十六夜の夜 作者/Alice ◆I.ViK/ToXc

第2夜
少女達はどんどん少年の前に降り立った
* * *
「・・・!?リリー・・・!!!」
目の前に次々と降り立ったのは、4人の美少女達。
リリーと呼ばれた少女は髪をかき上げて言う。
(名の無い少女参照)
「ねぇ、あんたがセレナーデ?」
目の前でほうきに乗って浮いている少女に鋭い閃光を浴びせながら、リリーは問う。
「あら、少年さんのガールフレンド?」
セレナーデは余裕そうに答えた。
風に靡いている細く束ねられた青みのかかった黒髪のツインテール。
黒薔薇の髪飾りが太陽光で輝く。
白いブラウスの上に黒い袖のないベストを羽織り、黒いミニスカートを履いてリボンタイを結び、ヒールの高い黒いブーツ。
服のせいかもしれないが、彼女はかなりの美人。
リリーとセレナーデが睨みあっていると、大人びた少女が口を開く。
「睨み合ってないでさっさと連行しなさいよ」
と。
そう突っ込みを入れたのは忍。
(これまた名の無い少女参照)
「連行出来るものなら連行してみなさい?」
セレナーデは怪しく笑うと、指を鳴らした。
パチン
セレナーデが指を鳴らすと、セレナーデが大きくほうきから飛び上がった。
「「「「イノセンス発動!!!」」」」
4人の女エクソシストは一斉に発動をする。
「此処は私の鎖で敵をこうそ・・・・」
ジャリッ
レイアの言葉を、金属が擦れ合う音がかき消した。
左腕に鋭い痛みを感じたレイアが、振り向いた。
「・・・・!?何これ・・・」
レイアの左手首を縛っていたのは、レイアの対アクマ武器、〝悪魔ノ鎖〟だった。
――――自分のイノセンスが自分を縛っている?
今自分の対アクマ武器は手元にあるはず。
「私の能力、この際だから教えてあげるわ」
上から声がして、はっと上を見上げたレイア。
上には、恐ろしい形相で上からレイアを見下しているセレナーデの姿があった。
その手にはレイアの武器、悪魔ノ鎖が握られている。
ジャリッ・・・
鎖の鈍い音と共に、レイアの体に激痛が走る。
「うっ・・・!!
あああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
レイアが悲鳴をあげる。
「レイア!!」
リリーが叫んで、造花の爆弾を数個取り出す。
リリーは迷い無く爆弾を鎖に投げ付けた。
爆発音を立てて、鎖が切れる。
痛みから解放されたレイアは、虚ろな目で砂の絨毯に倒れようとする。
倒れる寸前のレイアをリリーがしっかりと支える。
リリーが顔を上げた時には、目の前にセレナーデの姿は無かった。
ジャララッ・・・
長い鎖がリリーの前に現れ、ネックレスのようになった。
黒い鎖のネックレスはジャラリという音を立てて勢いよく引かれた。
鎖はリリーの首を絞める。
「ゔッ・・・ああ゛ッ・・・!!」
リリーが鎖に手を掛けて、必死で取り外そうとする。
手を離されたレイアは静かにパタリと砂の絨毯に倒れ伏す。
「くそッ・・・」
ラビはアレンを支えているのでとても戦いに出れる状態ではない。
「あはははははははははは!!!!!!!」
セレナーデが恐ろしく笑う。
「止めろおぉぉぉぉぉッ!!!!」
ファルが必死になって叫ぶ。
(またもや名のない少女参照)
「やめ゛ろ゛っぐ・・・・」
リリーの喉からは塞ぎ声しか出なかった。
リリーの目が虚ろになって来たその時――――。

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