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東方刃暁録-sword morn record -
作者: 黄昏。 ◆nYYwYkb6HQ  (総ページ数: 38ページ)
関連タグ: 東方 
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10~ 20~ 30~

*1*

第一章−刀は迷い込む。−

森を歩いてる時だ。

4人の陰陽師に囲まれる


定型句をもって緊迫した会話を始める。

暁「陰陽師か?」

陰陽師1「そうだ。」

集団のリーダーと思わしき人物が答える。

背には弓と矢筒を装備している。

暁「何故…何故、私を襲う?」

陰陽師1「お前が妖怪だからさ。」

暁「妖怪は…生きてはいけないのか?」

陰陽師1「いけないだろうよ、お前みたいな人殺しはな。」

暁「お前は妖怪を殺すのか?」

陰陽師1「殺すさ。」

暁「それは宜しい事なのか?」

陰陽師1「当然だ、人じゃないだろ?」

暁「俺を…殺すのか?」

陰陽師1「殺すさ。」

―――酷く冷たい言葉。
  
   さらに零度のような言葉を投げかける。

暁「では…私も全力で抵抗させてもらおう。」

手から取り出した刃渡り90?程の刀。

多くの修羅場を潜り抜け、多くの血を啜り、深紅に染まった刀身。

自分の核にして、自分自身。

「鬼切丸」

一つ名を呼ぶ。

名とは、縛るものだ。

だがそれを解けばどうなる?

名が変わるたびに縛るものが増え力を失っていく。

だが戻せばどうなる?

当然、力は戻る。

膨れ上がる妖力。

陰陽師たちは今まで何人もの仲間たちが殺された理由を知った。

リーダーらしき人物が後ろの木に登り、残りの奴らが襲い掛かってくる。

遮蔽物の少ない場所では数の暴力がものを言う。

暁は森の中に飛び込んだ。

拙い、暁はそう思った。


想像以上に退魔士の能力がやっかいであった。

数人いるうちのどれかの能力なのか、これ以上の呪の解放も行えないのだ。

また見当違いの方向に幾つもの矢が放たれる。

逃れるように走るが突然矢は方向を変え、向かってくる。

直撃するものを避け、避けきれないものを叩き落す。

それでも残る矢が暁の体を擦り、さらに裂傷を増やした。

先程からこの繰り返しだ。

遠視か透視、どちらかを持っているのかどこにいても捕捉されてしまう。

さらに森からいつの間にか竹林に変わり視界が改善されてしまったことがさらに逃走を困難にしてしまっている。

その奪われた体力が暁をふらつかせた。

それを隙と見たリーダーらしき人物が切り札を打ち出す。

現れたのは空を埋め尽くす矢の雨。

その全てが先の矢と同様暁に向かい、回避を試みるが効果はない。

残る力はそう多くない。

脇構えと呼ばれる構えをとり、生き残るための技を使う。
そうして振り上げられた鬼切丸が地面を抉り、振り切ると矢を迎撃した。

今の刀は八十一センチより先の部分が延長され十メートルを超す超巨大な刀に変わっている。

後二度刀を振るい向かってくる矢の全てを迎撃しきった。

だが、十メートルを超す刀を振るったのだ。

その反動で隙ができてしまう。

残る三人の退魔士が三方から暁を囲み、己の武器を突き刺すと、声を合わせた。

 『滅妖結界』

その瞬間、暁の周りは光に包まれ身動きがとれなくなった。

陰陽師1「ふぅ。やっと捕まえたさ」

リーダーらしき人物が言う。

止めを刺すためなのか、ゆっくりと近づいてくる。

暁は抵抗するが、ミシミシと身体が音を立てる。

陰陽師1「やめておいたほうがいい。四肢が千切れる」

暁「殺すのだろう?」

陰陽師1「ああ、殺すさ。せめて痛みの無いように殺す」

暁「そうか。」

暁は無理やり身を動かし、拘束を逃れようと暴れる。

今敵がようやくまとめて攻撃圏内にいるのだ。

今なら殺れる。

―――バキャ、


滅妖結界は破られ、結界を張っていた三人は吹き飛ぶ。

しかし、暁の様子は見れたものではない。

全身から血を流し、両足はもう歩けるような状態ではないだろう。

比較的無事な右手も真っ赤に染まり、左手に至っては辛うじてつながっている程度だ。

それでも生きてる。

右手だけならまだ動く。

生きるためにこいつらを殺そう。

そう、いつも通りに暁は決意した。

世界は暗闇に包まれた。




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