完結小説図書館
作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
関連タグ:
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~ 110~ 120~ 130~ 140~ 150~ 160~ 170~ 180~ 190~
*167*
「ルーレット?」
彼はあたしの言った言葉を繰り返し、首を傾げます。
「そうですわ。それでは始めましょう!」
指を鳴らしてルーレットを出現させます。
あたしは虚空からルーレットを出現させ、相手がルーレットを回して、針がマスに止まったら、そこに書いてある出来事を現実にすることができるのです。
かなり有利な能力と思われがちですが、実際マスに書かれている出来事の9割相手が喜ぶもの(レストランでバイキング無料チケット贈呈、女の子にモテる、5億円の宝くじ贈呈など)です。
彼はあたしが出現させたルーレットを見つめると、フッと笑みを浮かべ、
「いいねぇ。『強力な敵を出現させる』以外は、俺に有利…やってやる」
彼がレバーを引くと、ルーレットはグルグル回転し始めます。
神様、お願いです。どうか、味方を出現させるマスが当たりますように…!
すると、なんと、あたしの願いが通じたのか、ルーレットの針が『強力な敵(あたしにとっては味方)を出現させる』マスで止まりました。
「外したか。畜生!」
彼が、怒りに任せてあたしに拳を振り上げて攻撃してきたそのとき、サッと何者かが『リングへ飛び込んできました。
「女の子に暴力はやめるズラ」
現れたのは、巨大な麦わら帽子を被り、赤い目元を隠すマスク、額には『農』のマークが特徴の男性。
着ている白いアンダーシャツには大きな『稲』の文字、そのシャツからは屈強な筋肉が張り付いていており、着ている白いマントは風になびいています。
「だ、誰だお前は?」
ナルカンさんが訊ねますと、男性ゆっくりと口を開きました。
「ワスは農業を愛し、日本を愛し、子どもを愛し、全国を旅する流離のレスラー、農業マン。か弱い女の子をいじめる悪―い男の子には、お仕置きをしてやるズラ」