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*28*
暁は歩きながら先ほどの引っ掛かるものについて考えていた。
引っ掛かったキーワードは『切られた右腕』
そういえば、会った初め嗅ぎ覚えのある匂いがする、と華扇は言っていた。
昔会ったことがあるのか?
場所は『博麗神社』
あそこには特に関係は……
と、考えたとき慧音のことを思い出した。一緒に酒を飲んだとき何か言っていた気がする。
――『因みにたまに博麗神社に出没するぞ』
……ああ、そういう事か。
つまり茨木童子=華扇ということだ。
気付かなかった。
暁 「分身との容姿違いすぎだろう」
思わず洩らした独り言。
元主と共に見た茨木童子の姿はいかつく、いかにも鬼ということを主張した姿だった。
あれがあんな女性だったとは。
すぐに繋がらなかったことも頷ける。
だが、華扇に対して個人的な恨みはない。
斬ったときも、それはそれで人間との力比べを楽しんでいたようにも思える。
向こうが恨んでいる可能性も無くはないが、その時はその時だ。
右手を斬ったことがあるわけで、全く勝ち目が無いという訳でもない。
それに、恨んでいる相手を忘れるほど馬鹿でもないはずだ。
とりあえずは、酒を飲み交わすまで。
その時までは黙っていることにした。
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