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作者: 桜 (総ページ数: 28ページ)
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第九章 参 そして彼らはかく語る
総司さん!!
真っ暗闇で伸ばした手。
がっしりと、つかまれた。
「雪音!!!!。」
はっとする。
この声。
聞き覚えのある、懐かしい声。白梅の香りのする着物と袴。深い、まっすぐな黒い瞳。つややかな黒髪。
「そう・・・じ・・さ・・・・・・?。」
「雪音!!!!!!!!!。」
それが、総司さんだとわかるのに、少し時間がかかった。
すでに、総司さんは死んでいるはず。なのに、なぜここに・・・?。さっき、私を抱きとめてくれたのは、・・・総司さんなの?
「そうじさん・・・・そうじさん・・・・・!!。」
どうして、ここにいるの?
それを、口にしたつもりはなかったが、総司には聞こえていたようで、きっかりと、返答をしてくれた。
「死ぬつもりだったんだけどさ・・・・・。かわいい妹置いて死ねねぇじゃん?。おれは、帰るところに帰ってきたつもりだぞ?。――雪音。」
その声が心地よくて、死んでいなくて良かった、とまた改めて思った。
そして、白梅の香り意外に、鉄サビを混ぜたようなにおいに気づく。その臭いの発生源は近くにある岩と、総司の左腕。
「総司さん、うで!!?。」
「ああ。ちょっとどじってな。」
へへ、と舌を出して笑った。
「うそだよ。こいつ、お前が倒れたとき、かばってうで、怪我したんだ。」
肇が掃除の頬につんつんと指を立てて笑う。
「やっぱり・・・!!。早く手当て――――――――。」
をしなければ、といおうとして、失敗した。唇に総司の指先が止まる。
「大丈夫。もう手当て済んでる。包帯見ろ、包帯。それに、皆になんか言わないの?。」
そうだ、総司さんのことに気がかかって気づいていなかった。
「みんな・・・・。私、思い出したよ?。」
「・・・・・・・・・大丈夫なの!?。痛くなかった!?。泣いたでしょ!?。さっき叫んでたもん。」
萌、と勉がけん制する。
「大丈夫だ。顔をよく見ろ。・・・・・りりしいぞ。」
「本当!もう、大丈夫そう!!よかったぁ・・・・っ!!。」
「ホントにな!。おれ、お前が目が覚めなかったら、そこのクズと紗枝を八つ裂きにして食ってたよ。」
食おうとしないで!!、と紗枝が叫ぶ。
いつもと、同じ。
それは変わらない日々の事。
「おい、俺、忘れてるだろ。」
「あ、和樹くん。・・・ん?、クズ樹くん?。」
「ちがう。おまえ、今絶対狙ってただろ。」
「うん。」
「おまっ――――――――――。」
「まぁまぁ。」
誠司は、二人の間に入って雪音の頬に触れた。
「良かった。目が覚めて。ほんとに、よかった。」
それは、自分が水を飲ませた罪悪感からではなく、本当に、雪音の友人としての、心配事。
「・・・・・・・・みんな、ありがと。」
きっとこれからは大丈夫。
皆がいるから。