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作者: aya ◆jn0pAfc8mM (総ページ数: 23ページ)
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*7*
4話 凛と買い物に行って来た
試験が近くなってきた。
日差しも強くなってきて、20分の道のりが辛くなってくる平日。
そんな訳で、僕の休日は、E級の魔術で冷やし続けている部屋で
勉強するに限る。
寒くしすぎた部屋でぶるりと震え、僕は宿題の最後の1文字を書き終わる。
と。
タイミングよく携帯が鳴った。
科学がかなり衰退した今でも、電気は使われる。
テレパシー的なものは能力でしか使えないので、電話は電話のままだった。
と言うのをどこかの教科書で見た事があるような気がして思い出そうとしながら、
僕は携帯を開く。
スマートフォンに買い替えた方がいいのだろうか。
そんな事を思っていたら、液晶画面に名前が表示される。
澄野凛、と映っていた。
基本的に、携帯を持っている人は、クラスの人の番号を全員分
電話帳に入れさせられる。
それが1番嫌で疲れて面倒な作業だが、怪しい人がかけてきても分かるのはありがたい。
もちろん、僕にかけてくるのは、
信か、森さんか、名前の順で僕の1つ前の人か、先生くらいだけれど。
だからほんの少しだけ驚いて、僕はその電話に出た。
「もしもし、亮二」
「どうしたの凛」
「今と言うか、今日暇か?」
暇かって……
悩む必要もない。暇だった。
「ちょうど宿題が終わって、暇つぶしでもしようかと思っていたところだよ。
僕は塾にも習い事にも行ってないから、いつでも暇だけどね」
「そうなのか。じゃあ今から、少し買い物に行かないか?」
「何を買いに?」
「試験前だから、媒体を買いに行こうかと」
媒体。
その辺に浮いてるナントカって言う力を集めて、魔術師の魔力を合わせ、
魔術を発動させる機械的なもの……だっただろうか。
色々な事が秘密なので、多分ほとんどの人が詳細を知らない。
アクセサリー型や眼鏡型など、バリエーションは豊富。
でも持ち歩くなら、僕はポケットに入れればいい。
超一般的な手のひらサイズの画面的なものを、もうずっと愛用していた。
最も、持ってなくても、近くにあれば魔術を発動出来ない事はない。
それが愛用と言えるかはよく分からない。
「別に構わないけど……僕、それ売ってるところ知らないよ?」
「いや、知り合いがやってる店があるから、そこに行こうと思う。
どうだ、行かないか」
「いいよ。どこで待ち合わせるの」
「じゃあ、亮二の家の前まで行く。そっち方向だからな」
断る理由はなかったが、休日に学校に行くなんて、始めてだった。
適当に着替えていると、インターホンが鳴る。
凛がいた。白いワンピースを着ている。
「よし、行くか」
「えっと、どっち?」
「商店街の横に入って……だからあっちだ」
僕は指差された方向に向かう。
凛はそれを先行した。