二次創作小説(新・総合)

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE
日時: 2016/06/13 05:42
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: zSZyy9Vi)

ヴァイスシュヴァルツ、第2シーズン突入!

再び李里香達がヴァイスシュヴァルツでカードバトル!

ただし、今度の話はヴァイスシュヴァルツの世界にモンスターエンパイア、更に原作に存在しないオリジナルカードまで!?

この一癖も二癖もあるカード達にWSCFCは?!

色々盛りだくさんのヴァイスシュヴァルツ第2幕、公開!


◎:色々

用語>>1 >>44

キャラ紹介>>2 >>3



★:本編

1話『新たなる始まりの予感』>>4-8

2話『銃と槍と剣』>>9-12

3話『協奏、奏であい――』>>13-18

4話『絶体絶命!?トーナメントへの道筋』>>23-27

5話『出会いと別れ。獅子王と殲滅者』>>28-31

6話『開幕!獣VS寄生虫(ビーストバーサスパラサイト):前編』>>40-43

7話『開幕!獣VS寄生虫(ビーストバーサスパラサイト):後編』>>47-51

8話『武装解禁!ジャイアントキリング!』>>54-60

9話『フロニャルドでの再会』>>61-64

10話『フロニャルド奪還作戦!』>>69-75

11話『フロニャルド最終決戦!:前編』>>78-82

12話『フロニャルド最終決戦!:後編』>>83-86


†番外編


『テイルズ掛け合い集』>>34-37

Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.26 )
日時: 2014/11/09 20:02
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: S5DpgI4u)



Side,out.


数ターン後。


白田 レベル2 クロック6 手札3 ストック2



ツンデレ美少女“ミル子” 1※“力の片鱗”キリト

2※“あたるの妹”ルリ 無し 無し



3※なのは&ヴィータ 4※星光の殲滅者 なし

“春に生まれし風”リインフォース? 無し


李里香 レベル2 クロック2 手札3 ストック5 思い出2


※1力の片鱗のマーカーは現在5枚。

※2“あたるの妹”ルリの現パワー7千5百。

※3なのは&ヴィータの現パワー7千5百。

※4星光の殲滅者の現パワー1万。


「何とかここまで来たけど、能力と言い、とんでもないわね」

「だが、そのとんでもない奴を相手にしているうえにデッキを半ば事故らせている状態でおく立ち向かってられるな」

「う゛……」

白田の指摘に李里香が声を詰まらせる。確かに3枚の手札には全てイベントとアンコール用のキャラであり、事実上キャラは舞台にいる4人しかいない。

「このターンで一気に王手をかけてやろう!ドロー。クロック&2ドローし、レベルアップ!まずは“深遠なる闇の奇術師”キリトを右前列にコール。そして!このデッキの切り札!“ギガント大好き”つかさを中央にコール!!」

まず、青いメッシュの少年が右前列に現れ、更に中央列にフラッグを持っていた少年が舞台に現れた。だが、そのパワーはバンプアップをあわせてたった3千と1しかない。

「はぁ?応援効果を引いて……本来のパワーはたったの1!?」

「そこまで驚くとは意外だな。だが、これから更に驚いてもらうぞ。“ギガント大好き”は自分がスタンドかレスト状態ならば、自身の名を含まぬ前列のキャラにパワー+5千5百!」

「はぁ〜それでパワーがたったの1……って、5千5百!?」

とんでもない上昇数値に本日何度目かの仰天。恐らく赤属性を選んだプレイヤー達がこの能力を目の当たりにしたのだろう。


ルリパワー 7千5百>>1万3千


奇術師パワー 5千>>1万5百


「そしてクライマックス、『ギャラクティカドラゴン』を発動!控え室の赤のカードをストックに置き、すべてのキャラにソウル+1!」


ルリソウル 1>>2


奇術師ソウル 1>>2


つかさソウル 2>>3


「行けつかさ!」

「はぁ!?たった3千1のキャラで攻撃!?」

普通なら勝ち目が無いバトルはサイドアタックでダメージだけを与えるはず。なのに無謀にもフロントを攻めると言っている。
だが、白田は百も承知だと言うような顔をして説明しだした。

「普通ならつかさがおぬしのシュテルに敵わない。だがまずは5ダメージを喰らって貰うぞ!」

「はぁ!?って、あっちゃあああああああ?!」

最初に灼熱の竜が中央前列のカードから出現。それが咆哮を上げると一直線に李里香に激突する。
李里香を中心に灼熱の炎が渦巻き、5枚のダメージアクションにはクライマックスは存在せず、レベルアップしてしまう。さらにトリガーアクションではトリガー無し。2ダメージを喰らうもクライマックスキャンセルで凌ぐ。だが、バトルの結果は突進するつかさにシュテルが容赦なくディザスター・ヒートを放つ。

「だが、残りはどうする?ルリのフロントアタックと闇の奇術師のダイレクトアタックだ!」

残りの攻撃にはルリの分をキャンセルするも、闇の奇術師のソウル3の攻撃を通してしまった。
だが、李里香もこれ以上状況を悪化させない為にもなのはとヴィータをアンコールで舞台に残す。

「でも、これで馬鹿げたバンプアップも終わるわ。次に反撃をするわ!」

あえてフロントアタックしたことで白田の切り札はもうリバース状態。このターンが終わればつかさは控え室行き……かと思われた。

「……手ぬるいわ!」

「『……え!?』」

白田の言葉に李里香とシュテルが意表を突かれた顔になる。
なんと、リバース状態のつかさがアンコールステップ終了時にレスト状態で場に留まっていたのだ。

「こやつは前列での他のキャラのパワーアップの他に、クライマックスコンボによる5ダメージ。更に次のわしのターンまでリバース状態にならない超強力カードなのだ!パワーの少ないデメリットも、これで解消と言うわけである!」

『つまり、クライマックスが発動されるとバトルでの撃破が不可能という事ですか!?』

「そんなのアリ!?」

ありえない効果に李里香が度肝を抜かす。こんな相手にどうやって立ち向かうのか。


白田 レベル3 クロック0 手札3 ストック2


李里香 レベル3 クロック3 手札3 ストック5 思い出2

「ドロー。クロック&2ドロー。……ぅ…」

手札を見る李里香の顔が更に悪くなる。

(あの顔……恐らく手札にキャラがいないか、今の状況を打破できないカードのどちらかでしょう……なのはの能力ならひょっとしたら発動できますが、それが無いとなると……相手は中央を除いてパワーが桁違い……!前列の2体をどうにかしないと……)

場に残っているシュテルの、普段変えない表情にも苦悶の色が見える。

(場に存在するキャラは口出しは出来ない……けど、自分の無力感がこれほど辛いものだなんて……!)

自分の立場に思わず自分のデバイスを持つ力を強めている。
李里香も手札と舞台を見て声を詰まらせている。

(問題は前列の2体。ただでさえ応援でパワーアップしているのに、5千5百も強化されてるなんて手の施しようが無いじゃない……!レベルもコストも今あるイベントの範囲外だし……え?)

ふと白田の場を見ると、前列はつかさ以外レベルは低い。そう、『レベルが低い』のだ。

「そっか、この手なら!!」

『!?何か手があったのですか?』

「勿論よ!“結界魔導師”ユーノを右前列にコール!」

早速盤面を整う為に開いた舞台にキャラをコールする。だが、今の状況ではこのカードは余りにも力不足過ぎる。

「更に、『超長距離砲撃』を発動!」

『何だ?確かそれってコスト1以下のキャラを舞台から引き剥がす効果だろ?俺様を引き剥がす事なんて……』

「いや違う!狙いはおぬしではない!」

『え?』

高笑いするつかさに白田が李里香の狙いに気付いて声を上げる。

「そう!まずは前列のあたるの妹を舞台から引き剥がす!」

宣言と同時に李里香が左手でピストルの形を作り、ルリを山札の上に飛ばす。

「続けてなのは&ヴィータのアビリティアクション!コスト0の闇の奇術師を退場!」

続けて右手で同じ様にピストルの形を作り、闇の奇術師を吹き飛ばす。

『うわわわわ、俺以外前列のキャラがやられちまったじゃねぇか!』

「これは流石にマズイ!」

「トドメにクライマックスフェイズに『スターライトブレイカー』発動!すべてのキャラにソウル+2!なのは&ヴィータ、結界魔導師でダイレクトアタック!」

『行くぞ、なのは!』

『うん!李里香ちゃん明けた道、絶対に物にする!』

『一気に叩き込むよ!』

ソウル4となった3人の一斉攻撃が白田に襲い掛かる。まず、ユーノが自らに結界を張ってからの突進攻撃が炸裂。これでダメージ4を与えると、続くなのはとヴィータの連携にトリガーアクションを合わせて5ダメージを与える。だが、5枚目でクライマックスを引き当ててキャンセルに終わる。

「いよいよこれが最後……シュテル、お願い!」

『……皆さんが開けた道、切り抜けて見せます!』

最後にシュテルが愛杖のルシファリオンをカノンモードにしてつかさ越しに白田へと狙いを定める。

『この一撃で、決着を付けます!ブラスト……ファイアー!!』

杖の矛先に魔力を集中し、砲撃を放つ。その光はつかさを貫通し、白田に直撃した。

「ぐぅっ!ダメージアクション……!」

ダメージを受けた白田が一枚一枚カードを公開していく。1枚目、2枚目、3枚目ともクライマックスではない。そして4枚目……!






















「トリガー……無し」

『GAME'END! WINNER AKAHOSI,RILIKA』


ゲームが終わると同時に電子音が決着を知らせる。
戦いの終わりを知ったキャラ達は緊張感が取れた様に息を吐く。

「ふぅ、何とか勝てた……」

「見事であったぞ。赤星李里香」

バトルを終えた白田が腰を抜かしてへたりと座っている李里香に歩み寄る。

「各々一度負ければ終わりの状況下でよくぞ誰一人欠ける事無く生き延びた」

「はぁ、ありがとうございます……」

手を差し伸べた白田に、お言葉に甘えようと李里香も手を伸ばす。

「……ふんっ!」

「ッ!?」

その直前、差し伸べていた手が拳になり、李里香の顔面目掛けて襲い掛かる。
いきなりの事で避ける間も無く、殴られると思い目を閉じる。


――ピタッ!


が、李里香の顔面に痛みが感じられない。
恐る恐る目を開くと、眼前に拳が寸止めされていた。

「油断大敵であるぞ?最も、ログと竜崎は軽くいなしたようだが」

「何だ、寸止めだったんだ……」

「だが!一瞬の油断と己の驕りが時に取り返しの付かぬ過ちの種となる!その事を肝に銘じておけ!以上だ!」

「は、はいぃ!」

キツイ一言に弾き飛ばされる様に部屋を飛び出した李里香。
李里香が去り、自分以外がいなくなると、きゅうすからお茶を湯飲みに注ぐ。

「さて、脅威のルーキーと手を組んだ聡明学園、その実力を見せて貰おうか」

どかっ、と清楚ながらも整った作りのソファに座ると、お茶の入った湯呑みを飲み干した。
その直後、下を思い切り火傷したが。

Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.27 )
日時: 2014/12/01 21:44
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: S5DpgI4u)

「はぁ、何か色々疲れたわ……」

李里香の自宅。どっと疲れが出た李里香が魂が抜け出そうな声でぼやきながら夕食を作っている。
恐らく他の伊村と皐月以外はあのキャラや一体で効果を発揮するキャラを、直接引き剥がしたり後列に送ったりしていたのだろう。

『部長や伊村さんはよくあんなの相手に勝てたよね。それと、今回はあまり力になれなくてごめん』

「平気よ。シュテルがいてくれたから勝てたんだから。そうでしょ?」

『……』

「シュテル?」

『あ、いや……すみません。ちょっと考え事をしていました』

「ふぅん……」

あえて深く突っ込まず、夕食の支度をする。
料理が仕上がり、テーブルに3人分の料理を載せた直後にシュテルが突如立ち上がる。

「シュテル?」

『……今、ベランダから何か……』

何かを聞き取ったのか、シュテルに続いてなのはと李里香もベランダを見る。シュテルの言葉から数秒後、白い猫がベランダの影から出てきた。驚いた3人はすぐに猫を解放する。
白猫は毛並みも良く、首から指輪をペンダントの様に下げているが、良く見ると酷い腹部に傷があり、疲弊しきっている。

「大丈夫かな?凄くボロボロよ」

『流石シュテル。いつものマタタビオーラで猫を引き寄せたんだ』

『私は猫引き寄せ機ですか』

小コントを入れてる場合ではない。幸いにも李里香のマンションはペットは禁止していないので、応急処置をしておく。

『……この猫は…』

「どしたの?」

『こんなにも早いとは思いませんでした』

ふっ、と呟くとシュテルが手をかざす。すると猫と李里香を光が包み、2人の間にデッキが生まれる。

「え?何これ?」

『仮契約を行い、私の代わりに貴方を守ってくれるようにしたのです』

「は?シュテルの代わりって……?」

『私は、今の自分が貴方達の足かせになると思っているのです。このままでは白田学園長の言葉通り、今の私が貴方の驕りとなり、トーナメントで敗北してしまうでしょう』

『そんな……だからってそんな勝手な事――』

『前々から――伊村との戦い以降この事を考えていました』

自分の胸の内を晒すように言い続けるシュテルに李里香となのはが引きとめようと説得する。
ここで引き下がったらシュテルがいなくなるかもしれない、その不安を悟ったのか、僅かに微笑を見せるシュテル。

『心配しないで下さい。別に契約を解除してまでするわけではありません。トーナメントまでには必ず』

『だからって――』

『大丈夫です。必ず、トーナメントまでには必ず帰ってきます』

そう微笑んで言うと、ベランダの手すりに足を掛け、空中に飛び出し、飛行魔法を発動する。
そのまま空中に飛び出したシュテルが光に包まれてカードとなり、そのカードが光の粒子となって消滅した。

「どこに行くのよ……シュテルのバカああああああああ!!!」


光となって消えたシュテルに向かうように、張り裂けるような叫びを上げた。





『今回のフェイバリットカード』


白田「今回はわしの切り札、『ギガント大好きつかさ』だ!」

李里香「本来のパワーはたったの1だけど、レストかスタンド状態で前列にいるなら他の仲間を5千5百も追加し、更にクライマックスコンボで撃破不可能!もう反則スレスレよね;

白田「もし相手が使ってきたのならば、バトルを介さずに舞台から退場させる能力を持つカードや、パワーを下げるカードを用意しておけ!逆にこのカードを使うのであれば常に手札に対応するクライマックスを用意しておくのが紳士のやり方である!」

李里香「……扇子持って突然登場する人が紳士に見えないわね;」

白田「何をぅ!?」




感想お願いします。

Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.28 )
日時: 2014/12/14 08:29
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: S5DpgI4u)


ヴァイスシュヴァルツ世界:マギアワールド。



その世界は、なのはとシュテル、ナツの故郷が属する世界の総称である。
遥か昔からファンタジーをベースにした世界と、人間界をベースにした世界の2つが存在する。前者は魔法を生業とするものが多く、後者は魔法の存在と科学は別物として扱っている。
そんな世界に、一つの光が入ってきた。

「王、人間界よりシュテル・ザ・デストラクター、只今戻ってまいりました」

「ん?一体誰だ――なんだ、シュテルではないか」

ある建物の玄関口に下りたそれは、李里香と別れを告げたシュテルであり、彼女に応じたのは王のマテリアル、ディアーチェだった。彼女は契約で暫く会えないと思っていたシュテルに僅かばかり驚く。彼女に家に上がるよう促すが、その時奥から2人飛び込んでくる。

「おぉ!シュテルんが帰ってきた!」

「シュテル、お久しぶりです!」

「ユーリにレヴィか。リビングに戻っておれ」

ディアーチェの言葉に2人の少女、ユーリとレヴィは元気良く頷いて準備に入る。
2人を見送った後、シュテルはディアーチェに言う。

「王、少々お話が……」

「ん?」





「なるほど。己の弱さに嫌気が刺し、そして我らの世界に帰って行ったというわけか」

その後、リビングで紅茶を貰う紫天一家の4人。シュテルは李里香と共にした日々だけでなく、この頃まで思っていた事も3人に話した。
レヴィとユーリは興味津々に聞き入れるが、ディアーチェはどこか重い空気を漂わせている。

「その程度でこっちに帰ってくるとは、我が臣下としては失格だな」

「そんな!王様言いすぎだよ!」

「止めてくださいレヴィ。確かに王の言うとおりです。このままではいけないと思っています」

ディアーチェの言葉にレヴィがシュテルを擁護するように言うが、シュテルはそれを斬り捨てる。
だが、ディアーチェは紅茶を一口飲むと、話を続ける。

「最も、我もカードとしての能力は嫌いだ。臣下を犠牲にしてまで強くはなりたくない」

「確かに我々の中で、良く使われるのはユーリだけですね。私の場合、李里香の好意でって意味でですからね」

溜息を吐いて自分の不備な点に悪態を吐く。
だが、ここで悪態の吐き合いをしていても解決にはなりはしない。首を振って別の話題を挙げる。

「そんな事より、昨日(さくじつ)変なものを見つけてな。ついて来い」

ディアーチェがそれに「正直、うぬのためになるかは解らぬがな」と付け加え、シュテルをある場所に案内した。
近くの小高い丘で、時空の裂け目を見つける。もやの様に不安定に動き、中を覗くとどこかの場所に繋がっているように見える。

「昨日現れてな。色々調べていたら、フロニャルドとやらの世界に繋がっていたのが解った」

「でも、こんなの正規ゲートじゃないですよね?」

「恐らく昨日以前になにか起きたのだろうな。そんなのがあるという事は……」

「フロニャルドに異変が訪れた。と言う事ですね」

「そういう事だ」

ディアーチェとユーリの言葉に、おおよその事態を呑んだシュテル。ディアーチェにもその意図を読んだように尋ねる。

「なら、今から行くか?」

「……宜しいのですか?」

「うぬの力の糧になればこそだ。我らも用事が済めば貴様の元に向かおう」

窓からベランダに出たディアーチェが、空の向こうにあると思われるモンスターエンパイア方面へと向け、瞳を鋭くする。

「この住みよい世界を土足で踏み荒らそうものならするがよい。そいつらに恐怖と絶望を脳裏に刻み込んでくれるわ!」

「王……」

「だから行け。強くなっておぬしのパートナーの、我らの矛としての大役を果して来い」

「……はい!」

ディアーチェの言葉に、シュテルはそれ以上言わずベランダから飛行魔法を使って飛び出し、フロニャルドへと向かっていった。

Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.29 )
日時: 2014/12/14 08:37
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: S5DpgI4u)




明影学園。放課後。


「ずーん……」

「あ、あの李里香……大丈夫?」

周りさえ巻き込みそうな鬱オーラを撒き散らして机に突っ伏す李里香に、彼女の教室に来た皐月が多少引きながら尋ねる。
昨日の件が相当ショックだったらしく、クラスメイトからも「近付きたくない」と答えるほどのオーラを撒き散らしていたらしい。

『なのはちゃんはどうしたの?今朝から見かけてないけど……』

そこにれいが原型状態で現れ、なのはがいない事を尋ねる。
言葉に反応した李里香がうつぶせたまま当麻の方に振り向く。

「なのはちゃんなら、朝から無限書庫へ行ってたわ。調べものがあるって」

「調べ物ねぇ……あ、今日はみんなのデッキ強化だから部室に集合ね。ミチと竜崎は部費でカードを買ってあるから」

なるほど、と事情を知った皐月は踵を返すとそう言って一足先に部室に向かっていった。



〜少女移動中〜



そして、部室にて。

「どうもー「わぁー!かわいい!」どしたの?」

気だるく部室に訪れた李里香が見たのは、先行していた皐月が白猫に対して黄色い声を上げていた光景だった。
部員の男子2人も、物珍しそうに見ている。

「珍しいね。ここって猫を飼ってないよね?誰かの飼い猫?」

「あー……あたしのです」

がやがや集まる前に李里香が申し訳程度に挙手する。

「え?でもこの前(前作『ヴァイスシュヴァルツ!ステージオン!!』参照)来た時はいなかったよね?」

「話せば長いけど……」

がっくりとうなだれた李里香が昨日の出来事を話す。

「じゃあ、その時にシュテルが?」

「うん……」

「それで落ち込んでたのか。まあ、いきなり出て行ったら納得だけど」

事情を聞いた武が頷いた。だが、まだなのはが無限書庫にいった理由と猫の招待に納得がいかない。

『李里香ちゃん、お待たせ!色々調べてきたよ!』

「なのはちゃん!」

その時、タイミングよくなのはが戻ってきた。
部室に入ると同時に待機状態のレイジングハートに指示を出し、壁に撮影した映像を見せる。

『色々調べてみたけど、昨日シュテルが言ってた通り、その子、何かあるみたい』

撮影した資料を見せると、あの白猫が下げていた指輪が写っていた。

『この指輪は、「魔戦斧グランヴェール」って武器みたいなの。フロニャルドって世界のガレット獅子団領の宝剣なんだって』

「つまり、この子はその何とか団領の関係者なの?」

『あ、でもこの宝剣は代々その領主に受け継がれているから、多分その子は領主なんじゃないかな?』

「ふーん。でもこの子が領主かどうか解る方法ってないの?」

『手っ取り早い方法を挙げるなら……バトルかな?そうすれば本来の姿になれると思うよ』

『なら久しぶりに俺達とするか?』

バトルを提案したなのはに当麻が挙手する。それに伴い武もやる気のある声を出す。

「面白そうだな!久しぶりにバトルするか?」

「そうね。デッキも持ってきてあるし、久しぶりにお願い!」

早速バトルの準備を開始する。武は自分のデッキを、李里香は昨日白猫の仮契約で得たデッキを手に準備を整える。

「これよりバトルを開始する!ルールはネオスタンダード。ハンデは無し。双方いいな?」

冬雅のジャッジに2人は頷く。そしてデッキを専用MFSに置く。

「その夢幻の幻想を、俺の右手が消してやる!セットアップ、“幻想殺し(イマジンブレイカー)”!」

「いや、今の何!?」

「あぁ、前に白田学園長がやってたのをちょっと真似したんだ」

突然武が光となっている手札をそろえると同時に挙げた口上に李里香が驚いて尋ねる。
どうやら前回白田学園長が試合を開始する時に口上を使っていたので、それを真似たらしい。それを聞いた李里香も興味を示したのか、「セットアップ、ガレット獅子団」と口上を言ってバトルに入る。

「「ステージオン!」」

『STEGE,ON!』

Re: ヴァイスシュヴァルツ・NEXT/STAGE ( No.30 )
日時: 2014/12/14 08:48
名前: 八雲(元BFD) ◆FvibAYZ8Tw (ID: S5DpgI4u)



バトル開始と同時に当麻が武の右後ろに立ち、李里香の右後ろにいる白猫も光を纏い、姿を変える。
白い毛並みは長い白髪へ、身長も李里香の頭一つ分高く、首に下げていた指輪も右手中指に収まり、服は蒼い軍服のような衣装を纏っていた。光が収まると気が付いたかのように目を開き、あたりを見渡す。

「あー、名前良いかな?貴方の名前は?」

『ワシか?名はレオンミシェリ・ガレット・デ・ロワ。ガレット獅子団領の領主じゃ。長いのであれば、レオで構わぬ』

名を名乗った獣人、レオに、なのはが「やっぱり……」と確信を持った声で呟く。
そんな時に空気も読まず武がバトルを進める。

「俺の先攻!ドロー!クロック&2ドロー。“無能力者”当麻を前列中央にコール。そしてチェンジ発動!全ての異能を泡沫に帰す!“幻想殺し”当麻、スペリオルステージアップ!」

『よし来た!』

早速十八番のチェンジを使い、切り札である当麻を場に繰り出す。

『ちょ、ちょっと待て!見るからにそいつのレベルは1。コールするにはあとクロックが5必要だぞ!』

『いいや、彼だからこそ可能だ』

レオが驚いて講義の声を上げるが、どこからかそれを否定する声が出る。
そこに顔を向けると、翼とナツが帰っていた。

『それはクロック1枚を置き、自身を思い出に置く事でコールできる。武は予め手札交換で切り札を控え室に置いていたんだ』

『お!バトルしてんのか!?俺も混ぜろよ!』

『その声……ナナミにガウル……か……?』

声に反応したレオが声のほうに振り返る。だがいたのは買い物から帰ってきた冬雅&ナツとミチ&翼&ハルヒのみ。
数秒の沈黙の後……。










『誰だお前ら!!??』

『『それはこっちの台詞だー!!』』

「また説明かよ……」

突っ込みを入れる翼とナツを余所に、武が溜息を吐いた。





十数ターン後。


李里香 レベル3 クロック0 ストック2 手札4



“ジェノワーズ”ベール “お側役”ビオレ

ガウル・ガレット・デ・ロワ ※“獅子王”レオ “近衛メイド”ルージュ




※“修道女”インデックス ※“インデックスの保護者”当麻 ※“幻想殺し”当麻


月読小萌 “メイド候補生”舞夏



武 レベル2 クロック4 ストック4 手札3 思い出1



※1“戦無双”は現パワー1万3千。

※2“修道女”はパワー3千、“インデックスの保護者”はパワー8千5百、“幻想殺し”はパワー5千。


「……なんか、今の李里香、ミスが目立ってない?」

『多分、昨日のショックが原因なんじゃ……』

これまでのプレイから竜崎が疑問に思い、なのはも李里香を心配するように肯定する。
今までの李里香のプレイを見てみると、レベル1相手にノワールの効果を使ったりなど、ミスを連発している。

「ガウル、ルージュ、レオの連続攻撃!」

メインフェイズを終えた李里香が、まずガウルがインデックスを爪で切り裂いて倒し、2ダメージを与える。
だが、それを待っていたと言わんばかりに猛の口角が上がる。

「倒してくれてサンキュー!アビリティアクションでインデックスを思い出に!更に2人の当麻の“記憶”スキル発動!レベルを0にしてパワーアップ!」


インデックスの保護者パワー 8千5百>>1万1千5百

幻想殺しパワー 5千>>6千5百


永続アクション“記憶”。李里香の切り札もそれを持ち、思い出置き場(他のカードゲームではいわゆる除外エリア)にカードが特定数――カードの種類も特定される場合もあり――おかれた時点から効果が発動される。
パワーアップを許してしまったものの、もうアタックは止まれない。続けてルージュが当麻にナイフで襲い掛かる。トリガーアクションはダブルソウルトリガーを引き当てるも、最初の1枚でキャンセルされる。

「建宮斎字のカウンターアクション!パワー+2千!」

負けじとカウンターを発動する武。バトルもナイフの突きを避けた当麻がルージュの右頬に右ストレートを当てる。

「でも、最後の攻撃は何が何でも通す!」

確かに今のレオはパワー1万3千と高い。差は1千5百もある。だが、武も

「甘い!幻想殺しをコストにカウンターアクション!竜王の顎(ドラゴンストライク)!レベル+2&パワー+2千!」


インデックスの保護者パワー 1万1千5百>>1万3千5百


当麻の拳とレオの斧がぶつかり合う。
最初は宝剣を持っていたレオが優勢に進んでいたが、幻想殺し(イマジンブレイカー)を持つ右手に竜の頭のようなオーラが噴き出すと、次第に押し返されていく。

『貰ったぁ!』

『あぐっ?!うぐああああああーー!!!』

一瞬の隙を突き、レオの腹に藤間が渾身の一撃をお見舞いした。
カウンターのストレートを直撃したレオはそのまま吹っ飛び、舞台の袖の壁に激突した。
「ぐっ……!アンコールでルージュを舞台に継続。ターンエンド……」


李里香 レベル3 クロック0 ストック3 手札4

武 レベル2 クロック4 ストック3 手札1 思い出1


「ドロー。クロック&2ドローし、レベルアップ。そんでもって、“ビリビリ中学生”美琴をコール!」


手札2>>1

ストック2>>1



BGM:PSI missing



『呼んだ?武』

「絆アクションで当麻を呼んでくれ!」

『OK!あいつを呼ぶのは癪だけど……!』

アビリティ『絆』。それはコストを払う事で控え室からテキストに記されているキャラを手札に戻す能力。
中学生くらいの少女が体から電気を迸らせると同時、前のターンでコストに消えた相棒を手札に戻し、再びコールする。


ストック1>>0


「あとは前列を操作して、と。クライマックスに“幻想殺し(イマジンブレイカー)”を発動!そして中央の当麻でダイレクトアタック!効果で他のキャラにパワー+3千!そしてトリガーアクション!」


幻想殺しパワー 6千5百>>7千5百>>1万5百


ビリビリ中学生パワー 5千>>6千>>9千



最初のダイレクトアタックでソウル4から更に幻想殺しを引き当てる。それと同時に李里香の顔も青くなる。

「ウィンドトリガー!ソウル1追加し、ルージュ!」

『は、はい!?』

「トリガーの効果でお前を手札に戻すぜ!」

ソウル5の攻撃が直撃すると同時に突風が吹き荒れる。ガウルは何とか堪えたが、ルージュに集中的に吹き荒れ、耐え切れなくなったルージュが飛ばされて李里香の手札に戻る。

「続けて美琴、頼むぜ!」

続けざまに美琴が電流を起こし、その力で砂鉄を剣の様に集めてガウルを斬り裂いた。

『これで、トドメぇぇぇ!!』

「うあああっ!!」

飛び越えての斬撃で2ダメージ。最後の望みとダメージアクションを行ったが、結果はどちらもトリガーは存在しなかった。


『GAME,END. WINNER, SHIDOU TAKERU.』


「よっしゃ、勝ちィ!」

『なんだ、結局俺の出番は無しかよ』

「そう言うなって。お疲れさん」

自分の攻撃前にゲームが終わった事で溜息を吐く当麻に気にするなと武が慰む。
ゲームが終わると同時に当麻とレオ以外のキャラが空気に溶け込むように消失する。

『いきなりで悪かったな。じゃあ改めて。レオさん、アンタは何でここに来た?』

『ああ。それは……』

突然、ぐらりとレオの身体がよろけて彼女はそのままばたりと倒れてしまう。

「ちょ、ちょっと!?」

倒れた事に驚いて李里香が駆け寄る。身体を揺さぶってみると、脇腹から赤い液体が……

「怪我!?だ、誰か早く救急箱!」

「それならカード棚の奥よ!」

パニックになる中、皐月の言われた所から医療箱を取り出した李里香は大急ぎでレオの治療を行うのだった。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18



小説をトップへ上げる
題名 *必須


名前 *必須


作家プロフィールURL (登録はこちら


パスワード *必須
(記事編集時に使用)

本文(最大 7000 文字まで)*必須

現在、0文字入力(半角/全角/スペースも1文字にカウントします)


名前とパスワードを記憶する
※記憶したものと異なるPCを使用した際には、名前とパスワードは呼び出しされません。