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Ghost-Soldier【完結】
作者: レンクル01  (総ページ数: 58ページ)
関連タグ: ファンタジー シリアス 血描写 
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*30*

  レイドside

ドォン、とどこからか音がした。

「あはは、どっかでやってるねぇ」

鎌を簡単にくるくると回して歩く。
ライデンにはただ鎌を振り回したいだけに見られてしまったが、案外手首や腕のいい体操になる動きなので、戦闘前は常に行っている。

「うーん、他のみんなは大丈夫だろうか……」
「少なくともここは大丈夫。フィギールそれなりに戦える」

アイリとフィギールは、他のメンバーを心配しているようだ。
心配するのはかなり精神力を使うと考えているオレは、人のことはあまり考えないようにしている。

「大丈夫だってぇ、そんなにあいつらやわくねーだろ?」

軽い口調で告げたが、フィギールにはムッとした顔をされてしまった。

「お前不謹慎。フィギール人のこと考えないヤツ嫌い」
「あははは、君が人のこと考えれば何か変わるのか?」

更に砕けた言葉で返したが、フィギールは「アイリ、行くぞ」と私を追い越しただけだった。

「……ふーん。」

別に興味も何もなかったが、扱いに困る異大陸人だ。

「フィギール、レイド、やめよう?煽り合いなんてよくないよ」

偽善者アイリはオレとフィギールを宥めるが、フィギールはそっぽを向いた。
オレは相手にするのも馬鹿馬鹿しくなって、「あーはいはい」と流した。
アイリはトホホというような顔をしていたが、オレの返し方にまたフィギールは腹を立てたようだ。

「へっ、オレ嫌われてんなー。まぁ慣れてるけど」

オレがそう呟いた後は、3人共無言で歩いた。
誰も何も言わず、ただ歩き続ける。











アイリside

「ねぇ、レイドはどこいったの?」
「え?」

フィギールと僕は辺りを見回した。

後ろを歩いていた筈のレイドは忽然と姿を消していた。
歩いてきた道を覗きこんでも、レイドの姿はどこにも見当たらない。

「……フィギールあいつ嫌い。どうせ勝手に戻ってくる。だから行こう」
「う、うん」

きっとフィギールの人間へのトラウマに関わる人物に、レイドは似ていたのだろう。

「……後ろから気配が……」

フィギールは僕に声をかける。しかし、後ろから何かが迫ってくる気配は一向にない。


「……先へ進もう」

僕とフィギールは、レイドの無事を願いながら先を急いだ。












 レイドside

「さーてと」

アイリとフィギールをうまいこと撒いて、鎌をふりおろす。
鎌をぶつけられた壁は亀裂を走らせ、ガラガラと音を立てて崩れる。
その中から、無数の食人植物が出てきた。

「私事にあいつらを巻き込むわけにはいかねーもんなー。」

食人植物は耳が痛くなるような金切り声をあげて突進してくる。

「んま、ゆっくり楽しむとするか」

オレは鎌を振り上げる。


食人植物達の先の道に、ひとつの人影が映った。
ヒートの氣を纏っているその人物。



「興味深い……」

人影目指して、鎌を振り回しながら全力で駆け抜けた。

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