完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

ポケモンストーリー ブラック編
作者: たくと七星  (総ページ数: 30ページ)
関連タグ: ゲーム 
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~

*14*

「第14話チャンピオン、現る」
 チェレンとの戦いに見事にムツミは勝利した。しかし、チェレンは負けたことへの悔しさを滲ませていた。
 「あら、あなた達、友達なんだ」
 そこへ、跳ね橋を上げるためにカミツレがやってきた。二人の前に立つと、微笑ましく見つめた。
 「ふふ、いいわね。そうやってお互いを高めあうのって。なんだか微笑ましいわ。さて、跳ね橋を上げるんだったわね。私についてきなさい」
 カミツレは先頭に立って、二人に跳ね橋へと案内した。
 「おお、カミツレではないか!」
 そのさなか、一人の厳かな旅人らしき男がカミツレに声をかけた。彼女を知っているようで、風来坊な風格をしている。
 「お久しぶりです」
 「カミツレさん、知り合いなんですか?」
 「知り合いも何もこの方はアデクさん。イッシュ地方のチャンピオンよ」
 「チャ、チャンピオン?!」
 チェレンは驚いた。普通、チャンピオンと言えばポケモンリーグの奥に控えている威厳あふれるもの、そのチャンピオンがどうしてここに、更にムツミも驚いていた。
 「うわーっ、すごーい!チャンピオンと顔合わせが出来るなんて!チェレン、見てる?チャンピオンだよ!」
 始めて目にするチャンピオンにムツミはウキウキワクワクしていた。
 「そのチャンピオンが、どうしてこんな所で遊んでいるのですか?」
 一方、チェレンは、やや疑問たっぷりに質問した。チャンピオンのアデクは苦笑いをして言った。
 「ふむ、随分と手厳しい若者だな。まあ自己紹介だ。始めまして、わしの名はアデク。イッシュのチャンピオンだ。ちなみに遊んでいるのではなく旅をしているのだ。
 「そうですか、僕はチェレン、ムツミと同じく、一端のトレーナーです。最終目標はチャンピオンですけど」
 チャンピオンになる、その壮大な目標にアデクは感心した。
 「なるほど、うむ。目標を持って旅をすることは素晴らしいことだ。それで・・・」
 「?」
 「チャンピオンになって何をするのかね?」
 目標であるチャンピオンになって何をするとアデクが言うと、チェレンは首をかしげた。
 「何をするって、一番強いのがチャンピオン。それ以外に何がいるというのですか?」
 「ふむう、強くなる強くなるの一点張りか・・。本当にそれだけでいいのかね?無論、君の考えを否定しているわけではない」
 そう言い終えると、アデクはムツミに声をかけた。
 「さて、お嬢さん。君に何か目標はあるかね?」
 「私、う〜ん・・」
 自分の番になってムツミは首をかしげた。そしてしばらく考えてこう言った。
 「私は、自分がどれほどの人間かは解らない。けど、この子達がいるから頑張ろう、て気持ちになれる。その意味ではポケモンは私に無限に広がる世界を教えてくれた。だから私は、この子達と一緒に行けると思うならどこまでも行こうと思います」
 まっすぐで飾らない言葉にアデクは感心した。そして彼女に何かしらの力があるのかもしれないと思った。
 「ふむ、よい答えだ。そうだ、お二人さん、あそこにいる彼女たちとポケモン勝負をしてはどうかな?」
 何かわかるかもしれない、と言うとアデクは二人のえんじとポケモン勝負をさせることにした。えんじの二人は二匹のハーデリアを繰り出してきた。ムツミはダゲキ。チェレンはガントルで挑んだ。2対2のダブルバトル。ダゲキはかわらわりで一体のハーデリアを倒した。
 一方、チェレンの指示でガントルはいわくだきでもう一匹のハーデリアを攻撃した。これにハーデリアはかみくだくで攻撃するがガントルはこれを耐えて、いわなだれでハーデリアを倒した。ムツミとチェレンの圧勝である。二人と二人のえんじをアデクは褒めた。
 「二人共、見事だったぞ。お前たちも勝てなかったがいい勝負だった」
 アデクの優しい励ましにえんじ達は笑みを浮かべた。そしてアデクはチェレンに言った。
 「さて、若者よ。君のように強さを求めるものがいれば、彼らのようにポケモンといるだけで満足する者もいる。考え、性格は人それぞれだ。君とわしのチャンピオン像が違っていてもそういうものだと思ってくれ」
 (この人は、ポケモンのことを本当に理解している・・)
 ムツミは心の中でそう思った。一方、チェレンは、
 「強いのがチャンピオン!それ以外の答えはない!」
 と、帰って反発するのだった。そして、カミツレと共に跳ね橋の方へとさっさと行ってしまった。ムツミは思わず不安になった。若さゆえの反発心。チェレンは間違った道へと進んでしまうのではないか、と考えてしまった。
 「大丈夫、チェレンもきっと、アデクさんの考えを解ってくれるよ」
 ムツミは自分にそう言い聞かせるとアデクに別れを告げてチェレンの後を追っていった・・・。

13 < 14 > 15