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東方刃暁録-sword morn record -
作者: 黄昏。 ◆nYYwYkb6HQ  (総ページ数: 38ページ)
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第九章-勘違い。擦違い。-

咲夜「あ!」

それは、暁が来てから一週間経ったある日のこと。

何時も通りに家事をこなしていた時だ。

突然奇声を挙げた咲夜に、

暁「どうした!」

少し離れた場所にいた暁が駆け付けた。

咲夜 「妖夢と約束忘れてた……」

暁 「あ?」

盛大なため息を吐いて、

暁 「そんなことか。驚かせるな」

呆れたように言う。

咲夜 「そんなことじゃない! 約束はもう三日も過ぎてるし」

暁 「なら早く行ってこい」

咲夜「無理。お嬢様のお使いで今から人里に行かなきゃいけないの」

む、と短く唸り思い出したように言う。

暁 「そういえば、約束とは俺の鞘の話だったか?」

咲夜 「そうだけど、何で知ってるの?」

暁 「意識があったから聞こえてるに決まってる。まぁ俺のための鞘だ。俺が取りにいこう」

本来俺に鞘は必要ないのだが、好意は受け取っておくものだな、と付け加える。

咲夜 「鞘いらないの?」

暁 「ああ、人間体が鞘みたいなものだからな。通常はいらん」

それから気付いたように、

暁 「咲夜の部屋で寝るためには便利か」

未だに咲夜の部屋で寝ている暁は言うのだった。

咲夜 「いや、出ていきなさいよ」

暁 「良いではないか、何をするでもなし、寝ているだけなのだから。それとも疾しいことでもあるのか?」

咲夜 「ないけど――」

暁 「ならいいな」

十分に言葉を接がせず、被せるようにして発し、

暁 「居候の身では、部屋を用意してもらうのも恐縮してしまうのだ」

と、畳み掛けた。

そう言われてしまえば、咲夜には断れないのだ。

お人よしさを完全に利用されている咲夜だった。

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