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ポケモンストーリー ブラック編
作者: たくと七星  (総ページ数: 30ページ)
関連タグ: ゲーム 
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*12*

「第12話僕がプラズマ団の王様」
 シッポウジムにてアロエに勝利したムツミ。その後快進撃を続け、ヒウンシティでジムリーダーのアーティに勝利。途中、ベルとチェレンとのバトルに勝ち、チョロネコがレパルダスに進化した。順調に成長していくムツミと仲間たち、彼女たちが次に向かったのは・・。
 「あ、やっと着いたよ」
 ムツミ達はスキップしながら歩いていた。気がつくと、太陽の街、ライモンシティに来ていた。早速、中へと入ろうとしたムツミ。すると、ある老人がプラズマ団に襲われているのを目にする。
 「やい、じーさん。あんた、育て屋だろ」
 「預かっているポケモンをすべて、我らプラズマ団によこせ!」
 「何と無茶な!」
 ポケモンをよこせと強要するプラズマ団。育て屋のおじいさんはムツミを見ると彼女にすがった。
 「強そうなトレーナーさん、助けておくれ!」
 「やい、お前!そのじーさんをかばうのか!」
 「それなら、お前のポケモンから奪ってやる、いや、救ってやるぜ!」
 プラズマ団はボールを投げ、ズルッグとヤブクロンを繰り出してきた。
 「プラズマ団、こんな所でも悪いことをするなんて。やっつけるよ、ダゲキ、ハーデリア!」
 ムツミはダゲキとハーデリアを前に出した。2対2のダブルバトル、ムツミは素早く二匹に指示を出した。
 「ダゲキ、ローキック!ハーデリア、かいりき!」
 ダゲキはローキックでズルッグを吹っ飛ばした。そしてハーデリアはかいりきを使ってヤブクロンを倒した。ムツミの圧勝である。
 「な、我々がまた負けた?!」
 「ひとまず、遊園地でやり過ごさねば!」
 プラズマ団はそう言って逃げ去っていった。育て屋のおじいさんから礼を言われたあとムツミはライモンシティの門をくぐった。そこでベルと出会う。
 「あ、ムツミ」
 「ベル、また会っちゃったね」
 二人は久々の再会か楽しそうに話し合った。
 「ねえねえ、ベルはどこへ行くの?」
 「あたし?あたしはミュージカルへ行こうと思ってるの」
 「そうなんだ、私は、遊園地に行こうかな?」
 「いいねえ遊園地も、じゃあムツミ、また会おう」
 二人は笑顔で別れ、ムツミは遊園地へ足を運んだ。観覧車やピカチュウの大きな風船が目立つ中、ムツミはどのアトラクションを楽しもうかと考えた。そうした矢先、あの青年を目にした。
 「君は・・、Nくん?」
 間違いなくN本人であった。しかしどうしてここに、ムツミがいぶかしんでいると、Nのほうからムツミに声をかけた。
 「ムツミかい?」
 「は、はい・・!」
 「プラズマ団を探しに来たのかい?」
 「う、ううん、私はただ、遊びに来ただけ・・。ここにプラズマ団なんているの?」
 「プラズマ団なら、遊園地の奥へと逃げていったよ。一緒に探そう」
 そう言うとNはムツミを観覧車へ案内した。
 「どうして、観覧車に?」
 「その方が見つけられるだろう。それに僕は観覧車が好きなんだ。数式、円運動、いつ見てもいい」
 Nは観覧車にうっとりしていた。そして、一緒に乗ろうと言って、ムツミに手を差し伸べた。
 「あ・・ありがとう、ございます・・・」
 思わず敬語になってしまい顔を赤くしたムツミ。彼は優しい人なのかな、と思ってしまった。観覧車の中で二人っきり、なんと声をかけていいかムツミは戸惑った。するとNは、君にだけ教えてあげる、と言った。ムツミが見つめる中、Nは自分の正体を口にした。
 「今、このイッシュ地方で暗躍しているプラズマ団。彼らを率いる王様は・・・僕なんだ」
 「え・・・?」
 更にNは話を続けた。自分はこれまで多くのポケモンを目にしてきた。その多くが人間に傷つけられたポケモンであること、そのポケモンたちのためにいくつもの涙を流したこと、そして彼らのために世界を変えることをムツミに語った。観覧車から見える景色を見てNは言う。
 「この世界にはどれだけのポケモンがいるのだろう・・・」
 観覧車を乗り終えたあと・・・。
 「そっか、Nくんが、プラズマ団の王様だったんだ」
 「驚きだったかな・・」
 普通の人なら当然かもしれない。しかし、ムツミが口に出したのは意外な言葉だった。
 「でも、驚いたりはしないよ。だって、君は君だから」
 王様だろうとなんであろうと、君は君だよ、とムツミは言った。Nは感慨深い顔をする。
 「ふ、面白いね、君のことをますます知りたくなったよ」
 Nがそう言うと、あとから隠れていたプラズマ団がやってきた。
 「N様!」
 「ご無事でしたか!」
 「心配ない、君たちはここから逃げるといい」
 プラズマ団を逃すと、Nはモンスターボールを構えた。
 「さて、ムツミ。ここからどうなるか分かっているよね」
 「分かってるよ。プラズマ団を逃がすために、私と戦うんでしょ」
 ムツミも、後ろに控えるジャノビーたちを前に出した。だが、同時に考える。このバトルのあとにNくんの何が見えるのだろうか・・。そうしている間にNはメグロコ、ダルマッカ、ズルッグ、シンボラーを繰り出してきた。これにムツミはジャノビー、ヒヤップ、ダゲキ、ハーデリアを前に出した。
 「Nくん、買っても負けても、良かったって言えるバトルをしようね」
 ムツミはバトルに向けて明るい笑顔を見せた。一方のNは苦しい戦いにも前向きに振舞う。この子は何者なんだろうと、心でつぶやいた。
 「行くよ!」
 バトルは始まった。ジャノビーとメグロコ、ヒヤップとダルマッカ、ダゲキとズルッグ、ハーデリアとシンボラーのバトル。
 ジャノビーはつるのムチで攻撃しようとしたが、メグロコはあなをほるでこれをよけて背後から襲う。だが、ジャノビーはすぐに気づいてよける。ダルマッカは、ほのおのパンチでヒヤップに殴りかかったがヒヤップは俊敏に動いてこれをかわし、みだれひっかきでダメージを与える。ダゲキはからてチョップ、にどげりを出してズルッグに攻撃するも軽快にかわされてしまう。そしてズルッグがローキックを繰り出してダゲキを攻撃、更にずつきで追撃にでる。
 (ダゲキ、ここはがまんだよ・・・)
 ムツミの意図を察したダゲキはそのままがまんの大勢に出る。そしてハーデリアはシンボラーとの戦いを繰り広げていた。シンボラーのサイケこうせんをよけつつ反撃の機会を伺っていた。
 「皆、とどめ!」
 そして、ムツミの指示に四匹が動き出した。ジャノビーはグラスミキサーでメグロコを倒し、ヒヤップはねっとうを使いダルマッカを倒した。そしてダゲキは、がまんで溜めていたパワーを放出して、ズルッグを倒し、同じくハーデリアもサイケこうせんをジャンプでかわしてシンボラーにかみくだくでとどめを刺した。戦いはムツミの完全勝利となった。勝利に湧き立つムツミは勝った四匹をほめた。
 「皆お疲れ様、よく頑張ったよ。Nくんのポケモンもよく頑張った」
 Nの健闘も褒めたムツミだったが、Nは衝撃の発言をした。
 「ポケモンを完全な存在にするためにも、誰にも負けることのない存在にならなくてはならない。そのためにも・・・、僕はチャンピオンを超える!そして、すべてのトレーナーにポケモンを解き放つことを宣言するんだ、君がいつまでもポケモンと一緒にいたいなら、すべてのジムリーダーを倒し、そして、僕を倒すんだ!それほどの強い覚悟がないと、僕を止めることは出来ないよ」
 そう言い残してNはライモンシティを去っていった。ムツミは悲しい顔をする。
 「Nくん、どうして、ポケモンだけにこだわるんだろう。お互いないところを出し合えるから、ポケモンも人間もステキになれるのに・・」
 ムツミは思いつめてしまった。ミルホッグが、何か言いたげな顔をする。すぐにムツミは理解した。
 「ありがとう、そうだね。常に前を向かないと。そう言いたかったんだよね。よーし、次の街へ・・・て言いたいんだけど」
 ムツミはライモンシティを隅々まで見ることを決めて仲間と共に歩いて行った・・・。
 

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