俺はお前のコト何か全然ッ!好きじゃないんだからな!!

作者/礪月 ◆Ui8SfUmIUc

三話 挑発?それともマジ?


 魅夜は頭がいい。それは雅魅も認めつつあるところである。というか、魅夜は黙っていればその容姿、性格、秀才、スポーツ万能。とまぁ女子にはモテるわけである。黙っていれば。
 何故そこまで言うかと言うと魅夜は口を開けば雅魅の自慢、可愛いところ、全て話してしまうのである。しかもしれは日々変化している。 
 重度の変態、ブラコンなのである。
 
 「でさ~雅魅ってば可愛いんだよ!」
 
 この調子である。友達も女子も引いている。ドン引き。すごい笑顔ですごいことを語っている。
 
 確かに、雅魅は魅夜と同じように容姿端麗で頭もいい。運動神経もいい。
 そんな弟を可愛がるのはわからなくもないが、いい迷惑であろう。
 いつも制裁を受けているのを見ている。
 何故、諦めないのであろう?

 「なぁ~魅夜。そんなに好きか?弟くん」

 友達の井上慨良(イノウエガイ)にそう聞かれた。
 すると、パアアと顔をほころばせ大きく頷いた。
 「うん!当然!だってさ~雅魅は…」
 以下略である。聞かなくても解って欲しい。
 慨良は聞いたことをすぐに後悔した。頭を抱え、溜息をこぼす。そして、その愛を変わらず保ち続けている魅夜を改めて凄い奴だと思った。
 普通の人ならば諦めるだろう。いや、諦めて当然である。魅夜がああやってアタック(?)しているのにも関わらず雅魅の心は一ミリもこれっぽっちも動かないからである。
 それが何年続いているかは知らないが。
 (何モンだ此奴…)
 慨良は心の奥でそう呟いた。魅夜と出会ってまだそう長くはないが、此奴の考えていること、行動何一つ読めない。
 というか考えているのかすら解らないが。
 「ねぇ!聞いてる?」
 「ああ、すまん」
 それから慨良は魅夜の長い長い自慢話を聞くことになる。
 
 最後、魅夜がこう聞いてきた。
 「ねぇ、どうしたら僕が本気ってこと分かってくれるかな?」  
 慨良は少し考えた。生半可なことは言えない。
 だから、こう答えた。

 「少し、やってみたら?」
 
 半分遊びだった。
 
 が、向こうは本気にした。
 
 あんなことになるとは知らなかった。