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作者: 鳩麦白夜 (総ページ数: 101ページ)
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「氷栗無!急いで!クリスちゃんのことだからきっとまどかちゃんと鬼柳君を追ってるはずだよ!」
「だが、どこに行ったのかはわからないじゃないか」
タタタ…。と博と氷栗無は廊下を走り続ける。
曲がり角をまっすぐ行こうとすると、安蘭がいたため、2人は足の動きを止めた。
「あ、博先輩!氷栗無先輩!…クリスのとこに行くんですよね?私も行きます!」
「だが、君の安全は保障できない」
「大丈夫だって!安蘭ちゃん、これでも天文部の代表なんだし!それに、人手も増えて助かるしね!じゃあ、行こう!」
博が元気よく言うと、3人はまた走るのを再開した。
だが、その足はまたもや止められることになる。
なぜなら、ゾンビの様に3人の前に立ちはだかる生徒たちがいた。
「え!?この人たちって襲撃事件でけがを負った人達じゃあ…!」
「それに、まだ意識も回復していないはずだよ」
「とゆーか、情報で襲われた人数の倍になってない!?」
まどか、氷栗無、博は三つ巴になるように背中を合わせ、武器を構えた。
「ゲンジロウサマノ……ジャマハサセナイ……」
「……コウタイゴウフッカツノタメニモ……」
「………カミガソロウマデ……」
生徒たちは普段の声音からは出せそうにもない低く、不気味な声でぶつぶつとつぶやいていた。
「やーっぱり、理事長がらみなの?そして、クリスちゃんはまためんどうなことにまきこまれてるわけかッ!」
「……クリスだけじゃない。あの忌々しい男もだよ」
「だったら早くここを突破してクリスに会わなきゃ!!」
次の瞬間、3人の姿はそれぞれの正体に変化した。
+++
「ク……リス……」
「レリクッ!」
倒れこむレリクを支えるようにクリスはあわてて前に出た。
だが、予想以上に支えきれずにクリスはレリクを抱え込んだまましゃがみ込んでしまう。
「……無事…?ご、めんね…。こんなひどいことして…」
「なんで!?なんで謝るの!?レリクにはこうしなきゃいけない理由があるんでしょ!?」
クリスはレリクの手を握った。
そして、クリスの感情をかまわずに涙があふれ出す。
「僕…は……あの時君と……会ってからずっと君のこと…好きだった……。だから……君を利用して、君を消す源次郎が……許せなかった……。だから……」
「…あえて理事長先生の懐に潜り込んだの…?」
グズ、と鼻をすすりながらクリスは唇をかんだ。
小さくレリクはうなづくと、ポケットの中からパンにゃを差し出した。
「え…?パンにゃは鳥籠にいたんじゃ…?」
「あれは…フェイク…なんだ。速く…!僕が時間を稼ぐから逃げて…ッ!……うっ!」
「レリク!!」
ガハッとレリクは血を吐きだし、ゆっくり立ち上がった。
「やめてレリク!私だって戦える!!」
「この死にぞこないが。まだ生きてたか。今ここで殺してやる―――――ッ!!」
「―――――――ッ!」
クリスはレリクに手を伸ばす。
だが、届かない。
もうだめだ、そう思った時だった。
ドゴォオオオオオオオオオン!!
と、けたたましい音が理事長室を突き破る。
「……貴様。生徒を何人ももて遊び、わが生徒会役員をこんな目に合わせるとは……。万死に値する」
そこにいたのは海馬と修羅だった。
海馬は今まで見たことのない冷たい目つきで源次郎をにらんでいた。
「……役者はそろった…!!」