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*23*
「お帰りなさいませ。我が王よ、そして御妃様」
「ああ。今帰った」
七神官一同が膝をつき、2人に頭を下げる。
ザッザッと凛々しくアギトとリリアが大広間の赤い布の上を歩き、2人は玉座に座った。その姿はどこか疲れているようにも見えた。
「以上はありませんでしたか?アイシス」
「おう!ないぜ!」
「少々財政が傾きましたが私めが調整しておきました故、しばらくしたら元通りになるかと」
「ご苦労だったなカイザー」
リリアの言葉に元気よく返事をしたアイシスだったが、カイザーのさえぎるような規律正しい返答にアイシスは頬を膨らませた。
そんな彼女を気にも留めずにアギトはカイザーにねぎらいの言葉をかける。
すると、静かにウェザーズとイリアは2人の前に出ると深く膝をつき再び頭を下げた。
「……王よ。こちらは先代国王様のピラミッドの見回りをしていましたが不祥事が起こりました」
「…不祥事?」
ウェザーズの言葉にアギトは眉をひそめる。
ほかの七神官も目線を彼に向けていた。
「はい。……私たちが最深部に入ったところ跡形もなく先代国王様の遺体と宝石がすべて失われていました」
「我々はそれから独自でピラミッド内を捜索しましたが宝石の欠片もありませんでした。そして、魔術でも禁断とされる死者兵が教習してきたため、われわれで玉砕いたしました。現在も捜索を進めております」
イリアとウェザーズは口々に申し出た。
その言葉に大広間はざわざわと騒がしくなる。
不意に、リリアとカヤルは口を開く。
「…リリア様。死者兵とはまさか先程の…!?」
「恐らくそうでしょう…。盗賊と私たちが遭遇した死者兵を仕向けた犯人は同一人物である恐れがありますね」
リリアは少し恐ろしげに唇をかむと、夫であるアギトを見上げた。
「ウェザーズ様。犯人と思わしき男をとらえてきました」
「お前たちは…!」
ギルバートは大広間に入って来る少女と少年を見て思わず立ち上がった。
2人は盗賊と思われしスキンヘッドの男を鎖でつないでいた。
「住民たちから見慣れないほど豪華な宝石をいくつも付けて痛そうなので連れてきました……」
白銀色のショートで緋色の瞳をしている少女はリュナ・アールハイト。王族直属裏部隊の殺し屋である。かつては人を殺すことしかできない人殺し専用の奴隷であった所を国の人間が自分を買った主を何らかの理由で捕らえられ居場所がなくなるが裏部隊の人間に保護され、その後、裏部隊に所属するが奴隷時代が原因であるが裏部隊の人間以外に心を開くことが出来ないが視力、聴覚といった五感と身体能力が優れていて花が大好きという少女であった。
「…けど、ピラミッドから出てきたっていう住民たちの目撃情報もあるし、ほぼ犯人で間違いないと思いますけどね」
軽く言い流すのは、黒髪の短髪で黄金色の瞳をしている、かなり美形の顔立ちをしている少年、リュウ・オレガノ。
彼もリュナと同じく暗殺部隊の人間であった。裏部隊の殺し屋で実力は高く、剣術の腕は超一流であった。かつて、幼い頃に両親に暴力を振られる日々である日に我慢の限界が来て、両親を刀で殺した過去を持っている。保護されたリュナを妹のように面倒を見ている仲がいい2人だった。
「ウェザーズ様これでいいんですね〜?」
「ああ。ご苦労だった」
「あとは犯人を当てるだけ…」
リュウとリュナは鎖でつないでいる男を見据えた。
だが、男は拒絶するように声を上げた。
「違う!!違うんだ!!俺は気が付いたら意識がなくなって…!で、やっと目を覚ましたらピラミッドの外にいて宝石がジャラジャラとあったんだよお!俺じゃないんだ!」