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作者: 桜 (総ページ数: 28ページ)
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第七章 弐 悲しみの剣
自分に似た少女との目線が重なった。
突然、見ている景色が変わったので、少し目眩がする。
これは、わたし
わたしは このひと
重なるように、彼女の思考も、頭に流れてくる。
『――――っ!!!!!!??????。』
いやだ 死にたくない 死にたくない 助けて
ここから出して お父さん お母さん 皆
いやだ 生きたい だれか たすけて つれてって
痛いよ くるしいよ さみしいよ
唐突に吐き気がする。
助けてほしい、間尾所の願いが、頭の中に、いろいろと入ってくるのだった。
くるしい。このままではこの強い思いにつぶされてしまいそうだ。
「きゃぁぁぁああぁぁぁあ!!!!!!!!!。」
少女が顔を上げると、そこには次々と殺されていく仲間が居た。
昨日まで笑顔で遊んでいた友達、かわいがってくれた、時にはしかってくれた大人たち。次々とあせった葵の配下に殺されていく。血塗られた悲しき剣。悲劇の幕開け。
少女は、いや、雪音は、驚いて転び、寝そべる形になった。
引き摺った手が擦った赤いぬめりとした液体。
「うわぅ!!!!!。」
声を上げて、少女は体勢を立て直し、後ずさりをした。
目の前に居る大人たち。
いろんな眼。目。眼。
助からない、蒼思ったのか、いつの間にか少女は眼を瞑っていた。
そのとき――――――――
ばっと影が視界をさえぎった。
ばきん!!
鎖が切れる、不協和音な金属音が聞こえる。
恐る恐る眼を開けると、そこには、つややかな黒髪の青年の後姿があった。
青年は体勢を立て直し、次々と襲い掛かってきた敵に恐れをなさずに切りかかっていく。
少女は、顔を背けなかった。――背けられなかった。
青年が、何のために自分を殺そうとした、仲間を殺したやつらを斬っていくのかはわからない。
けれども少女は、もう、どうすればいいのかわからなかった。
青年が、総てを終えたころ、少女の涙は乾いていた。
紅い空も、何一つ変わらない数分の出来事。
「大丈夫か?。」
青年が、こちらを振り向いた。
『!!!!!!!!???????????。』
そこにいたのは――――――――――・・・・・・・