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ポケモンストーリー ブラック編
作者: たくと七星  (総ページ数: 30ページ)
関連タグ: ゲーム 
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10~ 20~

*8*

「第8話ダゲキの心を開け!」
 ヤグルマの森、森といっても二つあり、南のオタマロとドッコラーが出てくる方と、西のクルミルやフシデといった、むしタイプのポケモンが出る二つの道がある。ダゲキは南の方にいる。ムツミはそこに向かっていた。
 そして、ここヤグルマの森の中・・。ドスンドスンと何かを強く叩く音が森中に響いた。そう、今、ダゲキが自らを鍛えるために大木を叩いているのだ。ダゲキは思っていた。自分は何のための存在なのか。何のために生きているのか。自分は単なる、勝つための道具に過ぎなかったのか・・。様々な思いが膨らみ、木を叩く音が強くなる。
 「先ほどのこと、見せてもらったぞ」
 そこへ、二人の影が近づいてきた。あのプラズマ団だ。ダゲキを利用しようと考え、同情的に話しかける。
 「愚かなトレーナーに虐げられた、お前の気持ち痛いほど解るぞ」
 「我々の同士とならないか?お前のみならず、苦しんでいるポケモンは数知れない。お前の力をもってすれば、愚かな人間に苦しめられている仲間を救うことができるぞ」
 プラズマ団は、甘い言葉を使ってダゲキを勧誘しようとした。ダゲキは考える、この男たちの言葉は正しいのか、どうも真実を言っているようには思えない。だが、もし正しいなら・・。ダゲキは迷う。
 「待って!」
 その時、ようやくムツミが駆けつけた。しかし、分が悪かった。プラズマ団と顔があってしまったのだ。
 「くく、こいつは丁度いい」
 飛んで火にいる夏の虫だと、プラズマ団がダゲキに言った。
 「ダゲキ、あのトレーナーをやっつけろ!この小娘は、ポケモンを苦しめている愚かなトレーナーだ!」
 「ひねり潰して、仲間を救うのだ!」
 ダゲキはムツミの前に出た。ツタージャ達がムツミを守ろうと立ち向かう。
 「大丈夫、あの子を助けたいから。真摯に話せば、きっと心を開いてくれる」
 ツタージャ達を制すと、ムツミは一歩一歩、前に出て、ダゲキの前に立った。自分を恐れないひたむきな心にダゲキは何かを感じた。
 「何をしている!早くそいつを蹴飛ばしてしまえーっ!」
 プラズマ団は、早く倒せと喚いた。ムツミは混じりけのない瞳でダゲキに話しかけた。
 「君のこと、アロエさんから聞いたよ。苦しい思いをしたんだね。でも、私が君にどう思われてもこれだけは解ってほしいの。このイッシュ地方にいる人間は皆優しくていい人たちがたくさんいるってことには気づいて欲しいって」
 自分を恐れず真剣に説得するムツミに、ダゲキの心が揺れ動いた。
 「騙されるな!」
 「そいつはお前を利用しようとしている、惑わされるな!」
 プラズマ団が横槍を入れてくる。ダゲキは迷った。ムツミの言葉を信じようとする気持ちが湧いてくれば、辛く苦しい過去が浮かぶ。
 「ええい、こうなったら我々が!」
 しびれを切らしたプラズマ団がムツミにポケモンで襲いかかってきた。その時、
 「!」
 ダゲキがムツミを守るようににどげりを使って、プラズマ団のポケモンたちを蹴散らした。ダゲキは吹っ切れた。誰が正しいのかは、ムツミについて言って自分で決めることを決めたのだ。そして、彼女に着いていくことを選んだ。
 「おのれ、我々の・・!」
 「仕方ない、ここは退くぞ!」
 手持ちを倒されたプラズマ団は早々に逃げていった。ムツミを守ったダゲキは、信じてもいいんだな、という目でムツミを見た。
 「大丈夫だよ。君の心に、光を灯してみせるから」
 ムツミは微笑んでダゲキに手を差し出した。ダゲキはゆっくりと頷いて彼女のパートナーとなることを決めるのだった・・。

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