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ポケモンストーリー ブラック編
作者: たくと七星  (総ページ数: 30ページ)
関連タグ: ゲーム 
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10~ 20~

*25*

「第25話レシラム降臨」
 ムツミは駆けていた。Nを止めるべく、彼に人とポケモンの絆の美しさを伝えるべく、駆けた。そして、中段あたりに差し掛かったとき、あのダークトリニティが現れた。しかし顔はどこか神妙である。
 「ダークトリニティね・・」
 「お前に伝えておく・・・。ここでポケモンを回復することも出来ればパソコンを使うことも出来る。自由に使え。それと・・・」
 ダークトリニティは、ある部屋に顔を向けて言った。
 「この先にある部屋、私は何も感じぬがお前なら何かを見つけられるやもな」
 そう言って彼は雲のように消えていった。言われたことが気になり、ムツミはその部屋へと入っていった。
 「これは・・・」
 そこで目にしたものは・・・、ごく普通の保育園にあってもおかしくないような子供たちの遊び場のNの部屋だった。作られたレールにプラレールの電車が走っていて、彼が書いたと思われる絵が部屋に飾られていた。バスケットボールには何度も使った擦り切れた跡が残っていてハルモニア、と言う名前が書かれていた。ムツミはそのボールを手にして思った。
 「Nくん、ここで、一人寂しく遊んでいたんだ・・・」
 彼の暗かった境遇を思うと、何故か涙が溢れてくる。ムツミの瞳にはいくつもの涙が伝っていた。
 「広い、広い外の世界を駆け回っていたら、ポケモンだけじゃなくて、たくさんの人達と・・・」
 涙に溢れる彼女を、ジャローダ達が気遣った。
 「そうだよね・・。泣いてばかりもいられないよね。教えてあげないと、Nくんに人とポケモンは必ず助け合えるって」
 ムツミは涙を拭き取ってボールを置いた。そして部屋を後にし、Nのいる王の間に入ろうとした。その時、
 「遂に来ましたか」
 ゲーチスが現れた。
 「どいて、あなたなんかに用はないの」
 「まあ、ワタクシの話を聞いていきなさい。どうです。我々プラズマ団の城は。捕らえたポケモン達を使って誰にも悟られぬよう、こうして地下に築いていたのです。そして遂に我々の時代がやってくるのです。長かったぞ・・!この時をどんなに待っていたか・・・!さあ、行くがいい、どちらが英雄にふさわしいのか!」
 Nと戦え、そう促すゲーチスに、ムツミは聞こえないフリをしてさっさと王の間へと入っていった。
 Nと戦う、それはポケモンと人間の未来を守るために自分が選んだことなのだ。誰かに、ましてやポケモンと人の絆を踏みにじるような輩に言われてやるのではない!
 そして遂にムツミは王の間に着いた。奥にはNが待っていたかのように控えていた。
 「来たね、君は必ず来る、そう思っていたよ。さあ、今ここに・・・」
 Nは玉座を降りてムツミに駆け寄った。しかし、Nは暗い目つきをした。
 「どうしてだ、レシラムは一向に目覚めないじゃないか。君を認めていないのか・・」
 「それは・・・」
 「ガッカリだね。君となら信じ合える、そう思っていたけどそれは僕のまやかしでしかなかった!」
 「違う、違うよ!」
 「何が違うんだ!やはり人とポケモンが解り合えることはない!」
 「Nくん、気付いて・・、この中にもポケモンを信じる優しい人達がいることを・・・」
 伝説のポケモンを呼び出せない悔しさ、そしてすべてを否定してしまったNに、涙を流してムツミは心を取り戻すよう願った。しかしNは何の表情も見せずムツミに迫った。
 「選ぶんだ、ここですべてを投げ打って玉砕するか。それとも、ここで僕の運命を受け入れるか・・」
 Nはそう言って高らかにあのポケモンを呼んだ。
 「おいで、ゼクロム!」
 その声に呼ばれるかのように、王の間を突き破って、こくいんポケモン、ゼクロムが姿を現した。着地するやゼクロムはクロスサンダーを放って水を蒸発させると、破壊神のような雄叫びを上げた。そして威圧するかのようにムツミを睨みつけた。
 もはや、自分ではどうすることも出来ないのか、しかしここで退くわけにはいかない。その真意を汲み取ってかジャローダ達も身を構える。と、その時、ムツミのバッグから何かが動き出した。ライトストーンが反応したのだ。
 「来る、レシラムが!」
 周囲のエネルギーを吸い取り、ライトストーンは形を変えて生き物の姿となった。目を開くと、それは地に降り立ち、尻尾のエネルギーが燃え出した。ここに、はくようポケモンのレシラムが誕生したのである。その猛々しさと威圧感にムツミは感嘆を覚えた。Nが言う。
 「ムツミ、レシラムは言っている。戦いたい、仲間にしてみろ。君のすべてをレシラムにぶつけるんだ」
 言われなくても、ムツミの心は決まっていた。ポケモンの未来を救う、そのためにもレシラムに力を貸して欲しい世界を救うために・・。
 「皆、私に力を貸して!」
 ムツミの思いに応えるべく、ジャローダ、ギギアル、ダゲキ、レパルダス、ミルホッグは立ち向かった。
 「行くよ!」
 レシラムを捕まえるべく、ダゲキとミルホッグが攻撃に出た。しかしレシラムのじんつうりきで吹っ飛ばされてしまう。
 「すごい、これがレシラム・・・」
 レシラムの強さに、改めて感嘆するムツミ。しかし彼は諦めない。
 「ギギアル、レパルダス!」
 次にギギアルとレパルダスが突撃した。次の攻撃に出るレシラムを、レパルダスがねこだましで怯ませて、ギギアルがラスターカノンでダメージを与えた。そこへミルホッグが前へ出て、いかりのまえばで体力を半分にした。続いてダゲキがローキックに出てレシラムを攻撃、素早さを下げる。徐々にレシラムにダメージを与えていくダゲキ達、だがレシラムは反撃とばかりにロックフレイムを放とうとした。するとジャローダがジャンプして現れ、レシラムにいえきを浴びせた。怯ませたところでレシラムに巻きついて動きを止める。
 「よし、行くよ!」
 ムツミは意を決してハイパーボールをレシラムに投げた。ボールはレシラムに当たり、その中へ収納される。しばし動いた後、パチっと音が鳴った。
 「やった、やったんだね!」
 ムツミは急ぎ走りハイパーボールを手に取った。レシラムを捕まえたのである。だが、それはNと戦うことを意味するのだったレシラムを手にし、Nと対するムツミ。二人の決戦が始まろうとしていた・・・。

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