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*24*
「お前を裁くのは秘宝と七神官だ。……ホルス!」
「お任せを。我が王よ!」
ホルスは躍り出るように男の前に出た。そして、千年秘宝の1つである「千年眼」が埋まっている左目を髪の毛から出現される。
きいいいい…。と千年眼は光を放出させる。
「……フム。確かに誰かに操られていた記憶がある。だが、君は操られる以前にも盗賊行動を行っていたようだね!」
「そ、それは……!!」
真実を言い放つホルスに男は油汗を額に浮かべ焦るように顔をこわばらせる。
そんな彼にアイシスはいつものことながら感心していた。
「変人すげーーーーーーーーッ!」
「ほかは…ん!?」
「どうしたホルス!?」
まだ頭の中を探ろうとホルスは千年眼を行使していたが、何か異常があったように眉をしかめさせた。
そんな彼のアギトは呼び掛ける。
「中身が見えなくなっていくよ…!まるで暗闇だ…!」
「なんだと!?千年眼に見えないものがあるというのですか!?…ユール、貴方も秘宝を使って過去を見てください!」
「は、はい!…導け、千年時計!!」
カイザーに命令され、懐からユールは千年秘宝「千年時計」を取り出し、前にかざした。それもまた、光を放出した。
「…まずは操った人を見てみるね!……この人の過去からすると3日前…?」
「…すげ、オレ初めて見たわ。千年秘宝の使用」
過去を探るユールにギルバートはあくびをしながらもどこか感動したように見入っていた。
だが、ユールもヘタリ…。と座り込む。
「…ダメです…。私もホルスと同じように闇に覆われてしまいます…!」
「そんなことが…!陛下、どうするのです!?」
ユールにも男の過去が見えない。そんな絶望的な様子を悟ったカヤルはアギトに問いかける。
すると、豪快な足音が大広間から聞こえてきた。
「……よお…!来てやったぜぇ!窃盗した俺様がよお!!」
そこには赤いマントを羽織った顔に傷がある男。
その目はぎらぎらしていて、野心があると思わせないではいられない風貌だった。
「……!リュナ、あれ…!!」
「うん…。間違いないよ…。あれは…」
「先代国王の遺体…!?」
リュウはひどく驚いたように傷のある男の担いでいるものに指差した。
それを見たリュナもひどく頷く。
いつもはポーカーフェイスなイリアも大きく目を見開いて驚いているようだった。
「…気色わり―奴だな…!!」
ユウラはギリリ、と歯を食いしばりながら男を見る。
「あ、こいつだよ!俺を操った奴は…!ぎゃあああああ!!」
「宝石を盗んだのはお疲れだったなぁ。もう用済みだ」
「…なんてことを…!!」
男が傷のある男に指差した瞬間、傷のある男は冷酷な瞳で笑うと、小型ナイフで心臓を一突きした。刺された男は死んでしまっていた。
そんな様子にウェザードは唇をかむ。
「オマエ!何やってんだよ!?」
「俺様は窃盗王!!そう呼べ!!」
アイシスの怒りの声にかまわず窃盗王と名乗った男は高笑いをした。