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作者: aya ◆jn0pAfc8mM (総ページ数: 23ページ)
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*3*
2話 美人転入生(澄野凛)は実は結構優等生だったみたい
退屈な始業式が終わり、退屈な授業が始まる。
小学校で色々決めている事があろうと、最初は学活になるらしい。
授業らしくない授業を聞いていると、肩を叩かれる。
澄野さんだった。
背筋をピンと伸ばしている。
「このクラス……いつも、こんなにうるさいのか?」
「うん、そうだけど……」
確かにいつも、ここのクラスは騒がしい。
平気で喋ってる人、寝てる人、立ち歩く人。
でもそんなの、ここに限った話ではない。
他のクラスでも学年でも、いつもこんな感じだ。
「……澄野さんの学校は、こんなんじゃなかったの?」
「授業なんて静聴が普通だ。これじゃあ鼓膜が破れてしまう」
「冗談だよね?」
「最後のは嘘だ。でも授業が静かなのは本当だぞ」
ん、そう言えば。
「澄野さんって、僕の兄ちゃん、知ってたりしないよね?
須田、正治の事とか」
「ああ、知ってるぞ」
そんな簡単に言うなよ。世界は広いんだから、多分。
「じゃあ、アメリカの小学校から?」
「そうだが……どうした?」
僕は絶句した。
アメリカに小学校は1つしかない。
それも超難関で、試験の難易度はダントツで世界No.1だったはず。
この日本に集まるのは、試験が出来ないお馬鹿さんか引っ越し出来ない貧乏か、
そんな人しかいない。
それも日本のお人好しが原因なのかもしれない。
日本の小学校は、試験をなくして誰でも受け入れた。
僕の親戚はアメリカと日本にしかいなかったので、試験に落ちた僕は
ここに来た訳だが。
つまり落ちた僕と、受かったこの澄野さんとは、雲泥の差があるようだ。
「弟の話もよく聞いたぞ。あっちでは一番の親友だった」
「そうなの? 1回名前を聞いたような気がしたような気がしないでもなくて」
自分で何を言おうとしていたのかよく分からなくなっていたが、気にしない。
「正治は私の事、何か言っていたか?」
えーっと、……あ、そうだ。
「多分、聞かない方がいいと思う」
「何それ……教えて」
「……確か、すごく賢くて、すごく凶暴だと」
「帰ったら1発殴っておくか」
「冗談だよね?」
「いや、本気だ」
うん、確かに目が本気だ。
「じゃあ僕の事とか、何て聞いてる?」
「手が離れてラクチンで、弟だけど気持ちがよく分かんない。
まあでも、困ったら頼るといいよ、回復だけは日本一だから、とは」
「その『だけ』が一番ネックなんだけどね」
僕は攻撃魔法が苦手なのだ。
ただ、回復ならかなり高度なものも出来る自信がある。
「大丈夫だ、戦いでも起きなきゃ攻撃を使う事なんてない」
「まあ、それはそうだね」
しばらく静かになる(僕達だけ)。
「りょ……あ、亮二と呼ぶぞ。私の事も凛でいい」
「あ、分かった」
改めて。
「亮二、魔術ランクはどれくらいだ?」
魔術ランクは、難易度・周囲への被害などを考え、法律で決められた魔術の
ランクだ。
ただ、この場合は、年1回の試験で決まる、魔術ランクが高いものを
どれだけ使えるかで決まる魔術師ランクの事である。
Eが最低、1番上はS級で、それぞれよく分からない名前がついている。
「えーっと、Bじゃなかったっけな? 凛は?」
凛は周りを見て、声を落としてから言う。
「…………S級だ」
「そりゃすごいや」
S級は確か、『神に魅入られた魔術師』と言われている。
「神様の力とか借りれる訳?」
「違う。神なら、わざわざこんなところに来る必要はない」
「アメリカがそんなに楽しければ、確かにここに来る必要はないね」
と、チャイムが鳴った。