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ユキノオト
作者: 桜  (総ページ数: 28ページ)
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10~ 20~

*17*

 第七章 弐 悲しみの剣

 自分に似た少女との目線が重なった。
 突然、見ている景色が変わったので、少し目眩がする。
 
 これは、わたし

 わたしは このひと

 重なるように、彼女の思考も、頭に流れてくる。
『――――っ!!!!!!??????。』

 いやだ 死にたくない 死にたくない 助けて

 ここから出して お父さん お母さん 皆

 いやだ 生きたい だれか たすけて つれてって
 
 痛いよ くるしいよ さみしいよ

 唐突に吐き気がする。
 助けてほしい、間尾所の願いが、頭の中に、いろいろと入ってくるのだった。
 くるしい。このままではこの強い思いにつぶされてしまいそうだ。
「きゃぁぁぁああぁぁぁあ!!!!!!!!!。」
 少女が顔を上げると、そこには次々と殺されていく仲間が居た。
 昨日まで笑顔で遊んでいた友達、かわいがってくれた、時にはしかってくれた大人たち。次々とあせった葵の配下に殺されていく。血塗られた悲しき剣。悲劇の幕開け。
 少女は、いや、雪音は、驚いて転び、寝そべる形になった。
 引き摺った手が擦った赤いぬめりとした液体。
「うわぅ!!!!!。」
 声を上げて、少女は体勢を立て直し、後ずさりをした。
 目の前に居る大人たち。
 いろんな眼。目。眼。
 助からない、蒼思ったのか、いつの間にか少女は眼を瞑っていた。
 そのとき――――――――
 
 ばっと影が視界をさえぎった。
 ばきん!!
 鎖が切れる、不協和音な金属音が聞こえる。
 恐る恐る眼を開けると、そこには、つややかな黒髪の青年の後姿があった。
 青年は体勢を立て直し、次々と襲い掛かってきた敵に恐れをなさずに切りかかっていく。
 少女は、顔を背けなかった。――背けられなかった。
 青年が、何のために自分を殺そうとした、仲間を殺したやつらを斬っていくのかはわからない。
 けれども少女は、もう、どうすればいいのかわからなかった。
 青年が、総てを終えたころ、少女の涙は乾いていた。
 紅い空も、何一つ変わらない数分の出来事。
「大丈夫か?。」
 青年が、こちらを振り向いた。

『!!!!!!!!???????????。』


 そこにいたのは――――――――――・・・・・・・

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