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ヘッドフォンアクター
作者: 弥生  (総ページ数: 22ページ)
関連タグ: カゲロウプロジェクト 
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10~ 20~

*6*

8月は何度も過ぎ去った…

振り替えって行くあの子達は
「また来年だね」
と笑いながら溶けていく姿を僕は見ていた。

その時はあの信じていた人からの予報外れの…………

雨が降っていた。

そして…………「また会いたい」と呟いた。





06「コノハと異世界事情」




『うっはぁ!なっっかいしい…!ね、覚えてますよね、ご主人!』



なんだろう…この白いイヤホンを通じてこの、エネの声が初めてとは思えないくらいに実感がわく。

てゆうか、当たり前だ。この学校は俺にとっては先程いたゆういつの場所なのだから。




「ねぇ、エネちゃん…でいいかな?」

『なんですか、私さん』


俺たち、二人+一人?は廊下を歩いていた。

ひんやりと何かを見つめてるような視線が感じるような冷たさだ。勿論、暑いのだが…気温は。



蛇口の水が一滴落ちるころ…


何もない紫の空間。横切る木葉。
ただ、ただ、時間のみが繰り返されていた。


「貴…音…………」

「コノハくんだね?」


白銀の少年は無重力空間にいるかのよう、ふわふわと浮かんでいた。目の先には赤いマフラーを纏った人影が映る。



「あな…たは?」

「覚えてないのかな?、私はアヤノ」

「アヤノ…。ねぇ、僕は…何者なの?」

「うぅん…そうだなぁ…、あっ!この世界の鍵かもね」

「鍵?」

「そう、鍵。あの子達を助けてあげて…お願い」

「……………………あの、僕は、コノハなんですか?」

「…………そうだよ、もう時間みたい」

「…………行っちゃうの?」

「うん、行かなきゃ。じゃあね【遥さん】」


僕は…………コノハ。




この学校もよく見てみれば広いようだ。
見学の時は気づかなかった…

…………やっぱ、俺が一人で見学なんてあり得ないよな。

だれか…もう一人が。いたんだ。


「シンタロー、ついたよ」


貴音に知らせられ、目の前がドアの前と気づく。


「ねぇ、入ろ」

「お前…………まぁ、いいや、行くぞ」

ガラッと勢いよくドアを開けるとそこには白銀の青年がポツンっと一人で立っていた。


「『コノハ!』」


エネと貴音がハモる。
こいつが…コノハ。やはり見覚えが…あるような。


「ねぇ、コノハ!、私だよ…!ねぇ、遥」

『私さん、この人…動いてなくないですか?』


エネの言葉とほぼ同時にコノハが勢いよく倒れる。


エネの言葉に気づき、シンタローは激しく脳裏を回転させた。

よく考えろ…俺たちは一日たっている。
なら、こいつは?飲まず食わずってことか!?


「おい、しっかりしろ!…………くっ、一度アジトへ連れていこう。タカネ、行くぞ」


担ごうとコノハをシンタローが持ち上げると…


「おおぅ…!おもぉ!、、ギ、ギブ…」

『うわぁ…カッコ悪いですね、ご主人』


くそっ…体育は俺の一番苦手な科目だ。
にしても運べないとなると…どうする!?
誰かを呼ぶ?誰を?キドたち?あいつらの電話番号は知らん!…………やばいやばいやばいやばいやばい。



『ねぇ、コノハさん、なんかいってます』

「「えっ」」

貴音とシンタローはコノハへ耳を傾けた。



「焼き鳥…焼そば…お好み焼き」

なぜか食い物の名前が連鎖した。


「こいつ…元気だろ…絶対」

「だ、だね、起こそうか…」

『ご主人…!さっきの言葉…』

「どうした?」

『全部、【焼き】っ……………』



電話音は「切りますか?」と鳴り響いた。
俺のイライラを表すトゲトゲとした音と共に、コノハをたたき起こした。













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