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*4*
Episode3 『悪夢 -NightmarE-』
9月12日(水)08:52/我妻 叶葉
此処について、話をしよう。
さっき、ここは≪夢の世界≫だと“ゲームマスター”は言っていた。現実じゃなく。
……私はちゃんと夢から醒めたというのに?
私は昨日の夜、確かにあの不気味な声を聞く夢をみた。教室が舞台で、スピーカーからではなく、直接頭に響いてくるようだった。
そのあと、私は意識を失い、夢から目を覚ました。――この世界で。
ここも、夢なのに。随分と手の込んでいる。……そうなると、本当の現実の私は未だ眠っているということだろうか。
私は手にした日本刀についた血をはらいながら、そう思った。
学校という空間が戦場になるのに、さほどの時間は必要じゃなかった。
一つの引き金。初めて誰かが誰かを殺したときから、“殺し合い”は始まった。
とはいえ、まだ全員が全員殺しあっているわけではない。今はごく限られた一部だけ、――叶えたいことがある者、それの犠牲になった者たちだけが、武器を手にしている。
私には叶えたい願いがあった。もしここで殺して殺して、その一人に選ばれれば、その願いは叶うっていうのなら、人殺しも辞さない。
そう決意を固めたとき、背後で何かが落ちる音が聞こえた。振り返ると、そこには弓形に反った日本古来の刀が落ちていた。
これを使って殺せと、神はいうのか。口元が思わず緩んでしまう。
これはなにかの悪い夢? いいえ――
とんだチャンスじゃないの。
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