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ポケモンストーリー ブラック編
作者: たくと七星  (総ページ数: 30ページ)
関連タグ: ゲーム 
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*22*

「第22話リュウランセンの塔後編」
 一方その頃、ハチクとチェレンは行く手を阻むプラズマ団達と戦っていた。
 「くそう、ハチクだのチェレンだの、忌々しい奴らめ!」
 「同士よ、心配するな。こいつでこの二人を蹴散らしてくれよう!」
 ハチクとチェレンの活躍に、プラズマ団は追い詰められていた。その時一人のプラズマ団がボールを投げた。出てきたのは、あくとうポケモンのズルズキン、高いぼうぎょを持つあく、かくとうタイプのポケモンである。
 「く、こんな時に・・・」
 「ハチクさん、こいつは僕が倒します!」
 チェレンはズルズキンを倒すべくチャオブーとヤナッキーを差し向けた。
 「ヤナッキー、アイアンテール!」
 ヤナッキーはしっぽを振ってアイアンテールに出たがズルズキンはこれをガードした。続いてチャオブーがつっぱり攻撃に出たが、ズルズキンは痛くも痒くもない顔をするだけだった。
 「な、何?!」
 「馬鹿め、その程度の技でズルズキンが倒せるとでも思っていたのか!やれ、ズルズキン!」
 プラズマ団が指示を出すと、ズルズキンはかわらわりでヤナッキーを攻撃した。
 「チャオブー、ニトロチャージ・・」
 「ズルズキン、ローキックだ!」
 チェレンに反撃の機会を与えず、ズルズキンは素早くローキックを使ってチャオブーを吹っ飛ばした。
 「行け、ケンホロウ!」
 焦るチェレンはケンホロウを向かわせた。ケンホロウは飛びながらズルズキンをつつきにかかったが、簡単に薙ぎ払われてしまう。
 「皆、一斉攻撃だ!」
 追い詰められたチェレンはすべての手持ちに突撃の指示を出した。チャオブー、ガントル、ヤナッキー、ケンホロウの四匹はズルズキンを囲んで一斉にかかってきた。しかしズルズキンはこれを振り払い、きあいだまで四体を蹴散らした。チャオブー達はのたうちまわって苦しんだ。
 「どうしてだ、何故勝てない・・・!」
 「ふん、お前は強さという甘さでポケモンを苦しめているのだ。その結果がこれというわけだ。いい加減自分の愚かさに気付いたらどうだ?」
 「そのポケモン達を我々に渡せ。そうすれば、お前も苦しまずに済むぞ」
 プラズマ団はチェレンに心の動揺をかけてきた。チェレンは思った。自分は強くなれないのだ。ポケモンが強くなっただけで自分はチャンピオンに値しない弱者なのだ・・なら・・。チェレンが口を開こうとしたその時だった。
 「チェレン、諦めちゃだめ!」
 ムツミがようやく駆けつけて、諦めるな、とチェレンに言った。
 「こんな所でくじけちゃだめ、チャンピオンになるんでしょ!」
 「だけど、僕は強くなんか・・・!」
 「チェレン、あなたがここまで来れたのは、チャオブー達のお陰なんだよ、チェレンの夢に応えるために、ここまで強くなったんだよ。チェレンの夢のために!」
 「・・・・!」
 この時、チェレンは、あることを思い出した。それは、ムツミとネジ山で戦ったとき、敗北した悔しさを滲ませた所へ、アデクがやってきたのだ。この時アデクが言った言葉をチェレンは思い出した。
 「ポケモンが何を望んでいるのか、それを忘れないでくれ」
 (・・・。僕は、ただ強くなることだけを考えていた。それが自分の正しいことだと信じて、そんな僕のために、チャオブー達は懸命に戦ってくれた。僕をチャンピオンにするのが彼らの想いなら・・・僕はその期待を裏切る訳にはいかない!)
 チェレンは、アデクが行ってきた言葉を理解できたような気がしてきた。チェレンは立ち上がる。
 「ムツミ、君のお陰で目が覚めたよ。君の言うとおりだ。ここは僕とハチクさんに任せて先に行ってくれ」
 「解った。チェレン、頑張ってね!」
 ムツミは手持ちのポケモン達を出してプラズマ団を蹴散らして先へと進んだ。それを見届けたチェレンは敢然とズルズキンに戦いを挑んだ。
 「チャオブー、ガントル、ヤナッキー、ケンホロウ!僕に、今一度力を貸してくれ!」
 チェレンの呼びかけに四匹は立ち上がった。
 「何?!貴様、まだポケモンを苦しめる気か、容赦は無用だ!ズルズキン、天に代わってこいつを断罪しろ!」
 ズルズキンはチャオブー達に襲いかかってきた。するとガントルはずつきで先制攻撃をかける。怯んだ所でケンホロウがエアスラッシュで切りつけた。
 「チャオブー、ニトロチャージ!」
 チェレンの指示でチャオブーはニトロチャージで攻撃し、同時に素早さを上げた。
 「ぐぐ、ズルズキン、アイアンヘッドだ!」
 ズルズキンはアイアンヘッドに出たが、チャオブーはすらりとかわしてしっぽを掴みジャイアントスイングに出て、ズルズキンを投げ飛ばした。そしてヤナッキーがたたきつけるで攻撃して大ダメージを浴びせた。頃合いと見たチャオブーは大ジャンプして体中を炎でまとった。
 「ヒートスタンプだーっ!」
 チャオブーは急降下して、炎のヒートスタンプをズルズキンに叩き込んだ。その威力の前に、ズルズキンは力なく倒れ込んだ。
 「ば、馬鹿な・・・」
 「皆、よくやった!」
 勝利に湧き立つチャオブー達を見てチェレンは思った。
 (もう迷ったりはしない、僕が強くなることが彼らの望みなら、僕は大きな高みを目指す)
 この瞬間から、チェレンに折れることのない強い心が宿った。
 一方ムツミはチェレンに言われ、塔の頂上を目指して走っていた。道中、七賢人の妨害を受けたがこれを返り討ちにし、さらに上を目指した。近づくに連れて大きくなる伝説のポケモンの声、何よりもNの恐るべき野望に不安を抱きつつムツミは走った。そして、ムツミはついにてっぺんに到着した。そこで目にした光景に彼女は息を呑んだ。ムツミの目に映ったもの、それは、こくいんポケモンゼクロムを従えたNの姿だった。ゼクロムはNの強さを認めたようだ。
 「どうだい、ゼクロムの素晴らしさ、言葉にも表せないだろう?」
 Nの理想を認めたゼクロムはNを乗せた。
 「これでポケモン同士の傷付き合いは終わる。ムツミ、君も従えてごらん、もう一体のポケモンレシラムをそして僕を止めるんだ。本当にポケモンを愛しているのなら・・・」
 Nはそう言い残してゼクロムと共にチャンピオンロードへと飛び立っていった。
 「ムツミ!」
 ようやくチェレンとハチクが駆けつけてきた。
 「チェレン、ハチクさん!」
 「今の、Nだったよな・・。まさか彼が・・!」
 「落ち着け、今はこれからのことを考えるのだ」
 Nが世界を変えるべく動いた。彼を止めるにはどうするのか。ムツミ達は一旦塔を後にした・・・。

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