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ポケモンストーリー ブラック編
作者: たくと七星  (総ページ数: 30ページ)
関連タグ: ゲーム 
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10~ 20~

*3*

「チョロネコを仲間に」
 カラクサタウンを後にしたムツミは、2番道路をツタージャ達と共に元気よく歩いていた。たんパンこぞうやミニスカートといったトレーナーの卵達が競い合う場である2番道路をムツミはバトルしながら進んでいった。そして中間に差し掛かった時、
 「?」
 ある騒動が目に入った。ミニスカート達が心配そうに見ていて、たんパンこぞうが大変だと騒いでいる。ムツミが駆けつけ何があったのかと話すと、向こうの先であるポケモンが暴れているというのだ。ムツミはその先へと進んだ。
 「君は?」
 ムツミが目にしたのは、目に入るポケモンたちを攻撃する一匹のチョロネコだった。
 「君は、あの時の・・・!」
 ムツミはすぐにNのチョロネコだと気づいた。捨てられたがために心が荒んでしまったようだ。目が合うとチョロネコは、爪とぎをして今にもひっかこうとしていた。これにツタージャとヨーテリー、ミネズミが前に出て身構えたがムツミはこれを制した。
 「大丈夫だよ。私に任せて」
 ムツミはツタージャ達を抑えて単身、チョロネコの元へ歩いて行った。彼女を威嚇するチョロネコ。ムツミは恐ることなく歩き手を差し出してギュッと抱きしめた。
 チョロネコは爪を立てて暴れる。ムツミは優しく撫でて落ち着かせた。そしてようやくこのポケモンは落ち着きだした。
 「大丈夫、大丈夫だよ。君の悲しみ、私が全部受け止めてあげる・・・」
 ムツミはそう言ってチョロネコを抱きしめて、ポロリと涙を流した。心からの同情であることにチョロネコは気づいた。このポケモンのために涙を流したムツミは顔を合わせて言った。
 「私が、君のパートナーになるよ。一緒に色んな所に行って、人間の優しさに気付けたらいいね・・・」
 一緒に行こうと優しく語りかけるムツミの言葉にチョロネコはボロボロと涙を流した。涙で濡れながらもチョロネコは笑顔を見せた。新たな仲間を連れてムツミは歩を進めた。その途中、森の外れで休憩を取った。切り株の上に乗ってムツミは休んでいた。ツタージャ達は、不安そうになるチョロネコに、ムツミは優しい子だからきっと大事にしてくれると、手振りで励ました。これにチョロネコは心が少し晴れて元気になった。
 休憩が終わりムツミたちは2番道路を歩き始めた。そして次の街であるサンヨウシティに差し掛かった時、
 「ムツミーっ!」
 後ろからベルが声をかけてきた。
 「あ、ベル。なあに?」
 「新しいポケモンを捕まえてみたから勝負しない?」
 ベルの申し出に、ムツミは元気よく受けて立つことにした。早速バトルが始まった。
 「行くよーっ、モンメン!」
 ベルはモンメンを繰り出してきた。これにムツミはチョロネコを向かわせる。
 「負けないよベル、チョロネコ、ねこだまし!」
 ムツミの指示を受け、ねこだましで先制攻撃をかけた。しかしモンメンはそれをすり抜けしびれごなをしかけてきた。
 「チョロ!」
 しびれごなを食らったチョロネコはしびれるように体を震わせた。
 「え、どうして?」
 戸惑うムツミにベルが言った。
 「モンメンのとくせい、いたずらごころだよ」
 「とくせい?」
 ムツミが首をかしげると、ベルはモンメンのとくせいを話した。いたずらごころとは、素早さを問わず、相手よりも先にへんか技を出せるとくせいである。
 とくせいとは、ポケモンがそれぞれ持っている固有の能力である。使い方次第によってはバトルを有利に進めることができる能力である。さて、本題に戻り、
 「諦めちゃダメ、チョロネコ!」
 ムツミの声にチョロネコは何とか立ち上がろうとしたが、まひのせいで中々動くことができないでいた。
 「悪いけど、もらっちゃうよ。モンメン、はっぱカッターっ!」
 モンメンは、はっぱカッターで攻撃した。チョロネコはダメージを受けるも何とか持ちこたえた。最後の一太刀と、みだれひっかきを浴びせたが、これが最後のふんばりだった。モンメンは再びはっぱカッターを飛ばしてとどめを刺した。
 「チョ、チョロ・・!」
 力なく倒れるチョロネコ。ムツミはヨーテリーで戦わせた。
 「ヨーテリー、頑張って!かみつく!」
 ヨーテリーは走るとモンメンに噛み付いた。これにモンメンは、しびれごなを出そうとしたが、ムツミの指示でヨーテリーがにらみつけるに出て、怯んでしまった。ムツミはここで追撃に出た。
 「ヨーテリー、とっしん!」
 ヨーテリーは勢いよく突進しモンメンに大ダメージを与えた。モンメンは力尽きた。
 「よくやったよ。戻って」
 ベルはモンメンを戻してミジュマルを繰り出した。これにムツミはツタージャを出した。途端にミジュマルは震えだす。
 「大丈夫だよミジュマル、シェルブレード!」
 ミジュマルは腹についてるホタチを取ってツタージャに向かった。
 「ツタージャ、グラスミキサー!」
 これにツタージャはグラスミキサーという技で攻撃した。草の混じる竜巻を食らったミジュマルは力尽きて地に倒れた。
 「ふわあ〜っ、勝てなかったよ〜」
 負けたベルはミジュマルを戻した。そしてムツミの強さに感心して、もっと強くならないと、と自分を奮い立たせ2番道路でポケモンを鍛えることにした。
 ベルとの勝利にツタージャとヨーテリー、ミネズミは喜んでいた。一方、チョロネコは落ち込んでいた。今度こそ新しいパートナーの元で頑張れると思っていたが、負けてしまったことにショックを隠せなかった。それを見て、ムツミはチョロネコを優しく抱きしめた。
 「よしよし、君は頑張ったよ」
 ムツミはチョロネコを咎めることなく赤ちゃんをあやすようにチョロネコを優しく撫でた。
 「チョロ、チョローっ!」
 ムツミの優しさに触れたチョロネコは感極まって涙を流してムツミの胸に顔をうずめた。ツタージャ達は優しく見守っている。
 「さあ皆、行こう。楽しく歌いながらね」
 ムツミはスキップを踏んで、元気よく歩き出した。サンヨウシティまでの短い道のりを楽しく前向きに進む・・・。   

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