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作者: モンブラン博士 (総ページ数: 198ページ)
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*93*
「おいおっさん、このメンバーはどういうことなんだ!」
俺は椅子にのんびりと腰かけているスターに問いただす。
正直かなり生意気だが、この際は仕方がないだろう。
「それで…きみが言いたいことはそれだけかな?」
彼はあっけらかんとした口調で言うと、ジュースを持ってくるように執事のラグに言った。
「きみはどうやらまだまだ物事の本質が見えないようだ…ジャドウくんに聞けば、私がなぜこのメンバーにしたかがわかるだろう」
その答えに、俺はあまりなっとくいかなかったが、とりあえずジャドウに聞いてみることにした。
☆
「フフフフフフ…なるほど、お前が俺のいる地獄の間に訪ねたのはそういうわけか」
ジャドウは地獄の間のドアの近くでで缶コーヒーを飲んでいた。
彼がコーヒーを飲む姿がやけにかっこよく見えるのは気のせいだろうか。
「教えてやらんでもないぞ」
意外な答えに俺は目を丸くした。いつもなら不敵に笑っておしまいなのに、この展開は珍しい。
「ど、どうして会長はあんなメンバーを選んだんだ?」
「自分たちの星は、自分たちの手で最大限守ってみろという事だろう。
それに、彼らの潜在能力は高い。そう…お前と同じようにな。なめてかかったら足元をすくわれるということだけは、警告しておこう」
「ありがとうな、ジャドウ」
「礼はいらん。悪役は罵声だけで十分だ」
なんとも彼らしい感謝の仕方だと思いながら、俺は体を鍛えようと1階へ行くと、新しいメンバーが集合していた。彼らのほかには誰もいない。不動さんもハニーも王李も留守のようだ。
「お前らか、俺と一緒に神様倒しに行くメンバーってのは」
1番前の金髪に深緑色の瞳を持ち、白い職人用の白衣に身を包んだ少年がにっこりと笑って、白くて薄い大きな箱を差し出した。
「これはボクからのお近づきの記念です」
折り目正しい奴だな、と思いながら箱を開けると、なんとも美味そうなトマトソース、チーズ、バジルのピザが入っていた。
「これ、もしかしてお前が作ったのか?」
「はい。自己紹介が遅れましたね、ボクはマルコといいます。イタリアでピザ職人をしています」
へえ…カイザーがパンならこいつはピザなのか…ってプロレスと関係ないような気もするが、とりあえず、ここにいるみんなで食べよう。
「「「はいっ!(ですわ)」」」
3人は口を揃えて返事をした。
とりあえず、後輩ができたわけだが、本当にこいつらプロレスできるのか?
「じゃあ、食べ終わったあと、見せてあげますわ。あたしたちの実力」
3人は顔を見合わせて笑った。
その笑みに、なんだか毒が含まれている気がするのは、気のせいだろうか。