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僕は名のない公園で青空を見上げる【完結】
作者: 桜音 琴香 (総ページ数: 40ページ)
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作者: 桜音 琴香 (総ページ数: 40ページ)
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*12*
昼食の時間になると、平野は僕の机にやって来た。
「水沢ぁ、メシ分けてくんね?」その顔はとても
困り果てた顔で、救いの手を求めているようだった。
「いいけど、僕 弁当じゃないよ」僕は苦笑い混じりに
言った。これから購買にパンを買いにいくところ
だった。「え、じゃあ水沢メシ無しなわけ?」平野は
すっとんきょうな声で驚いていた。この学校では
大半が弁当持参で、購買で昼食を済ます人は少ない。
だからか、購買に食べ物が売られていることは
あまり知られていない。「いや、僕は購買で
昼飯 買うんだよ」平野は初めて言葉を覚えた
子供のような顔をした。「購買にメシ売ってんの」
僕は口角を上げて頷いた。「売ってるよ」
ただ、僕は昼食を食べずに部室に向かうことが多い。
1日に一作品描き上げるのが僕の目標だからだ。
「ふうん。あ、じゃあ俺も購買 行く。一緒にいい」
僕が頷くと、平野は仔犬のように笑った。2本の
八重歯が目立つ、人情味 溢れる笑顔だった。
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