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作者: 桜 (総ページ数: 28ページ)
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間隙 壱「終わりの始まり」
これは、戦に入って十年目、四月二十四日から、四月二十五日にかけてのお話。
有路ノ国に、変な四人組が来た。
その知らせを受けたのは、真昼だった。
部下の一人が、その中の一人の小うるさい少女を捕獲してきたのだ。
この、蒼路ノ国の領主「葵」(アオイ)は、この前、有路ノ国の姫「那癒」(ナユ)を部下たちに浚って来いと命令し、ものの見事に、地下牢に幽閉した。
総司さんは、敵国の領地に忍び込んでいて、まだ音沙汰もない。
「やぁぁぁ!はなせぇぇぇ!!!!!。」
「ちょっ、大人しくしろ!!。」
隣で、地下牢を一緒に歩いていた和樹が、抱えている両手足を縛られた少女を乱暴に扱う。
「きゃっ。」
那癒が入っていた、一番奥の牢屋に、抱えていた少女をこれまた乱暴に放り投げる。
「はっ、良かったな、姫。お友達ができるなぁ。」
そういって踵を返した。雪音は、一礼して、その後を駆け早に追っていった。
「ねぇ、和樹君。」
「ん?なんだ。雪音?。」
地下牢廊下を歩いていた和樹は、横目で、雪音を見た。
「もうちょっと、女の子に対する扱い方をさぁ、やさしくしたら?。」
「うるせえ。かんけいねぇだろ。」
「だから本当に女の子にもてないんだよ。」
「本当に余計なお世話だ。アホ。」
「忠告しただけなのに。」
「おまえなぁ-------。」
「しっ!。」
しゃべる和樹を停止させ、かばう感じに手を横に出す。
「ひぃ、ふぅ・・・・・・足音は、八人。」
「相変わらずの野性の耳だな。」
「うるさい黙ってろ。クズ。」
「・・・・・・・・・。」
前から来る人影も八人。
雪音は、腰に駆けていた刀に、手をかけて構える。
なぎ払うは、横に一線。
「抜刀術が一番早いな。」
そういって、前に足を運び込んだ。
「おい、みつかったっぽいぞ!。」
「なんでよ!。」
「ちょっと、殿様、足踏まないで!。」
「おい、あれ、雪音じゃないか!?。」
「ほんとだ!やっと見つけた!。」
「ってか、その隣に居るクズ誰?。」
「おい、あれ、雪音の得意な抜刀術の構えじゃねぇ!?。」
「やばい!逃げたほうがいいですよ!領主様!。」
この声は------
懐かしすぎるこの声は。
あのころの---------
「おい、どうした雪音?。しないのか?。」
よこで和樹が、促す。
私は----------刀を納めた。
「そこに居る八人。今なら見逃してあげます。今すぐ逃げなかったら、神速の抜刀術の餌食になりますよ?。」
そういって、にっこり笑った。