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ユキノオト
作者: 桜  (総ページ数: 28ページ)
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10~ 20~

*24*

 第九章 弐 幻

 一面の闇。
 ここはどこだ、と雪音は一瞬迷った。
 けれどもすぐ思い出す。自分が犯した罪のこと。
 ふ、と目の前に、しゃがみこんだ女性が現れた。
『どうして・・・・・・。』
 助成の隣にあった、見覚えのある屍。自分が犯した罪。
『なんで、なんでぇぇぇぇぇっぇぇぇ!!!!!?????。』
 狂ったように泣き叫ぶ声。
 よくみたら、自分に似ている。
 あれは、わたし?
『なんで、なんで・・・・!!。かえしてよ、かえしてよ、父様を!!!。』
 その周りに、白い髪をした人々が、わぁ、と泣き出し、うずくまった。
『なんで!!!。なんで、わしらは死んだのに、あの娘が!!。』
『出来損ないの、お前の娘が!!。』
『アアアアあああぁぁぁぁぁぁぁぁあぁあぁぁ。』
『若長をかえせ!!。』

 なんで

 おまえだけが

 いきているんだ?

「い、いやああああああああああああああああ!!!!!!!1.」

 絶えられなくなって、雪音は総てをふさぎ込み、総てを拒絶した。

 聞こえるもの。

 にがい、あの、憎しみ

「たすけて・・・・。たすけて・・・・・・・・!!!!。」

 なぜおまえが

 あのひとをかえして

 いきのこって

 出来損ない

 ひとごろし

 ――――――――ゆきね――――――ー―――

 その中で聞こえた、希望の光。
 父様の声に似ている。けど違う。
 わたし、父様の最期の声、聞けなかった。
 なんていったのかわからなかったけど
 そんなこと聞く権利、私にはもうない。
 私は人殺し。
 たくさんのヒトを殺してきた。
 父様だけじゃない。
 いろんなヒト。
 大紀様のために。総司さんのために。

 ―――――――もどってこいよ。おれだって、つらいことが会ったよ。けれど、お前が居たから、ここに、かえって来れた。

 総司さんの声だ。
「そうじ・・・さん・・・・・?。」
 ――――――大丈夫。皆はもう知っている。お前のこと。けれど、もう大丈夫。だから帰って来い。ここに。お前の帰る場所は、ここだろう?。

 私の帰る場所。

「総司さん!!!!!!!!。」
 そうじさんがいるばしょ。

 そして、見えない空に手を伸ばし、雪音は意識を手放した。

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