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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 82ページ)
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*38*
「ニャハニャハ。これで我らは2連敗。ですが、果たしてこのままあなたたちは勝ち続けることができますかねぇ」
シーさんは腕を組みニヤニヤ不敵に笑いながら、僕の方をバカにしたような目で見ます。
まるで彼にとっては僕など問題外と言う雰囲気です。
その様子にだんだん僕はイライラしてきました。
今まではなるべく顔に出さないように笑顔を心がけていましたが、もしかすると彼の神経を逆撫でするような態度に、無意識のうちに僕の表情から笑顔が消えているような気がしました。
「おやおや、どうかしましたか?甘いマスクに不似合いな怖い顔をして。せっかくのお顔が台無しですよ。ニャハニャハ」
やっぱり僕は案の定、怖い顔をして怒りを表面に出していたようです。
敵にそれを指摘されるというのはなんとも情けないことですが、この際とやかく考えている暇はありません。
僕はすぐさまいつもの笑顔を作り、彼に微笑みかけました。
「気のせいですよ。忘れてください」
僕の笑顔が効いたのか、彼は僕を方から視線をそらし、
「わかりました。忘れましょう」
と言いました。
相変わらず何を考えているのかその意図がまったく読めないばかりか、ドイツ?1の探偵である僕でさえも苦戦させるほど余裕の態度を崩さない彼。
一体彼はどうしてこんなに余裕な態度をしていられるのでしょうか?
すると、彼はまるで僕の考えを読んだかのように不敵な笑みを浮かべ、口を開きました。
「決まっているじゃないですか。それはあなたがこの中で、いえ・・・正確に言いますと、ST8のメンバーの中であなたが一番弱いからですよ」
その答えに僕は思わず唇をかみ締めました。
「事実でしょう。まあ、ST8について知らない読者が多いと思いますので、私から説明して差し上げましょう」
彼はコホンと咳払いをひとつして手をあごに当てると、再び話し始めました。
「ST8というのはかの有名な大発明家、Dr.モンブランの弟子である少年少女8人、マロン=マイケル、霊能力也、ピエール=ジェントルマン、アップル=ケーキ、メープル=クラシック、星野天使、ヨハネス=シュークリームを加えた8人の弟子たちの総称です。その中でダントツの強さのトップは星野天使。2位がメープル=クラシック、3位がランス=アームストロング、そして4、5、6、7位がマロン、力也、ピエール、アップルと続き、最後にあなたが入る。
ちなみにST8は、『素晴らしく最高で最強で才色兼備で素敵な少年少女探偵チーム』の日本語を略したものです。略した際にSが8個つくので、この名称で親しまれています」
彼はここでまで早口で説明した後、僕に向き直り、例の不気味な笑い声を発しました。
「ニャハニャハ。聞いたところによると、あなたはDr.モンブランの1番弟子だったらしいですが、彼はただ、あなたの美貌に惹かれ弟子入りを許可しただけに過ぎないのです。他の7人は本当に欲しい人材だったのかもしれませんが、あなたはただの余り物、彼にとってはいてもいなくてもいい存在だったのです。ニャハニャハニャハ・・・・・・」
彼の言葉に、僕はまるで心臓を握りつぶされたような深いショックと受けると共に、忘れたくても忘れられないトラウマが蘇ってきました。
頭がズキズキと痛み、その痛みが次第に強くなっていくのです。
「この様子を見ると、あの日、あの場所で起きた、あの記憶を思い出したようですねぇ」
な、なぜだ・・・・?
なぜ彼はここまで僕の知られたくない秘密の過去まで知っているんだ?
彼は・・・一体・・・・