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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 144ページ)
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*122*
そのころ、星野くんはアップルくんとピエールくんと対峙していました。
「星野くん、ぼくたちは戦いたくないよ」
「ムッシュー星野、争いはやめよう」
「ぼくもそうです。でも、マロンくんたちはぼくに一番いってはいけない言葉を言ってしまったんです。これだけはいくらぼくでも我慢できません」
ビュン!
星野くんは高速でふたりに向かって突進し、パンチをそれぞれ一発ずつ打ち込みました。
あっという間にふたりは気絶してしまいました。
「邪魔者はもういませんね。ぼくは天使です。争いはしたくありません」
星野くんは地面をトンとけって、空高く舞い上がりました。
「ぼくの力を見くびっては困ります」
星野くんはすぐさまはマロンくんたちを発見し、地面に降り立ちました。
「残念ですが、ここまでです」
「星野くん・・・・」
星野くんは冷静ながらも怒りのオーラに満ち溢れた表情でマロンくんたちを見つめています。
「星野くん・・・やめてください!もうみなさんを傷つけないでください!」
メープルちゃんが涙ながらに訴えますが、
「メープルさん、ぼくは天使なんです。みなさんの不幸を吸って幸せにしたいだけなんです。みなさん、どうか、ぼくの邪魔をしないでください」
コツコツと歩み寄る星野くん。そしてにこっと笑顔を浮かべて、
「みなさんと会えて楽しかったです。でもみなさんの協力をぼくは拒んでいます。ぼくは、天使失格です。でも、ぼくは少しでも天使に近づくために人間らしい感情を捨てなければならないんです」
みんなはその言葉に何も言わなくなりました。これ以上星野くんの心を傷つけてはならないと思ったのです。ただ、ひとりを除いては。
「ハッハッハッハッハ!」
「何がおかしいんですか、モンブランさん」
「きみには無理があるといいたいのだよ、星野くん」
「無理じゃありませんよ。ぼくは現にこうして何を言われても何をされても感じないほど感情が麻痺しているのですから」
「きみは麻痺しているんじゃなくて、喜怒哀楽の表情が薄くてひょうひょうとしているだけだと思うんだ」
「・・・・・・」
「そういえば、きょうデパートで、戦隊ヒーローショーがあるのだがね・・・・・」
「本当ですか!?」
「本当だよ。きみがアレを返してくれたら、連れて行ってあげよう」
「・・・・・できません」
「返したら、カレーライスもおごってあげる」
「・・・・わかりました」
星野くんはしぶしぶ、靴を脱いで博士に渡しました。
「説明しよう!星野くんの履いていた靴は『エンゼルスニーカー』といって、履くだけで自由な飛行を可能する私の発明品なのだよ!そうだ、星野くん。あと、アレも返してくれないかな?」
「イヤです。アレだけは・・・」
「返したら、カレーうどんもおごってあげる」
「・・・・・わかりました。返します」
星野くんは身につけていた手袋を取って、博士に渡しました。
「説明しよう!これは『エンゼル・ハンド』と言っていつもの約1000倍のパンチ力がつく発明品なのだよ!」