完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

恋乃手紙
作者: 伊吹吹雪 ◆u2YjtUz8MU  (総ページ数: 61ページ)
関連タグ:
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~

*6*

ついた先は近所の美容院。
私はドアを引く。

カランコローンとお店のドアの音がした。
「いらっしゃいませ〜」
「すいません。中学生なんですけど、カット、今大丈夫ですか?」
「はい、すぐにでもカットできますよ。」
荷物預かります、と美容師さんが声をかける。
私は、荷物を預けると、髪を洗う場所へと案内された。

髪を洗い終わって、私は髪を切る場所に案内され、席についた。
「どんな感じにします?」
鏡の前で、美容師さんが聞く。
「えっと、今ロングなんですけど、ショートにしてください。軽い感じで。このモデルさんみたいにしてください。」
と、私は、雑誌のモデルさんを指さした。
「わかりました。」
「あ、ついでに、前髪も伸びたので、前髪もお願いします。」
「はい」

躊躇なく、ハサミが髪を切っていく。

ここ2年くらいずっと髪を切らなかったのには訳がある。
有季が、ある時、
「この、アイドルかわいくね?」
と私に聞いた。
そのアイドルは、ロングヘアだった。
「お前にちょっと似てる。」
それが私は嬉しかった。
だから、私は今まで伸ばしてきた。
でも私はもう、しばらくは、髪を伸ばさない。
なぜなら、有季の彼女の麗子と髪型がかぶってるからだ。
そして何より髪を切って、自分なりに区切りをつけたい。

切り始めて小一時間ほど経っただろうか。
「どうですか?」
30cm以上切ったようだ。
「いいです。」
「じゃあ、髪、乾かします。」
ドライヤーの、ブォーという音がする。
髪が軽くなって、心も軽くなった気がした。




5 < 6 > 7