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*27*
「…リリア!リリア!」
「…行くぞ、イリア!」
「はい、お師匠様!」
窃盗王に駆けだそうとしたアギトの前にウェザーズとイリアは上空へジャンプする。そして、魔法剣と杖を重ねあわせ、闇を生み出す。
「ダークツインバースト!!」
ゴオッと地面をえぐりながら闇の砲撃が窃盗王に襲い掛かる。
そして、派手な爆発音を立てて窃盗王に直撃した。
「やりましたか!?」
「いや……」
「攻撃が当たった感触がありません…」
カイザーの問いにウェザーズとイリアは否定の答えを言う。
そしてまた武器を構えた。2人の額には冷や汗が浮かんでいた。
……何かが起こる。そんな予感を思い浮かべながら。
「ははははは!!さすが最強の魔法使い師弟だけのことはあるな!死ぬところだったぜ!…まあ、今の俺にはきかないけどなあ!」
「リリアを放せ!」
「止めろアギト!」
興奮して自我を押さえられないようなアギトが刀を抜き、窃盗王に切りかかろうとした。
だが、それを真剣なアイシスが胸倉をつかんでそれを止める。
「外を見ろよ!!お前の民が苦しんでんのにしっかりしろよ!お前が助けるべきは民だろが!」
「リリアを捨てろというのか!?」
「……それには及ばないよ。王よ」
バッと荒々しく怒りをにじませながらアギトはアイシスに掴まれていた胸倉を離す。
そんなアギトに冷静にホルスはつぶやいた。
「そうです。もともと私の使命はリリア様を守ること」
「そのために我ら七神官が存在します!」
「アンタは民を俺らは王族をってことだな」
カヤル、ユール、ユウラはアギトの前に立った。
「ま、俺等は裏方だけどそう言うことにしとくか!な、リュナ!」
「……うん。……それに窃盗王がこのまま生きてれば私の大事な花にも悪影響…」
「兵士だし、仕方ないな」
リュウとリュナ、そしてギルバートもまんざらでもなさそうに武器を構える。
「…お前ら……」
「はっはあ!泣かせる主従愛ってやつかよ!?けど、それももう無駄になる!」
「…ふざけんなよ人妻強盗犯!!」
豪快に笑い飛ばす窃盗王にリリアはびしっと指をさして否定した。
すると、町からは先程よりもっと大きな爆音が響いた。
ただの爆音ではない。
「……なんだ、あれは…!?」
「魔術…!?でも見たことがない…!!」
思わずウェザーズとイリアは目を見開く。
町には、道を作るように紫色の炎のものが渦を巻いていた。
「終焉のカウントダウンだ!お前らはこの国とともに散れ!!」
窃盗王はそういうと、リリアとともに消えて行った。
「リリア―ーーーーーーーーーッ!!」
「落ち着いてくださいませ王よ!…?」
窃盗王がいた場所を走るアギトを追うようにカイザーも後を追う。
その足にコツン、と何かがふれた。
「……これは…?」
思わずカイザーは懐から半分に割れた透き通った青い首飾りを取り出した。
足に触れたものはカイザーの首飾りの欠片と会うように半分に割れていた――――――………。