かくれんぼ 作者/皐月 ◆KgiN6IO9uU

* 01    噂  ...弐



 「でさでさ! 壁に彫ってた『かくれんぼ』って、やっぱり噂通りあの伝説の事なのかな?」

 海は興味津々で、自分が物凄い貧乏ゆすりをしている
事にすら気がついていない。

「伝説って子供の時に、母さん達から聞いた話でしょ? あんなのでたらめに決まってる」

 私は目を輝かせ、机をがたがたゆらす海を尻目に
あり得ないと言い放った。

「でたらめじゃないよ! だって、今日の朝お母さんに
『お母さんが昔教えてくれたかくれんぼ伝説って、冗談だよね?』
って聞いたら、真っ青になって黙っちゃったんだもん!」

 海は一生懸命、でたらめじゃない事を説明しようとする。
 
 さっきから伝説、伝説って言ってるけど、それはこの村の子供なら誰でも知ってる話だ。
小さい頃、お母さんが話してくれる伝説。

 昔、ある村にまだ幼い男の子がいた。
その男の子は母親から留守番を頼まれて、家で1人遊んでいた。

 だが、しばらくして親が帰ってきた時には、男の子は息絶えていた。
押し入れで謎の死を遂げた男の子。

 親は何で押し入れなのか、何故死んだのか、原因を見つけ出そうと近所を回った。

 そして、隣の家の男の子が言った言葉――

 「お隣の男の子、かくれんぼしてたんだよ」