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*6*
***
……ということがあったんだ。
冒険者は使わないのか? と聞くと、「あまり一般人に知られると、混乱を招いてしまう」といわれた。
だからなのか、と感心しながら、俺は執政院をあとにしたんだ。
そして、俺は今ここにいることとなった。
「とりあえず、中に入ってみないとなー」
……で、中に入ってみると、魔物の気配と、未知なる壁が陳列(ちんれつ)された内部のお出迎え。
「うわ……。壁のふちが青く光ってる……!」
この壁……触るとどうなるんだ?
「冷たっ! なんなんだ、この壁……?」
なんとなく壁を触ってみると、少しひんやりとした触覚(しょっかく)を覚えた。
壁に触ってみて、俺はここがずいぶんと高度な技術をもちいられて作られているのだと思った。
「ソールからもらった薬もあるし……まあ、大丈夫だろ」
ソールからもらった体力回復薬品と蘇生薬品――‘メディカ’と‘ネクタル’のことだ――をふところに入れて、俺は歩き始めた。
・ 遺跡―グラズヘイム― ? ・
ジュギュイーン!
「うわお!?」
奇妙な形をした扉をくぐってきたら、突然変な音が聞こえた。
ギュイーン……ギュイーン……ギュイーン……
「なんだ、この音……!?」
ギュイーン……ギュイーン……ガゴン!!
俺は警戒して足を止めたが、それはすぐにやんでいった。
さっきの音のことを思い浮かべ、俺は難しい顔を作る。
「……変な形の扉といい、さっきの音といい、この遺跡、一体なんなんだ?」
疑問符を頭のてっぺんに浮かべながら、俺は遺跡の奥へと歩いていく。
――だが。
「……むー……。どうして、この部屋にはなにもないんだ……」
――なにもなかった。
たどり着いた大きな部屋には特別なものはなにもなく、ただ、あの青く光る壁が陳列しているだけだった。
どうしたものか、と悩みながら、呆然と右を向く――と。
「ん? 赤く光ってる……扉?」
青く光る扉とは違う、ひときわ強く赤く光る扉があった。
なにかがあるな、と思い――まるで、子供のように――俺はその扉を開けようとした――が。
グッ!
「……!?」
開けようとしても。
バンッ!
「嘘だろっ!」
押そうとしても。
ギュッ!!
引こうとしても――開かない。
「どうしてだよ――あ!」
いらいらしながら後ろに振り向くと、人が入れそうなひびを見つけた。
調べると、ひびの先にはどうやら小部屋らしき空間が開いていた。
「……怪しいな〜♪」
わくわくしながら、俺はひびの中へと入っていった。
「……なんだ、この箱」
ひびの先は、確かに小部屋が広がっていた。
奥のつきあたりには、青い光を放つ箱が置かれていた。
フオンッ!
「――!?」
俺がその箱に近づこうとすると、箱が新たに青い板状の光を生み出した。
……ますます怪しいぞ。
ピコンッ
試しに触ってみると、聞き覚えのない高い音が小部屋と、俺の耳に鳴り響いた。
――これって、もしかして!
「あの赤い扉が開いたんじゃないか!?」
絶対そうだ!
「行ってみよう!」
俺はわくわくした気持ちになりながら、あの扉へと向かった。
・ 遺跡―グラズヘイム― ? ・
――扉の先は、小部屋だった。
やはり青く光る壁が陳列されたその小部屋には、コケや草木が伸びていた。
小部屋の奥には見慣れないもの――ハイランダーの記録の中では、機械といい、細かくいうと、カプセルというらしい――があった。
小走りで俺はカプセルに向かい、カプセルに近づいた。
そして、魔物がでてこないかと、いったん後ろを振り返った。
――すると。
シュンッ
「――うわ!」
――後ろには、機械があったらしい。
音が鳴り、機械から青い板状の光が生み出された。あの箱の原理と同じものだろう。
カプセルをよく見ると、カプセルのガラスがくもっていた。
くもりを手でふくと、なんと――。
「な……!?」
――金髪の少女が、そのカプセルの中で眠っていた。