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*28*
「…まさか裏部隊の俺等が人助けだなんてな!びっくりだ!な、リュナ!」
「……うん、意外だったけど、花を守るためだもん…」
「俺はあくまで表舞台だ」
わーわーと地盤が揺れ、建物も崩壊状態になっているこのエジプトにて、民衆の非難警告を出し、案内しているリュウとリュナとギルバート。
彼らは非常事態のため、カイザーに命じられ、今に至っている。
「…これは今冬に人間業なのか?」
「それは…わからない。けど、きっと王族が何とかしてくれる」
「相変わらず王族に厳しいな―リュナは!」
「……うるさい」
「ほら、早く行くぞ」
ギルバートに促され、リュナとリュウは民衆を案内するために走り出した。
+++
「アギト!この馬もっと早く走らせろよ!」
「アイシス…馬にも限界というものがあります」
「これで全力だ!」
アイシスとアギトは2人で1つの馬に乗っていた。なぜならアイシスは乗馬ができないから。カイザーは呆れながら馬を乗りこなしていた。
一方、上空を飛びながら移動している魔導士師弟。
「…お師匠様。邪悪な魔力を感じます……」
「ああ。わかっている。きっとあの男はアイシスやカイザーと同じく種族使いだろう…」
「でもこんな大規模な種族使いだなんて…!」
「…それはまだ何とも言えないが」
不安そうに拳を握るイリアにウェザーズはぽんぽんと肩をたたく。
だが、アイシスは不安など感じさせずパン!と拳を打ち付けた。
「そんなこと思う必要ねえよ!窃盗王ぶっ飛ばして、リリア取り戻して普通の生活に戻ればいいだけの話だろ!」
「…まったくあなたって人は…」
カイザーは呆れながらもどこか彼女に頼もしさを感じているようだった。
そんな彼女にアギトも不敵に笑う。
「ああ!それだけの話だぜ!」
***
「さて…私たちは…」
「この炎の源を止めようか」
「本来なら私もリリア様救出に行きたかったが…!」
「まあ、細かいことは気にすんな。俺らはただその源を止めようや」
ユウラの言葉でユール、ホルス、カヤルは強いまなざしで歩き出した。
「…もしかしたら千年秘宝はなくなるかもしれないね…」
「?どういうことだい?ユール」
「つべこべ言ってる前に源を止めるんだ!!」
心配そうにユールは千年時計を握り、つぶやいた。
そんな彼女をふしぎな目でホルスは彼女を見た。
カヤルはよほど真剣なのか、2人を一喝する。
「……なーんか、めんどくさいことになりそうなんだよなあ…・・」
ユウラはそうつぶやくと、ため息をついた。