完結小説図書館
作者: aya ◆jn0pAfc8mM (総ページ数: 23ページ)
関連タグ:
*10*
6話 凛とかと服を買いに行ったらちょっとしたアクシデントがあった
「亮二、夏休み、海に行かないか?
委員長と、それから転入生と!」
終業式が終わり、帰りに信が誘って来た。
信は結局、転入生以外のあだ名を思いつかないらしい。
「凛に聞いてみるよ。で、いつ行くの?」
「あー、委員長は塾とか習い事で、8月の30日がいいって言うんだが」
まだ転入生とは話し辛いんだよなあ、と信は笑って頭を掻く。
信はいつも笑顔なのだが、別に本人が思ってるほどブサイクじゃないんだよなあ。
そんな風に思いながら、僕は携帯を手に取った記憶がある。
駅から出ると、すぐに店の陰に避難した。
時計を見る。
今から海に行く訳ではなく、海の為に水着を買いに行こうとなったのだ。
しかし、ちょっと遠出してみようと言う事で、
電車で何駅かの場所の店に行く予定になったのだが。
……時間を間違えて、ちょっと早く来すぎた。
現地集合にしていたのは、信と森さんの家と、僕らの最寄り駅が違うから、なのだが。
そのせいと言う事にしておく。
凛がこれを見たら、どう思うだろうか?
「馬鹿だな」
「うるさいよ……ってうわ?」
凛だった。噂をすれば影ありって、本当だったのか。
日焼け止めでも塗っているのか、夏でも凛の肌の色は変わらなかった。
落ち着きをすぐ取り戻し、僕は、
「おはよう」
と挨拶する。
「おはよう亮二。早すぎはしないか?」
僕はもう一度時計を見る。
待ち合わせ時刻、30分前。
「凛こそ早いと思うけど」
「まあな。しかし遅れるよりは、早い方がいいと言うものだろう」
「ん、それもそうだね」
同意をすると、話が続かなくなった。
助けを求めて空を仰ぐ。
「そう言えば、服を買いに行くんだよな。 どんな店だ?」
凛がしっかり話してくれた。よかったよかった。
「僕もよく知らないけど。結構人気らしいって、森さ……委員長が言ってた」
森さんはこの市の情報に詳しい。
僕たちの暮らす場所は閑静で店も少ないけれど、
なぜかここら辺の情報も熟知していた。
例えばここを通るとここに繋がってるとか。
例えばここにいる◯◯さんは、人気の歌手××さんの遠い親戚だとか。
この場所について気になった事を質問すれば、出るわ出るわ。
森さんの事だし、人気の店くらい、ここら辺ならいくらでも知っているだろう。
ちなみに委員長と呼んだのは、凛に分かりやすいようにと言う配慮である。
「へえ。いいのがあるといいが」
「凛も何か買うの?」
「もちろんだ。この美しいスタイルを惜しげもなく披露してやる」
「その言葉、物凄く違和感があるのだけれど」
「冗談だ。私がこんな事言う訳がないだろう」
よかった。
確かに凛は顔だけでなく、スタイルもいい。
が、まあそんな事を思っている風には見えないのだ。
目つきは大体の場合真剣だし。
やっぱりまともで安心した。
「亮二は買わないのか?」
「家にあるし。あれで十分だよ」
「そう言うものなのか。それにしても、2人は遅いな」
「凛が早すぎるんだよ?あと20分はあるんじゃないかな」
「一番は亮二だろうが」
「まあそうなんだけど……」
と言っていると、
「おう、久しぶりだな!」
「お久しぶりです、皆さん。早いですねー」
亮二と森さんが来た。
揃ったところで、その店に向かう事にする。