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Ghost-Soldier【完結】
作者: レンクル01  (総ページ数: 58ページ)
関連タグ: ファンタジー シリアス 血描写 
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*21*

  ライデンside

「アイリが退魔の魔術師、かぁ……」

俺は一人部屋で、アイリからうけた説明を思い返していた。




退魔の魔術師、とは。
文字通り、魔を退ける力を持つ魔術師のこと。
天性のものらしいが、出生から出産に至るまで、その出産確率は非常に低く、およそ800万人に一人、いるかいないか。

普通の魔術師とも可能なことが大幅に違い、人間を襲い、殺し、一度でもこの世に定められた規則を破ったものを消し去る力、自身が力を認める者を救済する力、暴走したルーンを体に取り込んだ人間を浄化する力を持つという。

アイリがこの力を持った人物であることも驚くべきことだが、それより引っ掛かることがある。
俺はもちろん、城の専門家ですら知らなかった情報……
アイリはそれを、ネオンから聞いたという。
ネオンは、俺達が知らないなにかを知っている……そんな気がしてならない。

更に、俺はもうひとつ、気になることを言われたのだ。

「……『心壊』、ねぇ。」

心が壊れてしまう……そんなことが実際にあるという。それもただ精神病のレベルではなく、深く根付いてしまって本人そのものの魔力限界値も変えてしまうという。

暴走したルーンは人間にとって有害だが、それを取り込まないように体制ができているものなのだ。
しかし体がなにかしらの原因によって、暴走したルーンを取り込む器を作ってしまうことがあるという。

それを一定まで取り込んでしまうと、心が壊れてしまうらしいのだ。
この話は、レイドから聞いたものだ。

彼女は、自身がその心壊を起こしている人物であると話し、その後にこの説明をした。


そして彼女は、最後にこう言ったのだ。




「心が完全に壊れた人間が、ルナティックソルジャーにいるぜ」

完全に壊れた、それがなにを意味しているのかはわからないが、俺達は内部も油断できない状態にある。


「……」

何もできない俺は、天井を見つめた。

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