




……それとも、時空融合現象による……となればもしかして……」













続く。

Re: UW逃走中03~GAハイカラ☆アーティスト~ ( No.62 )
日時: 2024/06/25 22:47
名前: おろさん ◆cSJ90ZEm0g (ID: wXN0Dq0s)

残り時間【26:57】



ブラック「逃走者の数も減り、残り時間も次第に無くなってきましたね。」



穂乃花「結構長く残れてるし、このまま……!!」



フェーリ「ケド、まだ油断はできないワ……」



現在7人の逃走者達が残っている状況。


対し、エリア内にはハンターが4体!確保されれば賞金はゼロである!




フィリップ「やあ、翔太郎。」

翔太郎「『やあ』じゃないんだよオイ……いつの間にこの世界に来てたのか?」


どう言うわけかハイカラスクエアに来ているフィリップ。翔太郎が所在を聞いてすぐにかけつけて来た。


フィリップ「作者にこの世界の情報を聞いてね。……それで、少し気になることが出来た。


……この世界と混ざった世界、どうやら僕たちの世界と繋がりがあるようでね。地球の本棚で検索してみると、あの向こうにある学園『彩井学園』が検索結果に出た。」



翔太郎「彩井学園……美術でそれなりに知られている学園でそんなのがあったって聞いたな。


……で、あの黒い柱は何なんだ?」


彩井学園に発生している黒い柱。阿求がキュートちゃんを使役して掘り当てたものだ。

オヤ・マー博士が不思議な装置を起動させたことで、謎の黒い空間へと繋がるようになった。


フィリップ「……順序立てて話そう。


……翔太郎、君は『封じられた美術品』の噂を聞いたことはあるかい?」

翔太郎「……封じられた美術品?」

フィリップ「いや、知らないのも無理はない。僕もさっき調べたばかりだからね。



……大衆にはおとぎ話、もとい都市伝説の一種として語られているものだ。

とある不思議な力を持った少女が、次第に力をコントロール出来ず暴走させてしまった。その時起きた惨劇が二度と起きないように、魔術師が少女を絵画に閉じ込め、何処かの地下深くに埋めた……と言う内容らしい。

……翔太郎、これが実際に起きた事であると仮定した場合――」



……すると突然、謎の黒い物体が、2人の周囲に出現する。


黒い物体「ヴヴヴ……」


翔太郎「コイツは……!!」

フィリップ「翔太郎、さっきの続きだけど、僕は今回起きている時空融合現象、恐らくその絵画が関係していると見ている。


……絵画に閉じ込められた少女は、二度と力を暴走させないように封じ込められた。


それが彩井学園の地下で、封印の力がその場所に依存していたとしよう。……それが、地形や座標を無視して、全く別の場所に転移するとなれば……」

翔太郎「確かに、そういう事になってもおかしくねぇ……!!」


何か察した翔太郎は、ダブルドライバーを取り出す。


翔太郎「まずは、こいつらを片付ける。……行くぜ相棒!」

フィリップ「ああ!」


【サイクロン!】

【ジョーカー!】



翔太郎&フィリップ「変身!!」









残り時間【24:56】


逃走者 残り7名

アイテム状況
ブラック コイン20枚 スプラッシュボム
比那名居天子 コイン40枚
他:コイン20枚

Re: UW逃走中03~GAハイカラ☆アーティスト~ ( No.63 )
日時: 2024/06/26 14:04
名前: おろさん ◆cSJ90ZEm0g (ID: wXN0Dq0s)

残り時間【24:53】



死んだ蝶の葬儀「ありがとうございました。」


天子がショップに訪れ、40枚全てのコインを使用して網鉄砲を獲得。


天子「フフン、こういう時は念には念を入れて堅実に行ってみる事にしようじゃないか。」


そう言ってエリアを歩く天子。その時……



ハンターB「……」



近くに、ハンター……!!



ハンターB「……




……!!!」



見つかった……!!



天子「……って、ここでハンターだと!?だがすぐに使うのはもったいない……!!」


網鉄砲を使う事を渋り、逃走する天子!


天子「くっ、流石に体力がもたないか!?……ん?」


天子の逃げた先に……



華扇「……あら、誰かと思えば……」


華扇だ!


天子「悪いが頼んだぞ!」


華扇「え、何を言って――


……って、何でハンター引き連れてるのよ!?」


ハンターB「!!!」


早速ターゲットを華扇に変更!!



ポンッ



茨木華扇 確保 残り6名



華扇「な、何でこうなるの……;;」



完全なる巻き添えである……




プルルルル……



天子「『茨木華扇 確保』……流石に悪い事をしたな……」



穂乃果「そろそろ残り時間が20分に近づいてきてるし、多分……」



*****



その頃。



さとり「……『野崎』って……あの5人の内1人がそんな苗字だったような……」

鈴夜「多分あの子は妹だよ。姿も似てるし。


……無性にむしゃくしゃして物を蹴りに蹴ってたら急に現れて。で、問答無用でぶん殴ろうとして、思いっきり投げ飛ばされた。……池にダイレクトで落ちていったっけ」


さとり「(そんなにダイナミックなんですか……;)」


鈴夜「その後気絶して、その後、『美術部』って言う部の部室に連れてこられた。」


・回想、4年前


風二子『やー、起きたかい?ごめんねー思いっきり投げ飛ばしちゃって』


……『野崎風二子』。後の美術部部長となる人物。カウンターのソレで、攻撃しようとした鈴夜をぶん投げた結果、池に落下。その後気絶した鈴夜は、どういうわけか美術部の部室へと運ばれた。


鈴夜『い、一体全体何が……って、何でずぶ濡れになってんだ!?……ああ池ポチャしたんだったお前のせいで』


風二子を睨む鈴夜。


風二子『だーからごめんって。……ところで君、見たところ別の学科の生徒みたいだね。それも同じ一年。』

鈴夜『……だったら何だよ。』

風二子『いや、それに関しては確認しただけ。


それはそうとして着替え持ってくるよ。えーと、確かこの辺りに……



……あれっ、おかしいな。女子用の服しかない……下着もどう考えても女物だし……待てよ?うちって別に女子が男性用の制服着ても大丈夫だったし……あ、そうだ』


鈴夜『・・・。』


どことなく嫌な予感のする鈴夜。戻って来た風二子が妙にニヤニヤしながら鈴夜に近づき……


風二子『……ねぇ君、何気に顔も思ったより良いし、体格もほっそりしてるし……行けそうじゃない?』


鈴夜『・・・。


逃げるんだよ『逃がさん!!』いや待て!!せめて自分で――』


そして確保され、後はまあお察しで数分後。


風二子『よし、出来上がり。』

という事で、(下も含め)着替えさせられた。

風二子『いやぁ、部の先輩がやってたのを真似してみたけど、中々出来るもんだね……』

鈴夜『……。』

風二子は若干ドヤ顔をし、一方鈴夜は黙り続けている。

風二子『えーと……やっぱりダメ?』


すると鈴夜は、こう呟いた。


鈴夜『いや……結構良いなコレ』

風二子『えっ』


黒須羽鈴夜、女装癖に目覚める瞬間であった。










続く。

Re: UW逃走中03~GAハイカラ☆アーティスト~ ( No.64 )
日時: 2024/06/26 22:35
名前: おろさん ◆cSJ90ZEm0g (ID: wXN0Dq0s)

鈴夜「まあ、そういう事もあってさ。成り行きで俺はその美術部に入る事にした。」

さとり「……女装して?」

鈴夜「うん。

……美術部って名前なだけあって、絵をかいたりモノ作ったり色々やった。

それに、野崎さんを中心にまともに人と関われるようになって、今まで溜めてたストレスだのも吹っ切れてね。そっから約3年間……後輩からもちょいちょい慕われるようになったり、野崎さんに終始振り回されたり……

特に、野崎さんが部長になった頃はすごく楽しかったよ。驚くほど活気があったし。


……けど……」

鈴夜はまた少し暗い表情を浮かべる。


鈴夜「……卒業式が近くなってきた頃……事件は起きたんだ。」

さとり「事件……」

鈴夜「俺の住んでたアパートと野崎さんの家は近くてね、その日も時間が重なって一緒に登校してたけど……



信号を渡っていた瞬間、俺は野崎さんを庇って、信号無視のトラックに撥ねられた。

……いや、アレが本当にトラックだったのかは分からないけど……」

さとり「それって、もしかして……」


さとりは、鈴夜の身に起きた事に薄々気づき始める。


鈴夜「……車に轢かれたけど一命をとりとめたとしたら、大抵は病院で目を覚ましたりするでしょ?


……けど、違った。」


回想。おそらく2年前


鈴夜が目を覚ました時、どういうわけか牢屋のような場所にいた。


鈴夜『……え、ちょっ……ちょっと待って、ここどこ……?』


F.E『目が覚めたか……』


……そこに現れたのは、誰かに似ているが、どことなくカラーリングが黒い存在だった。


鈴夜『だ、誰だお前!!何かどっかのロボット作品の最低野郎みたいな見た目して!!』


F.E『一言多いわ貴様!!!

……ええい、腹が立つ!!本来の捕獲対象の野崎風二子を捕えるのにも失敗し、挙句瑠璃川ダイアの判断でこんな女装男子を生かす羽目になるとは!!不愉快だ!!』


鈴夜『……お前!!色々どういう事だよ!野崎さんを狙ってたってどういう意味だ!!』


F.E『……お前ではない。私は『ファントム・エンブリヲ』、通称『F.E』。


調律者『エンブリヲ』を元に作られた、素晴らしい存在と言っておこう。』


鈴夜『……要するに、最低野郎と同じ姿をしている悪趣味な人じゃん』


F.E『黙れさっきから!!綺麗な女だと思って回収してやったと言うのによりにもよって男!!合成獣キメラ材料にするためとはいえ生かされている事に感謝くらいしたらどうだ!!』


鈴夜『き、キメラ?何を言って――』


鈴夜はその瞬間、自身の身にある違和感に気づく。

そして、たまたま横にあった鏡を見る。


鈴夜『何、コレ……猫耳に、触手に……翼!?サキュバスとかそういうやつの……』


困惑する鈴夜に対し、F.Eはほくそ笑んでいる。


F.E『驚いただろう?様々な生物を混ぜ合わせて作る合成獣キメラ兵器……運の良い事に、貴様はソレに選ばれたのだよ。』


鈴夜『選ばれたって……そんな傍迷惑な事頼んでな――あうっ!?』


……鉄格子を掴むと、電流が流れる。


F.E『残念ながら、君の都合など関係無いのだよ。


……その内、貴様も兵器転用のための調整が施される。それまで大人しくしているのだな。

……一応言っておくが、貴様の持つ物品は直して置いておいた。せいぜいくだらん思い出にも浸っているがいい。……全く、瑠璃川ダイアは何故こんな指図を私に……』


鈴夜『ふざけんな!!待て――あうっ!!』


去って行くF.Eを追いかけようとしたが、また鉄格子を掴んだため電流が流れる。


鈴夜『あー、そうだった……ん?』


……すると鈴夜は、この牢屋の中にもう1人、人がいるのを見つける。鈴夜よりも年下の少女で、体育座りでうずくまっている。


少女『……』

鈴夜『(女の子?まだ俺みたいに何かしらの改造をされてるわけでも無さそうだけど……)

……ええと、君は……』

鈴夜は近づいて話しかけるも、少女は体勢を変えずに黙り込んでいる。

少女『……』

鈴夜『ま、まず名前は?』

少女『……』

まただんまり。

鈴夜『……黙ってるって事は、もしかして無いってことで良い?』

少女『……』

鈴夜『ねぇ、極端なこと言った俺もアレだけど反応は欲しいよせめて。


……とは言え、名前くらい名乗ってもらえないと話が進まないんだけど。』

少女『……』

以下同文。

鈴夜『……もう適当に名前つけて呼ぶよ?』

少女『……』

以下略。

鈴夜『じゃあ『センリツ』で。特に理由はない!!ハイ決まり――』

少女『結構良いじゃん……』

鈴夜『……良いの!?』

何気に少女が口を開いた。

少女『……ところでお兄さん、名前は?』

鈴夜『え、く、黒須羽鈴夜だけど……』

少女→センリツ『じゃあ私は黒須羽センリツ。今日からそうする。


……よろしく、鈴にぃ。』

鈴夜『ええ……』


強引半分に妹分が出来る事になった。……これが、センリツとの出会いである。




続く。

Re: UW逃走中03~GAハイカラ☆アーティスト~ ( No.65 )
日時: 2024/06/28 13:27
名前: おろさん ◆cSJ90ZEm0g (ID: wXN0Dq0s)

その後、センリツは色々と説明してくれた。

ここは全く別の世界。簡潔に言えば、非常に物騒な施設だそう。

鈴夜は当時、ここが異世界だと聞いて困惑していたが、今自分自身が非現実的な改造を施されている故に信じはした。

また本人の話によると、センリツは生まれた時点から異世界の奴隷商に売り払われた身だという。そして名前すら無かったまま、数日前に購入されここに放り込まれた。


……だんまりを貫いていた態度から一変して、随分とあっさり話してくれた事に鈴夜は若干の違和感を持った。だが、名前を付けてくれたお礼なのか、あるいはただの気分なのか、理由を話してくれることは無かった。


ただその後、

センリツ『色々教えてあげたから代価として何か見せてよ。何か刺激?が得られそうなの無い?』

と言われた。

仕方ないので鈴夜は、本当に処分されていなかった私物の中からスケッチブック(これが私物と言えるかは別として)を取り出した。


センリツ『尊い……』


……その結果が、何故かコレ。当然ながら鈴夜は困惑する。

無論、スケッチブックそのものや、それに描かれた絵を見て、鈴夜自身も心配や寂しさ等の感情が出てはいる……のだが、センリツの反応に盛大に困惑する。その感情が勝って反応に困っている。

あのスケッチブックには、風二子を含めた美術部の部員の人物画を描かれていた。それも物凄く上手く描かれているもの。その中でセンリツは特に女子生徒の絵(主にその内の数枚(それも風二子のを含めた))を見て何故か目を輝かせていた。


センリツ『まさに俗にいう驚き桃の木山椒の木といったところ……絵でも分かる……時代を生きる少女の測り知れないヒストリーがっ!!!そんでもってペラペラペラ――』

鈴夜『……うん?』


正直何を言っているのか、まず何でそういう趣味に目覚めたのかもあまり分からなかったが、何か世に解き放ったらそれはそれでマズイ気もする、大分独特な人間を生み出してしまった気がしてやまない。

……そう思う鈴夜だった。



『……時間だ小娘。何をしているのかさっぱりだがそれ止めてさっさと来い。理由は知らんが一緒の場所にぶち込まれてるお前は待機しろ。』


センリツ『……!!!』


そんな時、この施設の人物らしき男が檻を開ける。センリツはその姿を見て後ずさりするも、手錠のような物体がセンリツの両腕につけられ、引っ張られる。そして男はセンリツを連れ出した。


鈴夜『ちょっ、待て――あべらっ!!』


何をするか大体察せたため追いかけようとしたが、普通に鉄格子を掴んでまた電流が流れた。


鈴夜『あー……どーすればいいんだよ何から何まで……』


大方、センリツを自分と同様に合成獣キメラにするつもりなのだろうと鈴夜は察していた。

数日前から用意されていたとなると、(即席に近い形で改造された自分と違って)多分何か特別重要な事に使うつもりなのだろう。

大分ろくでも無い事をしでかそうとしている事は何となく分かっていた。

……本心、助けたいと思っていた。細かい事はどうであれ、あそこまで目を輝かせ始めた子供をこれ以上ろくでもない人間に良いように使われて良いはずがないと思っていたから。


鈴夜『とはいえ、まずこの鉄格子なんだよなぁ……うっかり3回掴んですっごい電流喰らったから普通の方法じゃ無理だろうし……あっ』


鈴夜は考えた。自分もその合成獣キメラにされているなら、何か檻を簡単に敗れる術があるかもしれないと。


鈴夜『よし……こうなったらソレで……



……あったとてどうやるんだ?』


……と思いついたは良いが、やり方も分からないし、そもそも自分のどんな能力が付いたのかも分からないしである。


鈴夜『・・・。



……な、ななななな何だって良い何だって良い!!かめはめ波でもメガ粒子砲でもスペシウム光線でも何だっていいから!!!』


ヤケクソ半分で何かをしようとする。で、その過程で左手で何故か鉄格子を掴む。当然ながら電流が流れる。


鈴夜『とどおととおっとおととどととおとととにかく何か技でっ、出てくれ何でも良いからと言うか最早お願いしばすあべばばっばらばばっばばば』


(傍から見る途端あるアホみたいなのはともかく)とりあえずノリと勢い(と言うかほぼヤケクソ)で何とかしようとする鈴夜。


鈴夜『なんとかなれなんとかなれなんとかなれッ、



なーんーとーかーなれぇぇぇぇぇぇっ!!!!』


そして、ぶん殴るくらいのスピードで右手も鉄格子の方へ。その瞬間……


鈴夜『……あれ?』


鉄格子が凍り付き、一瞬で全部粉々になった。


鈴夜『何か……出来た?』


硬直状態の鈴夜だったが、鉄格子を壊したせいか警報が鳴る。


鈴夜『あ、やばっ!!』


鈴夜は前もって所持品を纏めておいた鞄を担いで、センリツが連れて行かれたであろう方向に向かっていった。




まだちょっと続く。


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