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奇想天外!プロレス物語【完結!】
作者: モンブラン博士  (総ページ数: 82ページ)
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*37*

目黒は不動さんの必殺技の前に敗れ去った。

これで俺たちの1勝目が決まった。

後2勝すれば、俺たちは決勝のリングに上がることができる。

俺は今、敵である藍川を鋭く睨みつけ、闘志をむき出しにする。

コイツに勝てば、俺たちが決勝へ行く道が開ける。

みんなもがんばっているんだ。

俺がコイツに負けて足を引っ張ってたまるか!

藍川はそんな俺の様子を見て微笑む。

「いい瞳をするようになったね。不動さんの勝利がキミの心の奥底に流れる闘いの魂に火を付けたんだね」

俺はニヒルに笑い、奴を見る。

「どう思うとお前の勝手だ。だが、俺はこの試合負けるわけにはいかねぇんだよ!さあ、どっからでもかかって来い!」

すると、藍川の目が真剣になり、冷たさを帯びる。

これは本気で勝負するときの目だ。

俺は大形と組み合ったときの経験で実感しているからよくわかる。

「じゃあ、お言葉に甘えてここからは僕も闘志をむきだしにさせてもらうよ!」

その刹那、奴の動きが変わった。素早く俺に急接近すると、肘うちを俺の胸に叩き込み、続けて延髄斬り、ジャンピングエルボーと連続攻撃を放つ。

俺の腕を掴み、ロープに放り投げると反動で戻ってきた俺に、ジャンピングネックブリーカーをかけ押し倒し、素早くマウントを奪い俺の顔面を掌低で張り続ける。

技自体にそれほどの威力はないが、この技の一番恐ろしいところは、技の威力につい余裕をかましているうちに、敵から何発も何発を受け、最終的に動けなくなるほど力を奪われてしまうところだ。

それを以前カイザーさんから聞いていた俺は、すぐさま行動に移した。

まず、両腕でしっかりとガードし掌低のダメージを押させる。

敵がガードを崩そうと必死になり、何発も放ち体力を適度に消耗させたところで、一気に力任せに反転させる。これで体勢逆転になった。

だが、ここでマウントを取り敵と同じ作戦でせめて行けば、必ず奴はさっき俺がやった方法で返すはずだ。

そうならないように俺は奴から離れ、ある程度間合いを取り、立ち上がってくるのを待つ。

「・・・・考えたね、井吹。それで、次はどんな技を繰り出すのかな?」

奴は今、ニコニコではなく少し影のある笑みを見せている。

おそらく俺の反撃に少なからず動揺を感じているのだろう。

だから、今がチャンス。

焦っているときに攻めればますます動揺し、冷静な判断ができず、攻撃しやすくなる。そこに気がついた俺は奴の懐に入り込み、ジャーマンスープレックスで投げる。

「食らえ、藍川!」

だが、藍川はジャーマンに捕らえられた体勢から体を丸め込み、ジャパニーズレッグロールクラッチホールドの高等技で返す。

俺は足の力でそれをはずし、そのままロープまで蹴り飛ばす。

返ってきたところをラリアートで再び飛ばし、止めの技の体勢に入る。

「これで決まりだ!」

俺は藍川に全身全霊をかけたダブルレッグスープレックスをかけ、そのまま体固めでフォールに持っていく。

『ワン・・・ツー・・・スリー・・・』

実況席からカウントが取られた。

俺は苦戦の末、どうにか藍川を破ることができた。

「よっしゃああああ!!」

俺はうれし涙を浮かべながら喜びの声を上げた。

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