俺はお前のコト何か全然ッ!好きじゃないんだからな!!

作者/礪月 ◆Ui8SfUmIUc

三話 挑発?それともマジ?


 「兄さん……何してんだよ、のけって……!」
 雅魅はベッドの上で足をじたばたさせている。だが、体の自由が効かない。何故かと言うと魅夜が雅魅の上に乗っかっているからだ。
 「嫌だよ。だってこうでもしないと雅魅、動くでしょ?」
 いつもと違い、真剣な表情をしている。雅魅が仰け反ろうと動く度にベッドの軋む音がする。
 「兄さん、俺勉強しねぇと。だから……」
 どんな手を使ってでも雅魅はこの状態から抜け出したかった。そのため適当な嘘をついて退いて貰おうと考えたのだ。雅魅の言う事なら聞くと思ったのだが…
 「そんなの後でいいでしょ。僕、言いたい事あるんだ。聞いてくれるよね?」
 少し笑い、手を雅魅の服、しかも胸のあたりに置く。摩るように手を動かす。
 「はっ……? 何してんだよ兄さん」
 「僕、本当に雅魅のこと大好きなんだよ? 弟とか関係なしに……解ってよ。雅魅が変な女に付き纏われない様に俺が、調教しないと」
 雅魅は咄嗟に解った。魅夜は本気だ、正常じゃないと。一人称が変わったのが第一だった。あれが変わるとおかしくなった証拠だ。
 「兄さん、解ったから……」
 「解ってない。俺がどれだけ愛してるか解ってないよ」
 表情が歪んでいる。そして、こう言った。
 
 
 
 
  

  
 
 
 
 
 
 「俺、雅魅を惚れさせるから。絶対」
 
 
 
 
 
 
 此処から全て変わってしまったのだ。




四話 気になるぅ?


 「はぁぁぁぁぁぁぁあああぁぁぁぁあ!!!!!? 昨日、雅魅に迫った……だと!?」
 顔面蒼白でそう叫ぶ慨良は叫んだと同時に後ろに下がった為、後ろの机にガンっとぶつかる。「痛ッ!」と当たった腰を押さえ、少し涙目で魅夜に近付く。
 「何やってんだよ……お前」
 「だから、やってみたんだよ。言ったでしょ、慨良」
 言ったけれども!そう思った。慨良は絶句した。雅魅が余計可哀想に見えてきた。純粋(?)で何でも実行するこの馬鹿に惚れられたんならもう無理だろう。
 「でね、雅魅ね! 顔真っ赤にしてとっても可愛かったんだよ!? 写真撮っちゃった♪」
 えへへーと笑い、昨日撮った顔の赤い雅魅の写真を見せる。いや、どうでもいいよ。と思ったのは仕方ないだろう。
 魅夜のこの愛が弟ではなく、他の…女子に向けられたならいいのにと思ったのは仕方あるまい。
 
  「昨日のなんだったんだよ……バカ兄貴が」
 ボソッとそう呟く。すると、「何のことだ?」と友だちが訊いてくる。
 「いや、何でもねぇよ」
 素っ気なくそう返す。それは何時ものことのため誰も気には止めなかった。
 昨日から頭の中はクソ兄貴のことでいっぱいだった。よくわからないが頭から離れない。