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作者: 桜 (総ページ数: 28ページ)
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第九章 弐 幻
一面の闇。
ここはどこだ、と雪音は一瞬迷った。
けれどもすぐ思い出す。自分が犯した罪のこと。
ふ、と目の前に、しゃがみこんだ女性が現れた。
『どうして・・・・・・。』
助成の隣にあった、見覚えのある屍。自分が犯した罪。
『なんで、なんでぇぇぇぇぇっぇぇぇ!!!!!?????。』
狂ったように泣き叫ぶ声。
よくみたら、自分に似ている。
あれは、わたし?
『なんで、なんで・・・・!!。かえしてよ、かえしてよ、父様を!!!。』
その周りに、白い髪をした人々が、わぁ、と泣き出し、うずくまった。
『なんで!!!。なんで、わしらは死んだのに、あの娘が!!。』
『出来損ないの、お前の娘が!!。』
『アアアアあああぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁ。』
『若長をかえせ!!。』
なんで
おまえだけが
いきているんだ?
「い、いやああああああああああああああああ!!!!!!!1.」
絶えられなくなって、雪音は総てをふさぎ込み、総てを拒絶した。
聞こえるもの。
にがい、あの、憎しみ
「たすけて・・・・。たすけて・・・・・・・・!!!!。」
なぜおまえが
あのひとをかえして
いきのこって
出来損ない
ひとごろし
――――――――ゆきね――――――ー―――
その中で聞こえた、希望の光。
父様の声に似ている。けど違う。
わたし、父様の最期の声、聞けなかった。
なんていったのかわからなかったけど
そんなこと聞く権利、私にはもうない。
私は人殺し。
たくさんのヒトを殺してきた。
父様だけじゃない。
いろんなヒト。
大紀様のために。総司さんのために。
―――――――もどってこいよ。おれだって、つらいことが会ったよ。けれど、お前が居たから、ここに、かえって来れた。
総司さんの声だ。
「そうじ・・・さん・・・・・?。」
――――――大丈夫。皆はもう知っている。お前のこと。けれど、もう大丈夫。だから帰って来い。ここに。お前の帰る場所は、ここだろう?。
私の帰る場所。
「総司さん!!!!!!!!。」
そうじさんがいるばしょ。
そして、見えない空に手を伸ばし、雪音は意識を手放した。