かくれんぼ 作者/皐月 ◆KgiN6IO9uU

* 01    噂  ...参



 「どうしてそう思うの?」

 母親は不思議に思い、聞いた。

「だってお隣から、『まーだだよ』とか『もういいよー』
とか聞こえたもん!」

 お隣の男の子は、自信有り気にそう答えた。

 母親はその夜、考えた。子供が1人でかくれんぼなんて
しようと思わないはず……。そんな事を考えている内に
母親は眠りについていた。そして夢を見た。

 家、息子が死んだ押し入れがある。
――そして押し入れを母親は開けた。

 叫ぼうとしたのに、声が出てこない。
押し入れの中には女がいた。
髪が長い。赤く充血した目で、物凄い顔で睨んでいる。

 ふいに女は、母親の後ろを指差した。
母親が振り向くと、そこには息子がいた。息子は女を指差して泣いている。

 ――そこで母親は目が覚めた。
母親は何故だか分からないが、息子を亡き者にしたのはあの女だと思った。
母親はすぐに押し入れにお札を貼り、女が出てこない様にし、村の人々にこの話を伝えた。


 …という伝説だ。
これを作った人は想像力が凄いんだろうな。
私はこの伝説を信じてはいない。

 ――だけど、信じなくてはいけない、事件が起きる。