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ポケモンストーリー ブラック編
作者: たくと七星  (総ページ数: 30ページ)
関連タグ: ゲーム 
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10~ 20~

*26*

「第26話N、ラストバトル」
 遂にレシラムを仲間に加え、ムツミはNと相対した。Nはすべての手持ちのポケモンを控えさせている。
 「・・・・・・」
 ムツミは迷っていた。本当にNと戦わなくてはならないのか。戦う覚悟は出来ていた。けれど、未来を、世界の運命を変えてしまうような戦いは好きではない。戦うなら、信じ合える友達として戦いたい・・・。それすらも許されない戦いが始まる中、ムツミにはある思いが芽生えていた。それは、友達を越えたほのかな思いが・・・。話せばきっと解ってくれる。ムツミはNに話しかけた。
 「Nくん、自分の気持ちに、目的に変わりはないの?」
 Nは即答した。
 「僕の夢に変わりはない。この戦いに勝利して、ポケモンと人を引き離す。そうすれば、ポケモンが苦しむことがなくなる」
 「どうしてもなの?」
 「そうさ。僕は見てきた。人間達に傷つけられ、虐げられたポケモン達を。皆、泣いていた。何度も助けてくれと言っていた。僕は誓った。この世界を変えて、ポケモンを完全な存在にする。人と一緒では涙が増えていくだけだ!」
 「違うよ!」
 ムツミは首を振って涙を流してNに人とポケモンのかすかな希望を語った。
 「Nくん、君の言うとおり中にはひどい人もいる。でも、皆は優しい人だよ。ポケモンを思いやれる心を持った人が、イッシュ地方にはたくさんいる。ポケモンを傷つける醜い心も、優しい人達を引き立たせるためにある。怒りがあるから優しさが生まれて、悲しみがあるから喜びが生まれる。Nくんは、そんな人達の幸せを奪うの!」
 ムツミの言葉をNは静かに聞いていた。Nも涙を流していたがそれでも自分の考えを変えようとしなかった。
 「君は優しいよ。けど、仕方がないんだ。そうでもしなければポケモンが傷つく。でも、別れる悲しみは、ほんの少しだ」
 「・・・・・・!」
 ムツミは息を呑んだ。戦いたくない。本当は・・・。ムツミはその思いをこらえてNに決意を告げた。
 「Nくん、君の答えは変わらないんだね。だったら・・・、私は負けない!人とポケモンの未来を守るために、君を倒す!」
 「全力で来なよ。悲しい勝負は、これで終わりにしたいからね・・」
 真実と理想、この二つが交差してぶつかり合う戦い、ポケモンの未来を左右する戦いが今、始まった。
 「行け、ギギギアル」
 Nの命を受けてギギギアルが、ラスターカノンを飛ばしながら前進した。
 「ダゲキ!」
 ムツミはダゲキを出して応戦。爆音が響く中、ダゲキは一直線に走り出した。ジャンプした時にムツミはダゲキにインファイトの指示を出した。ダゲキはインファイトで攻撃。ギギギアルは爆発を起こして力尽きた。
 「感じる。君の強い意志を、そこまでポケモンを思う気持ちが強いのか。でも勝負は始まった!」
 ムツミの心の中にある強烈な意志と決意を感じた。Nはブリザードポケモンのバイバニラを繰り出したムツミはミルホッグを前に出す。
 「バイバニラ、れいとうビーム!」
 「ミルホッグ、よけて!」
 バイバニラの攻撃をよけたミルホッグは、たたきつけるといわくだきをお見舞いした。次にバイバニラはゆきなだれに出たがミルホッグはこれを回避して、にらみつけるを連続的に放ってバイバニラの防御を下げる。
 「さいみんじゅつ!」
 ムツミの指示でさいみんじゅつを使い、バイバニラを眠らせると、再びいわくだきを使ってバイバニラを倒した。
 Nは次にゾロアークを繰り出した。ムツミはレパルダスを繰り出す。ゾロアークがつじぎりに出ようとすると、レパルダスはねこだましで怯ませて、つばめがえしで攻撃した。
 「ゾロアーク、かえんほうしゃだ!」
 ゾロアークは炎を吐いてレパルダスを焼き尽くしにかかった。レパルダスはジャンプして飛び越えると、でんじはをゾロアークに浴びせた。しびれて動けないところで、きりさく攻撃でゾロアークを倒した。
 Nは四匹目のポケモン、アバゴーラを出した。ムツミはジャローダを繰り出した。アバゴーラは咆哮を上げるとジャローダに目掛けて突進してきた。ぶつかり合い、激しく激突する二体。しかし、ジャローダはリーフブレードを使ってアバゴーラを見事に倒した。
 次にNはアーケオスを繰り出した。ムツミはギギアルを出して挑んだ。ギギアルはラスターカノンを使って、アーケオスを蹴散らした。
 「残るは、僕のゼクロムだけか・・・」
 Nは思った。ゼクロム以外のポケモンを倒したムツミ。ポケモンへの思いが彼女をここまで強くしているのか・・・。しかし、自分もポケモンを思う気持ちは強い。Nは最後の切り札のゼクロムを繰り出した。
 「レシラム、お願いね」
 ムツミの思いにレシラムは強く答えた。そして、かつての同体であったゼクロムと対峙する。
 「ゼクロム、行け!」
 「レシラム、かかれ!」
 二体はしっぽからエネルギーを溜めると、空高く飛び上がった。レシラムが先制攻撃にりゅうのいぶきを使ったがゼクロムは片手でガードした。そしてしねんのずつきで攻撃してレシラムを地面に落とした。ゼクロムがドラゴンクローに出るが、レシラムはすぐに飛び立ちこれをかわした。ゼクロムが追撃に出るとレシラムはじんつうりきで吹き飛ばした。
 「ゼクロム、クロスサンダー!」
 Nの指示を受けたゼクロムは、エネルギーを最大にしたクロスサンダーでレシラムに大ダメージを与えた。その時、レシラムのターボブレイズが輝き始めた。レシラムの本当の力が発揮される時が来たのだ。
 「レシラム、クロスフレイム!」
 レシラムはエネルギーを存分に集めると、最大級の炎のパワーがこもるエネルギー、クロスフレイムを作り出した。
 「いっけーっ!」
 ムツミの指示が響いた。レシラムは最大のクロスフレイムをゼクロムに向けて放った。凄まじい爆音がゼクロムを包んだ。
 「バリ、バリバリダー・・・」
 すべてが終わった後、ゼクロムはゆっくりと倒れて力尽きた。ズシンと音を立てて倒れしばらく痙攣を起こしてばたりと倒れた。レシラムはそれを見届けるとゆっくりと着地した。
 「やった・・・、やったんだね、やったよみんなーっ!」
 完全な勝利にムツミは大ジャンプして喜んだ。ポケモンの未来を守ることが出来た。ポケモンと人の絆をNに示すことが出来たのである。ムツミは喜びを抑えきれなかった。だが、戦いは、まだ終わりではなかった・・・・・。

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