かくれんぼ 作者/皐月 ◆KgiN6IO9uU

* 01 噂 ...壱
今日は朝から騒がしかった。
学校に来ると、皆がこそこそ話したり、叫んだり喚いたり……
私達は受験生だという事を忘れているのだろうか?
「日向ー! 聞いた聞いた? 超やばくない?」
噂大好き、噂のあるところ何処にでも駈けつけます!
…と自分の自己紹介で発言した、親友の海が私の体をゆする。
「どうせ昨日の夜あった事件でしょ?」
私は机の中から、苦手な数学の参考書を取り出して言った。
「もう、何で日向はそんなに無関心なの? 人1人が消えちゃったんだよ?」
無関心と言われるのには慣れていた。
親は、明るく元気な可愛い子に育つ様にと、「日向」と
名前をつけたらしいが、結果こんな風に育ってしまった。
昨日の夜あった事件――その内容は海の言った通り
人が1人この世から居なくなってしまったのだ。
消えた子は隣のクラスの男子で、昨日の夜親が見つけた時にはもう駄目だったらしい。
――それと、皆がこんなに騒ぐ理由はきっと、
消えた子が見つかった場所が屋根裏だという事と、
男の子が……壁に爪で一生懸命彫ったらしい文字。
――かくれんぼ。

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